令和の就活!人材の争奪戦「ボストンキャリアフォーラム」の全貌:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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1月31日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「令和の就職戦線!異状アリ」。
多くの企業がグローバル化を進め、海外で戦える優秀な人材を求める一方で、採用活動において苦戦を強いられている。2024年11月の有効求人倍率は1.25倍で、ここ10年ほど売り手市場が続いていることが原因の1つだ。
そこで注目されているのが、毎年アメリカ・ボストンで開催されるグローバル人材獲得のための世界最大級の就活イベント「ボストンキャリアフォーラム」。企業と学生をマッチングする3日間のイベントで、2024年は日本企業を中心に191社、のべ9000人もの留学生たちが集結した。企業と学生、双方の将来を左右する決戦の場…その悲喜こもごも、真剣勝負の舞台裏にガイアのカメラが迫った。
【動画】令和の就活!人材の争奪戦「ボストンキャリアフォーラム」の全貌
企業と学生の真剣勝負…初参加「アイリスオーヤマ」の挑戦!
宮城・仙台市が本拠地の「アイリスオーヤマ」。家電を中心に消費者目線で開発する商品は次々とヒットし、「アイリスグループ」の売り上げは7760億円に上る。
「日本は少子高齢化で、市場はシュリンク(縮小)傾向。企業成長のためには海外に打って出るしかない」と大山晃弘社長。「アイリスオーヤマ」は近年海外進出に力を入れており、海外の売上比率5割以上を目指していた。
そこで去年、「ボストンキャリアフォーラム」に初参加。陣頭指揮を執る人事部の佐藤祥平さんは、「海外志向がある人材を、こちらから獲得しにいく」と話す。
この日、佐藤さんは、学生から送られてきたエントリーシートをチェックをしていた。
「TOEICも満点で翻訳のインターンもしている。私たちが求めている海外人材に値する」。ハーバード大学、コロンビア大学、さらにフランスやドイツと、世界屈指の大学の学生からも申し込みが来ていた。書類審査を通過した学生には、ボストンで面接したい旨を伝えた。
出発を間近に控えた佐藤さんは、大山社長と最終打ち合わせ。今でこそボストンでの人材獲得に期待をかける大山社長だが、最初に「ボストンキャリアフォーラム」への参加を進言されたときは、すぐに同意しなかったという。
「日本のように会社名だけで応募する人はいない。どういうキャリアパスがあってどういう取り組みをしているのか、しっかり準備しないといい人材は集まらない。『練る必要がある』とダメ出しをした」(大山社長)。佐藤さんは3回のプレゼンを経て、ようやくOKをもらっていた。
「ボストンキャリアフォーラム」が始まったのは1987年。学生の参加資格は日本語と英語が話せることで、参加者の多くは日本人の海外留学生や留学経験がある大学3年生と4年生。しかし国籍は問わず、年齢に上限もない。
イベントの特徴は、多くの企業がその場で学生に内定まで出すこと。企業には優秀な人材といち早く接点を持てるというメリットがあり、学生にとっても、長期化しがちな就職活動をすぐに終わらせることができるというメリットがある。主催は、就職や進学の人材情報を提供する「キャリタス」だ。
主に繊維を扱う商社「豊島」(愛知・名古屋市)も、「ボストンキャリアフォーラム」に参加している。売上高2202億円、従業員は約570人。創業は1841年で綿花の卸問屋として始まったが、現在はファッション産業全般に関わりながらインテリアや食品なども取り扱っている。
キャリアフォーラムへの参加は6回目で、2017年に初出展した際、採用されたのが村井美咲さんだ。当時、村井さんはチリに留学中で、日本の中古車を南米各地に販売する仕事をしていた。そのバイタリティーが評価されたのだ。
村井さんは入社を決めた理由について、「(豊島は)すごく正直だった。『聞きにくいことも何でも聞いて』と言われたので、本当に聞きにくいことを聞いた。『給料はいくらですか』と聞いたら答えてくれた。言いにくいところもごまかさない会社」と話す。
村井さんの担当は生活雑貨で、今「豊島」は、ファッション以外の分野の開拓をより一層進めている。海外で積極的に挑戦できる人材を求め、毎回キャリアフォーラムに参加し続けているのだ。
2024年11月15日、アメリカ・ボストン。「アイリスオーヤマ」の佐藤さんをはじめ、各企業の担当者が渡米し、企業と学生の真剣勝負が始まった。
会場となるのは「ハインズコンベンションセンター」で、今回の参加企業は191社。会場は世界各地からやって来た学生であふれ返り、来場者は3日間でのべ9000人が見込まれている。
こちらは、参加する学生が希望している企業のランキング(※キャリタス調べ)。今回は10位以内にコンサルティングが5社、総合商社が3社、他に「Amazon」や「Google」が入っていた。
