ロウ・イエがコロナ禍の集団的トラウマを虚実入り乱れる手法で描く「未完成の映画」
「天安門、恋人たち」「サタデー・フィクション」のロウ・イエ監督が、未完だった映画の制作再開に乗り出すもパンデミックにより混乱に見舞われていくクルーたちを描いた「未完成の映画」が、5月2日(金)よりアップリンク吉祥寺、アップリンク京都ほか全国で順次公開される。
監督のシャオルイ(マオ・シャオルイ)は、未完だった映画の俳優とクルーを集め、10年ぶりに制作を再開。そして撮影がほぼ完了した2020年1月、新種のウイルスをめぐる噂が広まり始める。武漢から来た美容師は帰宅を余儀なくされ、一団はホテルに閉じ込められ、監督は今後の決断を迫られることに。やがて武漢がロックダウンされ、主演俳優のジャン・チェン(チン・ハオ)はホテルの部屋から、生後1ヵ月の赤ん坊と共に北京にいる妻のサン・チー(チー・シー)を元気づけようとするが……。
第77回カンヌ国際映画祭のドキュメンタリー部門で上映され、第61回台北金馬奨で最優秀長編映画作品賞・最優秀監督賞を受賞、第25回東京フィルメックスでは観客賞に輝いた。フィクションの物語をドキュメンタリータッチで紡ぎ、そこにパンデミック時を捉えたスマホ映像を織り込むという多層性で観る者を引きつける。
「未完成の映画」
監督:ロウ・イエ
脚本:ロウ・イエ、インリー・マー
出演:チン・ハオ、マオ・シャオルイ、チー・シー
制作会社:Yingfilms Pte. Ltd. Essential Films ZDF/ARTE Cinema Inutile Teamfun International GmbH Gold Rush Pictures
2024年/シンガポール、ドイツ/中国語/107分/2K/カラー/16:9/5.1ch/1:1.85
日本語字幕:樋口裕子 原題:一部未完成的電影 英題:An Unfinished Film
配給・宣伝:アップリンク
© Essential Films & YingFilms Pte. Ltd.
記事提供元:キネマ旬報WEB
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