伊藤詩織の初監督作「Black Box Diaries」がアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞のショートリストに選出
自身の性的暴行に対して勇気ある調査に乗り出していく姿を記録した、伊藤詩織の初監督作品「Black Box Diaries」が、第97回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞のショートリストに選出された。
日本人監督の作品が、アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞のショートリストに選出されるのは史上初。本作は本年のサンダンス国際映画祭での上映を皮切りに、50以上の映画祭において18の賞を受賞、ドキュメンタリーのアカデミー賞とも称されるIDA(International Documentary Association)ドキュメンタリー賞で新人監督賞を受賞している。また、EU議会、英国国会、UN Womenや国連腐敗防止条約などでも本作の講演が行われ、賛同の声が世界に広がっている。
〈コメント〉
注目に値する。伊藤詩織の監督デビュー作である本作は、緊迫した、胸に迫るドキュメンタリーであり、長きにわたって労苦してきたひとつの性的暴行事件というプリズムを通して、システム化された不正の世界を浮き彫りにする。その生々しい一人称の視点は、他の映画作家の興味に邪魔されることなく、伊藤監督のジャーナリスティックな手腕によって物語に厳密さを与え、『Black Bok Diaries』を現代日本における家父長制的な権力構造の忌まわしい分析としてだけでなく、サバイバーとして生きることで生じる日々の心理的な揺れや綻びを鮮やかに喚起している。
勇気ある率直さ。この映画は注目に値する…。切迫した個人的な視点と、緊迫したリーガルドラマの展開…。
この映画は驚くべきものだ…その切迫した個人的視点と緊迫したリーガルドラマの造形で…まったくもって引き込まれる。
純粋に芸術的で直感的な映画作家である。
──ガイ・ロッジ『バラエティ誌』
必見。寛大で、勇気があり、最終的には希望に満ちた映画である。
伊藤を重要な新しい声として確固たるものにした。
──トムリス・ラフリー『ハーパーズ・バザー誌』
伊藤自身のジャーナリストとしての粘り強さ、そして個人的な決意と憤りが、反対のことをするようにという大きな圧力にもかかわらず、彼女の物語を公表させる。彼女が引き下がらなかったことは英雄的行為であり、さらに多くの人々を鼓舞するだろう。
──ジャスティン・チャン『ロサンゼルス・タイムズ紙』
苦悩に満ちた切迫したパーソナル・ドキュメンタリー、調査、対決、行動…。惜しげもなく率直な映画的感性。
──リチャード・ブロディ『ニューヨーカー誌』
引き込まれる、必見の映画。多くの人が自分の物語を封じ込めようと懸命に闘ったとき、伊藤が自分の物語を語る勇気は何ものにも代えがたい。彼女の旅はレジリエンスのひとつである。私たちは皆、驚くべき伊藤詩織から1つや2つ(あるいは3つ)のことを学ぶことができる。
──クリスティーヌ・ジャン=バティスト『ELLE』誌
並外れた新しいドキュメンタリー。伊藤詩織の決意と犠牲に対する記念碑であり、今年最高のドキュメンタリーのひとつである。
伊藤詩織は世界を変えた。そして『Black Box Diaries』は、彼女の決意と犠牲の記念碑であり、今年最高のドキュメンタリーのひとつでもある。
──マーロウ・スターン『ローリング・ストーン誌』
純粋に力を与えてくれる映画であると同時に、日本の女性たちに残された課題についても全く明確な目を向けている。 ★★★★
──ニコラス・ラポルド『フィナンシャル・タイムズ紙』
この映画は、世界で最も文明化された国のひとつであることを自負する日本における犯罪と司法に対する伊藤の斬新なアプローチによって、より衝撃的なものとなっている。
──ピーター・ハウエル『トロント・スター紙』
驚異的な究極のノンフィクション・リーガル・スリラー
衝撃的。時に爆発的で、時に破滅的な回顧録。
伊藤詩織は、10年にわたる映像を勇敢に、そして見事にまとめあげた。
正義を追求する彼女自身の姿を綴った感動的な手記である。
トラウマ、回復力、執念の捜査の物語である。
──デヴィッド・キャンフィールド『ヴァニティ・フェア誌』
衝撃的。勇気ある作品。 ★★★★
──ピーター・ブラッドショー『ガーディアン紙』
「Black Box Diaries」
監督:伊藤詩織
記事提供元:キネマ旬報WEB
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