喪失の世界と希望と世界が認めたサイレント絵本『きんつぎ』
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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絵本には大抵、言葉が添えられている。でもこれは、“サイレント絵本”。言葉がないから読み手それぞれの捉え方で読むことができる。世界で最も権威のある児童文学賞「ボローニャ・ラガッツィ賞」2024フィクションの部・最優秀賞を受賞した『きんつぎ』(イッサ・ワタナベ著・世界文化社、税込み2420円)が、2月20日(木)に発売される。
継ぎ目がわざと目立つように壊れた陶磁器を修繕する、日本伝統工芸の金継ぎになぞらえた作品。小鳥と突然別れたうさぎが喪失の世界に沈んでいく旅を、深い優しさと繊細な表現で鮮やかに描く。何かを失った絶望や、その中でもがく苦しさも正直に描かれ、つらい気持ちにも誠実に寄り添いながら、苦しかった別れこそこれからの人生の新しい一歩になるのだと教えてくれる、希望にあふれた物語だ。
文学賞の選評では、「深いやさしさとユニークな方法で表現された物語は、私たちを暗闇と海の底へ連れてゆく。喪失の旅を詩的に案内してくれるのだ。その旅で私たちが目撃するものは、どんなにつらい苦しみのあとでも回復してしまう、私たち人間の驚くべき力。物語は、日本伝統工芸の金継ぎと、さりげなく添えられたエミリー・ディキンソンの詩と一体となって、深く傷ついた心を癒やしていく。私たちは、暗闇を通り抜け、また新しい道と始まりを見つけて、残ったものからまた何かをつくりあげることができるのだ」と評価された。

記事提供元:オーヴォ(OvO)
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