テレンス・マリック「天国の日々」、映像美を甦らせた4K版でリバイバル
テレンス・マリック監督が20世紀初頭のテキサスの農場を舞台に、人間の弱さと脆さを美しい映像で描き、第32回カンヌ国際映画祭監督賞、第51回アカデミー賞撮影賞などに輝いた「天国の日々」(1978)。マリック自身の監修による4Kレストア版となり、4月4日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開される。ティザーポスターと場面写真が到着した。
カメラはヌーヴェル・ヴァーグ作品でおなじみのネストール・アルメンドロスが担い、夕暮れのシーンはすべて、1日わずか20分の柔らかな光が満ちる“マジック・アワー”に撮影。マリックとアルメンドロスの狙い通り、絵画のように美しい画面が実現するが、極度のこだわりゆえにスケジュールも予算も大幅に超過し、プロデューサーのバート・シュナイダーは自宅を抵当に入れたという。そして、次回作が控えていたアルメンドロスは残りの撮影をハスケル・ウェクスラーに託し、本作を執念で完成させたマリックは次回作「シン・レッド・ライン」まで20年間も沈黙する。
ここ数年で急増した4K素材と従来の2K素材の違いについて、国立映画アーカイブの主任研究員・岡田秀則氏は「画面の肌理が違う。デジタルスキャンによる解像度は、4Kでようやく化学分子からなる35mmフィルムのレベルに達する」と解説。さらに、フィルム映写機とDCP(現在主に使用されるデジタル上映素材)の違いについては「劇場の暗い環境で鑑賞することで、グラデーションの違いがよく分かる」と語る。アルメンドロスがアメリカ映画に持ち込んだ“ヨーロッパの光”を、設備の整った劇場で目の当たりにしたい。
「天国の日々 4K」
監督・脚本:テレンス・マリック
製作:バート・シュナイダー、ハロルド・シュナイダー
撮影:ネストール・アルメンドロス、ハスケル・ウェクスラー
美術:ジャック・フィクス
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:リチャード・ギア、ブルック・アダムス、リンダ・マンズ、サム・シェパード、ロバート・J・ウィルク、ステュアート・マーゴリン
1978年/94分/アメリカ/カラー/5.1ch/1.85:1
原題:Days of heaven 配給:アンプラグド
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公式サイト:unpfilm.com/heaven
記事提供元:キネマ旬報WEB
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