フィリピン“最後の秘境”で環境活動家たちの闘いを追った「デリカド」
“最後の秘境”や“最後の生態系フロンティア”として名高いフィリピンのパラワン島。屈指のリゾートである一方、違法の伐採や漁業が絶えない。同地の生態系を守るべく、環境警備隊〈パラワンNGOネットワーク(PNNI)〉が繰り広げる闘いを追ったドキュメンタリー「デリカド」が、5月下旬よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。ポスタービジュアルが到着した。
PNNIの闘いは戦争に近く、違法伐採者に銃撃されて命を落とすメンバーが後を絶たない。押収した700ものチェーンソーは、事務所前にツリーのように積まれている。また、団体の代表で環境弁護士のボビーをはじめとする面々は、経済発展のために生態系を犠牲にしようとする政治家や実業家との闘争を展開。ボビーはエコツーリズム推進を掲げた町⻑の再選に向けて協力するが、彼らはドゥテルテ大統領より殺害予告を受けてしまう。果たして島は守られるのか──。
監督のカール・マルクーナスは、かつてAFP通信のジャーナリストとしてパラワン島を訪れようとしていた。だがその矢先、接触していた環境活動家が射殺されてしまう。そこから、島が権力者に破壊されつつあること、それを食い止めようと小さなグループが命がけで活動していることを知り、取材を重ねて自身初の長編ドキュメンタリーとなる本作を完成させた。
エミー賞2023でニュース・ドキュメンタリー部門にノミネート、2022年のシドニー映画祭でサステイナブル・フューチャー賞を受賞。環境保護の過酷な最前線を見届けたい。
「デリカド」
監督:カール・マルクーナス
製作総指揮:ジョディ・アレン、ビーディー・フィンジー、サパナ・バシン、アレクサンドラ・ジョーンズ、ジム・バターワース、アリ・マーシュ
プロデューサー:マーティ・シジュコ、マイケル・コリンズ、カラ・マグサノック・アリッパラ、カール・マルクーナス
撮影監督:トム・バニガン 編集:マイケル・コリンズ、エリック・ダニエル・メッツガー
共同編集:ポール・アレクサンデル・ユーティライネン
脚本:ローラ・ニックス、マイケル・コリンズ、カール・マルクーナス
音楽:ナイニータ・デサイ 統括プロデューサー:シュリース・ハース、マイケル・エレンツヴァイク
登場人物:ロバート・チャン、ニエヴェス・ロセント、エフレン・バラダレス、ルベン・アルザガ、ロドリゴ・ドゥテルテ
制作:THOUGHTFUL ROBOT PRODUCTIONS 共同制作:ITVS & POV
配給:ユナイテッドピープル
98分/米国・フィリピン・英国・オーストラリア・香港/2022年
© 2022 DELIKADO LLC
公式サイト:https://unitedpeople.jp/delikado
記事提供元:キネマ旬報WEB
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