こっちも勝手に決める! 輝く! 週プレ『やりすぎバイク・オブ・ザ・イヤー2024』
【第1位】カワサキ ニンジャ e‐1 時速3キロでバックするリバース機能を備えるなど、既存のバイクとは操作方法がだいぶ違う。車体重量は140㎏なので取り回しは楽
今年、各バイクメーカーから大放出された魅惑のマシンの中から、7台の受賞車を独断で勝手に決定。選考委員長は試乗取材の鬼神、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏!!
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■1位と2位は脱炭素バイク!青木 今年のやりすぎバイク・オブ・ザ・イヤーを発表します。栄えある第1位は今年1月に発売されたカワサキニンジャe-1。同社初の電動バイクで〝漢カワサキ〟らしくフルカウルのスーパースポーツです。カワサキ自慢の〝ニンジャ〟の称号を与えていることからもメーカーの意欲作であることがわかります。
ちなみに格上のニンジャH2と同様のフレームを採用し、ヨンヒャク並みの車格を持ち、見た目も威風堂々!
――〝漢カワサキ〟からEVが出る時代に! ちなみにニンジャe-1のクラスは?
青木 日本国内の原付二種(51~125㏄)規格に沿った仕様になっています。経済性に優れる原付二種は国内二輪市場で右肩上がりの爆売れクラス。加えて海外市場でも需要が高い。カワサキが新型EVスポーツを投入したことで、「このセグメントをリードしていく!」という積極的な姿勢も感じました。
――どこがやりすぎ?
青木 乗って驚くのは電動モーターによるダッシュ力。停止時からの発進加速が鋭い。しかも、追い越しや上り坂など「ここぞ」というときは裏技も。
――裏技?
青木 ハンドル右にあるボタンを押すと15秒間限定で速くなる。その間、バッテリー電力は大きく消費しますが、その強烈な加速はヤミツキ確実。実際、青木は連打せずにはいられませんでした。
――EVで気になるのは航続距離です。ニンジャe-1はどのくらいの距離を走れる?
青木 メーカー公表値で72㎞です。バッテリー消費の少ないエコモードにしつつ、クルマの流れの速い幹線道路では、よりパワフルなロードモードにするのがコツです。
ちなみに新品バッテリーを積むニンジャe-1に乗りましたが、50㎞以上を走っても電力には余力がありました。街乗りなど都市部中心で使うなら、バッテリー切れの心配は必要ないかと思います。
【第2位】チームスズキ CNチャレンジ モータースポーツでも脱炭素に取り組んでいるスズキ。サステナブル燃料で酷暑のレースを見事完走。技術力の高さを世に知らしめた
――続いて第2位は?
青木 今年の鈴鹿8時間耐久レースにサステナブル燃料のマシンで参戦して総合8位の快挙を成し遂げたチームスズキCNチャレンジです。
――どこがやりすぎ?
青木 燃料だけでなく、タイヤ、オイル、ブレーキなどマシンに備わるパーツ類もすべてサステナブルな素材を用いた部品を使用する徹底ぶり。長丁場の耐久レースは人材育成にも格好の場所です。
MotoGPで指揮を執ったスズキの佐原伸一氏の下、社員が一丸となって挑む姿は激アツでした。スズキのMotoGP復帰祈願も込めての2位!
【第3位】ヤマハ XSR900GP 888㏄の直列3気筒エンジンは120psを発揮。試乗した青木氏いわく、「峠道では切れ味鋭い走りを堪能できましたよ!」
――3位はヤマハです。
青木 今年5月に発売のXSR900GP。WGP(現MotoGP)でケニー・ロバーツが乗り、ホンダのフレディ・スペンサーらと激闘を繰り広げた1983年のYZR500を彷彿とさせるスタイルがやりすぎ。
何しろ〝マルボロカラー〟と呼ばれた白×赤のカウルに、超攻撃的な前傾姿勢となるセパハン&バックステップを装備! レーサーレプリカ全盛期のバイクブームを知る昭和のオジさんたちは感涙&悶絶ヨガリ泣き。一方、若者たちの目には斬新に映るようで、幅広い層のライダーたちを魅了しています!