ランキング2位の「三菱商事」は、28年前から参加している常連組。「企業説明会は毎回満席。立ち見の人もいる」(「三菱商事」人事部 寺尾明洋さん)。
「三菱商事」は、毎年人事部の採用計画に沿って、現地駐在員が企業説明や面接を行う。
「海外の大学生は外から日本を見て『ふーん』で終わるのではなく、日本を自分の力で何とかしたいという意識がある学生が多い。そこに感銘を受けた」(「三菱商事」室矢昌樹さん)。
特別室を借りてセミナーを開催していたのは、エンターテインメント企業の「KADOKAWA」。夏野剛社長自らボストンに乗り込み、学生にアピールする。
「すでに売り上げの20パーセントはグローバル。これを30パーセント、40パーセントに上げていきたい」(夏野社長)。
この日、「豊島」のブースで説明会を担当したのは、人事部の内田哲史さん。毎回立ち見が出るほどの人気ぶりだ。
終了後は、学生たちが内田さんにエントリーシートを手渡しする。これは“Walk-in(ウォークイン)”と呼ばれる行為で、学生は、興味を持った企業にその場でエントリーシートを提出すれば、事前に申請していなくても面接を申し込むことができる。
内田さんは約20名のエントリーシートを受け取り、気になった学生にはすぐに連絡して面接を取り付ける。この展開の早さが、「ボストンキャリアフォーラム」の特徴の1つ。別のフロアでは、説明会と同時並行で面接が行われていた。
即面接で即内定…人生を左右する決断に学生は!?
取材班は、会場で1人の学生と出会った。池田迅翔さんは「海外で働くなら自分がやりたいし自分が動きたい。(事業を)立ち上げるとか。だからこそ、日本の企業の中でも、ボスキャリに出展できるようなところしか考えていない」と話す。
これまで野球に打ち込んできた池田さんは、甲子園の出場資格を得るも、コロナ禍で大会が中止に。池田さんは戦う舞台を求めて渡米した。自らを売り込むため、全米中の大学に2000通ものメールを送り、奨学金を獲得して大学に進学。しかし、半年で肩と肘を痛めてしまい、野球をあきらめて就職を目指すことになった。
池田さんの本命は、PRサービスの「vector(ベクトル)」。企業などにプロモーション戦略の提案や発信を行い、売上高は592億円。この分野では日本一の企業だ。
池田さんは別のPR会社でインターンとして働いた経験があり、「ベクトルに憧れた」という。すでに事前審査は通過していたため、この日は最終面接を受けた。
「(結果は)メールで来ると思う。今日か明日か分からないが、ドキドキする」と笑顔で話す。
「ベクトル」の面接を受けた池田さんは、佐藤さんが熱弁を振るう「アイリスオーヤマ」のブースへ。池田さんは佐藤さんにエントリーシートを提出した。
「高校の寮で『アイリスオーヤマ』の加湿器を使っていた。夏もサーキュレーターを使っていて、(アイリスオーヤマ)の家電が好きだった」(池田さん)。佐藤さんの説明を聞き、さらに興味を持ったという。
その後、すぐに面接した池田さんは「迷う…。環境が整っている。さすがだなというのはある」と胸中を明かした。
すると池田さんのもとに、憧れの「ベクトル」から「本日19時からディナーに招待させていただきたい」と招待が届いた。池田さんによると“ディナー=内々定”だそうで、招待ディナーは「ボストンキャリアフォーラム」の名物。企業側が「内定を考えている」という意思表示にあたる。
「ボストンキャリアフォーラム」の1日目が終わり、会場近くにあるレストラン。これがうわさの「招待ディナー」の現場だというが、その全貌とは――。
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11月16日、「ボストンキャリアフォーラム」2日目。池田さんは「アイリスオーヤマ」から、特例で2次免除、最終面接を受けてほしいと言われていた。
しかし、会場に到着した池田さんが真っ先に向かったのは「ベクトル」のブース。ディナーに招待され、そのお礼を伝えに来たのだ。すると思わぬ展開が…。
「ぜひ弊社に来てほしい」と内定書を渡された池田さん、早くも念願の内定を手に入れた。
吉柳さおり副社長は、「行動力があって能動的なサバイバル力がある。こういう人材は弊社に必要。(池田さんは)いろいろな会社に受かりそう。内定を出しても半分以下しか受諾してくれない。(これから)何回も弊社の社員に会ってもらい、こちらも魅力を伝える」と話す。
「一番頑張って取り組んでいた企業なので、安心できた。(内定書を)もらう時、ちょっと手が震えた」(池田さん)。
そして「アイリスオーヤマ」の最終面接に向かう。果たして池田さんは、どんな進路を選ぶのか――。「アイリスオーヤマ」は、本当に欲しい人材と巡り合うことができるのか。
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記事提供元:テレ東プラス
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