HD DVDは何故Blu-rayになれなかったのか? 次世代DVDとしてBlu-rayが優れていた理由
ソニーが2025年2月をもって録画メディアとしての『Blu-ray』の生産終了を発表し、驚きの声が広がっています。
無論、Blu-rayレコーダーは市場で流通が継続しており、Blu-rayでリリースされる映像作品も引き続き多数存在しています。とはいえBlu-ray生産縮小の流れが強まってきた感が否めないのも事実。
そんなBlu-rayですが、歴史を振り返ると、かつてHD DVDとの「次世代DVD」としての覇権争いがありました。
HD DVDとBlu-rayは、2000年代中盤に次世代光ディスクの規格を巡って激しい「フォーマット戦争」を繰り広げました。この戦争の結果、Blu-rayが市場を制し、HD DVDは撤退を余儀なくされました。
Blu-rayが事実上勝利したのは2008年のことであり、Blu-rayの勝利からソニーの撤退までを一つの時代としてとらえると17年ほど「覇権」が続いたことになります。録画メディアの歴史として十分に長く、Blu-rayの勝利は極めて重要なことだったと言えるでしょう。
では、次世代DVDとしてBlu-rayが優れていた理由は何なのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
【1】容量の差

Blu-rayは1層で25GB、2層で50GBの記録容量を持つのに対し、HD DVDは1層で15GB、2層で30GBでした。この容量の差は、Blu-rayにとっては特に高画質映像や特典映像を収録する際に大きなアドバンテージとなりました。高画質な映像作品を収録する先の光学メディアは、大容量であればあるほど映像の作り手にとっては優れた媒体であるためです。
Blu-rayの大容量は、フルHD映像や高音質オーディオを収録するのに適しており、映画やゲームなどのエンターテインメント分野での需要に応えました。また、将来的な4Kや8K映像への対応も視野に入れることが可能な容量をすでに00年代時点で備えていました。
【2】ゲーム機の影響

ソニーが2006年にPlayStation 3がBlu-rayドライブを標準搭載していたことも、Blu-rayの普及を後押ししました。
PS3にHD DVDドライブではなくBlu-rayドライブが搭載された理由について、PlayStationの生みの親である久夛良木健氏は2004年9月12日に行った「PlayStation Business Briefing 2004」の中で、「より容量が入るディスクにしようというのが大きな理由」と語っています。そのため、より大容量のBlu-rayがディスクメディアとして選ばれ、ドライブも搭載されました。
ちなみにHD DVDはXbox 360向けに外付けドライブを提供していましたが、普及率は限定的でした。
【3】デッキの製造・販売の影響
Blu-rayはPlayStation 3が対応したことに象徴されるようにゲーム業界から広く支持されたほか、パナソニックとソニーをはじめとした複数の大手家電メーカーからも支持されました。
一方、HD DVDは東芝と三洋電機とNECのみという限られたメーカーでの展開となりました。これにより、消費者の選択肢が限られ、価格競争も不利な状況に陥りました。
つまり、この業界全体の協力体制が、Blu-ray規格の普及を加速させ、HD DVDは苦しい状況となりました。
【4】HD DVDプレーヤーの低価格路線の問題

HD DVD陣営であった東芝は2007年にアメリカでHD DVDプレーヤーを98.87ドルという低価格で販売する戦略を展開。プレーヤー自体は売れたもののソフトの価格は変わらず、そのため約99ドルのプレーヤーを購入する人が35ドルのソフトを購入するハードルは高く、結局単なる短期的な販促策となり、「ハードは売れたがソフトは売れない」という状況に。
さらに、東芝は安価な中国メーカーがHD DVDプレーヤー界に参入してくれることを期待していた面もありましたが、実際には中国メーカーは東芝が仕掛けた99ドルというハードの価格に尻込みし、参入はせず。プレーヤーの低価格路線が逆効果を招いたといえます。
結局、次世代DVDとしてBlu-rayが優れていた理由は何?
Blu-rayは次世代DVDにふさわしい大容量を持ち、ゲーム業界にとっても映像業界にとっても高品質な映像を届けるのに十分な規格。なおかつPlayStation 3が対応したことで一般家庭にその規格が普及。HD DVDはBlu-rayほどの容量を持たず、次世代DVDを求める作り手側の要望に対して十分な回答ではなかったと言えるのではないでしょうか。
このようにして覇権を握ったBlu-rayですが、冒頭でも述べたように生産縮小の波が着実に及んでいます。一方で次世代DVDを巡って大きなポイントとなった「大容量」を求める声は、次世代Blu-rayに対してそれほど寄せられていないのもまた現状ではないでしょうか。厳密にはULTRA HD BLU-RAYがすでに次世代Blu-rayとして流通しているものの、なじみがない媒体だと感じる方の方が多いのでは?
その理由には家庭での4Kテレビや8Kテレビの普及率の低さが挙げられるでしょう。たとえばWOWOWは2025年2月に4Kチャンネルを終了予定。先駆けて、スカパーJSATも2024年に4Kチャンネルを終了しています。
Blu-rayの生産縮小が見え始めている中で、ULTRA HD BLU-RAYに次ぐ「次世代Blu-ray」がどのような規格になるのか、あるいは次世代光ディスクはもう登場しないのか。Blu-rayの今後に注目が集まります。
※サムネイル画像は(Image:「Amazon」より引用)
記事提供元:スマホライフPLUS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。