木下稜介の14本を直撃! 契約フリーなのに最新クラブはゼロ⁉ 最新FWは飛びすぎ? PWだけなぜマッスルバック?
2024年シーズンの「~全英への道~ミズノオープン」で3年ぶりにツアー通算3勝目を挙げるなど、賞金ランキング6位に入った木下稜介。2020-21年シーズン以来の賞金王争いに加わった要因の一つが、昨年からクラブ契約をフリーにして自分に合ったクラブを使用できたことだ。木下が選んだ14本を取材したところ、こだわりだらけだった。
クラブ契約フリーになった1年目、24年シーズンを戦ったキャディバッグの中身を見ると、最新モデルが入っいないことに驚いた。ドライバーはキャロウェイの2022年モデル『ローグST MAX』(ロフト9度)にフジクラの『スピーダーNXグリーン』を装着している。
好きなクラブを使えるようになり「いろいろなメーカーさんに協力してもらいながらドライバーをたくさんテストさせてもらいました」と数モデルを打ったが、「トラックマンのデータが一番良かったんです。それにミスヒットしても大きく曲がらない方向性が決め手になりました」。トラックマンデータのボール初速、スピン量、打ち出し角のデータ面と緊張する試合中での方向性を重視して決めた。
また、他のモデルの中には「当たりがいい時に飛距離が出るものもありましたが、僕らは72ホール戦わないといけないので、1発だけ飛んでもあまり意味がないので方向性を重視しています」ということから22年モデルのドライバーがエースとなった。
他のウッド類を見ると3Wはテーラーメイドの22年モデルの『ステルス』、5Wはブリヂストンの18年モデルの『ツアーB XD-F』、アイアン型の3Uはブリヂストンの17年モデル『ツアーB X-HI』といずれも旧作が並ぶ。特に5Wと3Uは初シードを獲得した18年シーズンにはすでに使用していた“ベテラン”でもある。
3Wは270ヤード、5Wは250ヤード先のグリーンを狙うクラブ。「新しいモデルは、上がりやすく飛距離性がある素晴らしいクラブですが、僕にとってはスピン量がすこし少なくて飛びすぎてしまうことがあります。今使っている古いモデルは、飛びと球の上がりやすさがありながら、(スピン量を増やして)めくれる球も打てるので、グリーンで止めたいときに有効なショットが打てます。5Wはヘッドが小ぶりで操作性がいいので一番重宝しています。手放せません」。長くて難しいクラブなだけにやさしさを求めてはいるものの、飛ばしたい時や止めたい時と状況に応じてコントロールできることが基準になっている。
4番から入れるアイアンも使い慣れた『221CB』だが、昨年は最新モデルを試合で投入することもあった。「シーズン中に変えるのが難しくて。印象はすごくよかったのですが、試合になった時に、抑えたり、カットを打ったりした時の距離感の慣れが必要なので戻ってしまいました」と、さまざまな球種でコントロールが求められるアイアンは手に馴染ませる時間が必要という。
ただ、4番から9番まではキャビティタイプだが、PWだけはマッスルバックタイプの『220MB』を使っている。「PWはウェッジ感覚で打ちたいのと、キャビティだとちょっと飛びすぎるのが嫌で……。特にラフからフライヤーしすぎる感じがあるのでマッスルにしています」。アイアンはやさしさを求めてキャビティを使用するが、ラフが深いセッティングが多いトーナメントに置いて、“想定外”の飛びにならないようにPWだけ替えている。
全体的に「方向性重視」でクラブを組み立てている。フルショットだけでなく、ドローやフェード、高低などさまざまな球筋をコントロールが求められるだけに、手に馴染むクラブ選びも重要になるということだ。海外ツアーにも積極的に参戦する木下は、過酷なセッティングでも戦える14本といえるだろう。
【木下稜介のクラブセッティング】
1W:ローグ ST MAX LS(9度/スピーダーNXグリーン 60X)
3W:ステルス(15度/スピーダーNXグリーン 70Xプロト)
5W:ツアー B XD-F(18度/ベンタスブラック7X)
3U:ツアー B X-HI(20度/N.S.PRO モーダス3プロト)
4I~9I:221CB(N.S.PRO モーダス3プロト)
PW:220MB(N.S.PRO モーダス3プロト)
52度:Xウェッジ(DG ツアーイシューオニキスブラック S200)
58.5度:タイトリストボーケイ ウェッジワークス(DG ツアーイシューオニキスブラック S200)
PT:オデッセイ トライホット 5K ONE
BALL:ツアー B X
(2024年に撮影したもの)
◇ ◇ ◇
昨季3勝を川﨑春花のセッティングを分析。関連記事【24年シーズン3勝・川崎春花の14本を分析! なぜ1WもUTもアイアンも古いモデルを使うのか?】を読めば、強さの秘密が分かります。
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。