事故のない安全な農作業を VRで模擬体験 福岡のJA筑前あさくらが地元催事にブース設置
福岡県朝倉市の甘木公園で2024年秋、第4回農商工市民フェスティバル「あさくら祭り」が開かれた。テーマは「朝倉の風を感じ未来へ種を蒔(ま)こう」。地元産業を盛り上げる農商工従事者の特色ある出店ブースが並び、家族連れら大勢の人でにぎわった。
農業関連ブースでは、地元朝倉の秋の実りを実感できる果物や野菜の詰め放題を行うブースなどに長蛇の列ができた。また農家の高齢化を背景に増加が懸念される農作業事故をVR(仮想現実)の映像で疑似体験するブースも農家以外の人も含め関心を集めた。
リンゴの収穫中に脚立から落ちる事故を疑似体験した会社員の50代女性は「家の中でも脚立を使うので参考になる。映像がリアルなので対策を具体的にイメージできた」と話す。
脚立のほか、耕運機やコンバイン、スピードスプレーヤー(農薬散布機)、刈払機、農用運搬機、田植機の使用中の事故もVRで疑似体験できる。耕運機とコンバインの事故を疑似体験したコメの兼業農家の60代男性は「耕運機であぜを乗り越える時など、ひやりとしたことは何度もある。VRは初体験だが事故防止の注意点も学べるので役に立つ。ベテラン農家は自分だけは大丈夫と思いがち。慣れが一番怖い」と気を引き締めた。
息子が事故のVR体験に挑戦した会社員の30代男性は「農家の祖父は指先を切る小さなけがをよくしていた。食を担う農業は大切なのでこうした取り組みを広げてほしい」と話した。
農作業事故のVR体験ブースを設けたJA筑前あさくら金融共済部の担当者は「チラシや研修会で事故防止を啓発してきたが、事故をより実感できるVRが効果的と考え企画した。最近管内では農作業事故の相談が増えており、今後もVRを積極的に活用して事故を1件でも減らしていきたい」と意気込む。事故のない安全な農業の実現に向けて、未来への“種まき”が続く。
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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