■ホンダにBMWもランクイン!
【第4位】ホンダ CB650R Eクラッチ クラッチレバーの操作は一切不要だが、あくまでマニュアルトランスミッションなので、シフトペダルによる変速操作は必要
――4位はホンダです。
青木 今年6月発売のホンダCB650R Eクラッチ。クラッチ操作は一切不要です。
――ということは、いわゆるオートマ機構なんですか?
青木 クラッチレバーの操作のみをモーターが人間の代わりにやってくれますが、普通にシフトペダルの操作は必要なマシンです。
――要するに進化型のマニュアルトランスミッションなんですね。
青木 とはいえ、クラッチレバーは普通にありますので、システムを不要に感じ、自身で操作したいときはレバーを動かせば、すぐにEクラッチ機構は解除されます。
――なるほど。
青木 構造的には既存の車両に後づけできるものなので、仮に普及すれば歴史を変えた開発になると思います。
【第5位】ヤマハ MT‐09 Y‐AMT AT限定免許でも乗れるクラッチ操作不要の新型ロードスポーツをサーキットで試した青木氏いわく、「より集中して走りを楽しめる」
――続いて5位はヤマハです。
青木 今年9月発売のMT-09 Y-AMTに決定です。
――こちらはホンダと異なりシン・オートマ機構とか?
青木 クラッチ操作に加えて、トランスミッションの操作も電子制御になります。クラッチレバーもありません。開発チームいわく、「ノンクラッチで走りに集中してもらいたい」とのこと。
【第6位】スズキ GSX‐8R 「並列2気筒エンジンは非常に扱いやすい。このバイクはオトナが肩肘張らずに長距離ドライブを楽しむのに最適です」と青木氏
――6位は今年1月発売のスズキGSX-8Rです。
青木 過激すぎるバイクは扱いきれず、乗車姿勢も窮屈になりがちでツーリングで疲れてしまいます。リッタークラスのように大きすぎない、日本の狭い道でも走りやすい、いわゆるミドルクラス(601~800㏄)が見えを捨てたライダーたちの間で大人気!
――実際、試乗すると?
青木 このGSX-8Rはスリムな車体に、フルカウルを身にまとうスポーティなスタイルですが、グリップ位置が低すぎず、上半身の前傾もきつくありません。また、パワーを持て余すこともなく、サイズ的にもちょうどいい。見えを捨て、スペックへのこだわりをやめた〝オトナ向け〟の選択肢です。
【第7位】BMW CE 02 見た目も走りもチョー近未来的。3.5インのディスプレーはシンプルだが視認性抜群。車重は132㎏で、取り回しや押し引きも問題ナシ
――第7位は今年4月に発売となったBMWのEV!
青木 CE 02です。日本発売前にポルトガルのリスボンで試乗しました。
――近未来感ハンパない!
青木 開発責任者を直撃すると、「コイツは都市の若者をメインターゲットにした(独自のカテゴリー)eパルクーラーだ」と教えてくれました。要はフランス発祥のエクストリームスポーツ・パルクール(移動動作で心身を鍛える運動)のように、アクロバティックにストリートを駆け抜けるイメージですね。
――クラスは?
青木 日本向けでは軽二輪クラス(126~250㏄)に相当するので高速道路も走れます。小型スクーターとフルサイズスポーツの中間的なサイズで安定感も抜群です。
――どこがやりすぎ?
青木 滑りやすいといわれる欧州の石畳の道でもスリップしないのは、先進的な電子制御によるもの。要するにBMWが四輪で培ってきた最新のEV技術をギガ盛り投入! 見た目も技術もやりすぎです。
撮影/柴田直行 夏目健司 中野英幸 奥隅圭之 写真提供/BMWモトラッド
記事提供元:週プレNEWS
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