「ドライバーはキャリーで300~310ヤード」 幡地隆寛が国民的格闘技マンガから得た飛ばしのヒント
188センチの長身から「ドライバーはキャリーで300~310ヤード」飛ばす幡地隆寛。30歳で迎えた昨シーズンは、2月のアジアンツアー「ニュージーランドオープン」の優勝を皮切りに、日本ツアーでも5月の「関西オープン」、9月の「バンテリン東海クラシック」と2勝を挙げて飛躍を果たした。ゆったり振っているように見えて、なぜそんなに飛ばせるのか。本人に聞いてみよう。
「ジュニアの頃から飛ぶ方ではありました。大学からプロにかけてアベレージも伸びていって、マックスだと大学のときが一番飛んでいましたね」。2020-21年シーズンに平均313ヤードでドライビングディスタンスのタイトルを獲得。しかしそれ以降は、3年連続で河本力にタイトルを持っていかれた。
「僕が下部ツアーに出ていた時代に、彼(河本)もアマチュアで出ていて、僕の方が飛んでいたんです。それが2022年の三井住友VISA太平洋マスターズの3日目に同じ組になって、キャリーで抜かれたのでヤバいなと思いました」
今年の6月に32歳を迎える幡地も、このまま飛距離を諦めるつもりはない。「40歳に向けて、もうひと段階伸ばしたいのはあります。スイングをどうこういじるというよりは、体作りをして、320ヤードキャリーまでは持っていきたい。河本は330ヤードとかいくと思うんですけど、お互いに成長できればいいですね」。23年の「ダンロップフェニックス」3日目に、メジャー5勝のブルックス・ケプカ(米国)と回って「別次元の新たなゴルフを見つけてしまった」ことも、体作りが足りないと感じたきっかけになっている。
幡地のスイングはゆったりとしていて、写真や動画で見ても力感があまり感じられない。実はそこが飛ばしのポイントでもある。「振りたいときほど体をどれだけリラックス状態に持っていけるか。要らないところに力を入れると飛距離をロスしてしまう」。
そのヒントになったのは国民的格闘技マンガだった。「ジュニアのときに『刃牙』を読んで、空手家がマッハの速度のパンチを打つときに『脱力』だと言っていたんです。ゴルフにも使えるかなと思った。それが今でも頭の中に強く残っていますね」。
上半身は脱力して、下半身は地面に圧力をかけられる姿勢を心がけている。「スクワットしたときに体重が入りやすいスタンス幅がある。広過ぎると入りづらい。僕の場合は肩幅くらい。また、調子が悪くなるとボールに向かって構えてしまうので、正面に線を作って、線に対して構えられているかをチェックします」とアドレスを重要視している。
実際にスイングするときに注意しているのは右ワキ。「ダウンスイングで右ワキが空かないように意識しています。ちょっと右ワキを締めて、グリップは極力ゆるめです」。幡地の中で力を入れるタイミングはボールに当たる20センチ手前。それまでは力まない。「フトン叩きを振るときは手首のスナップを利かせて、当たる瞬間に力を入れている。そういう感覚に近いのかな」。大きなタメを作れる理由もそこにある。
そして、しなやかに振っていくスイング全体のイメージは、メジャー通算15勝のレジェンドを参考にしている。「僕の頭の中にはタイガー・ウッズがいます(笑)。切り返しでちょっと沈んだりするタイミングは、好きな人をイメージしながら打っています」。スイングも形にこだわり過ぎると、流れを失い淀んでしまう。幡地は格闘技マンガから得た“脱力”に、史上最強ゴルファーの“スイングテンポ”で310ヤードキャリーを実現していた。
■幡地隆寛
はたぢ・たかひろ/1993年生まれ、広島県出身。188センチの長身を生かしたドライバーショットはキャリーで300ヤードを超える。ツアーデビューは2016年で、初シード獲得までは6年を要した。プライベートでは「下部ツアーに出ているときから支えてもらっている」という年上の志保さんと21年に結婚している。
◇ ◇ ◇
●幡地が飛躍を遂げた陰にはこだわりのクラブセッティングがある。関連記事の【ウソだろ!? 幡地隆寛愛用のアイアンは、6番のロフトを寝かせて7番として使っていた!】では、アイアンの番手ズラしの理由についてレポートしている。
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。