「ぼくが生きてる、ふたつの世界」「正欲」などの脚本家・港岳彦、桜木梨奈&カトウシンスケの二人芝居で演劇初挑戦! 「マルコとグリーンの海」1月上演
映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」「正欲」「ゴールド・ボーイ」など、話題作を連発している脚本家・港岳彦による初の演劇作品『マルコとグリーンの海』が、2025年1月11日(土)~13(月・祝)まで、東京・神保町のブックカフェ20世紀で上演される。
映画「すばらしき世界」やTVドラマ『真犯人フラグ』などで知られる桜木梨奈と、映画「ケンとカズ」、「誰かの花」などの個性派俳優・カトウシンスケによる二人芝居。港の演劇制作母体「ヒコ・カンパニー」の記念すべき第1回公演となる。
会場であるブックカフェ20世紀の店長であり、『キネマ旬報』誌で長年ピンク映画時評を連載している評論家・切通理作が、桜木に「芝居をやりましょう」と持ち掛けたことから始まったという本企画。切通と桜木から台本執筆を依頼された港は、長年の演劇への想いもあり、これを快諾。敬愛する石井隆監督作品のヒロインでもある桜木が主演するとあって、みるみる構想が膨らみ、新たに演劇の制作母体として「ヒコ・カンパニー」を立ち上げるまでに至ったという。
ちなみにブックカフェ20世紀で演劇が上演されるのは、今回が初めて。桜木にとっても初の舞台主演作となり、「はじめてづくし」の公演となる。
演出を務めるのは、ピンク映画をはじめ数多くの映画で幅広く活躍するベテラン女優の里見瑤子。近年は二人芝居『小鳥の水浴』の主演や演出を務めるなど、舞台でも活躍しており、人物描写やブックカフェという場所をどう使うかなど、その演出手腕に期待がかかる。
さて、気になる芝居の内容だが、基本となるのは、閉店後のとあるブックカフェで一晩を過ごす男女の会話劇。街で出会い、意気投合したルカ(桜木)とハルト(カトウ)。言葉を交わすなかで、次第にお互いの過去を知る。ルカはかつて他者を「害」したことがあり、そこから目をそむけつづけてきた。一方、ハルトは「害」を受けた過去があり、そこから立ち直れないでいた。方向の違う「害」に囚われたふたりは、夜がふけるにつれ、どのように変わっていくのか?
港と言えば、自身が脚本を手掛けた映画が、監督の性加害問題が表面化したことによって公開中止となった事件以来、映像業界における性暴力・ハラスメント問題に真摯に向き合ってきたクリエイターのひとりとして知られる。複雑な力関係が生むこの問題を考えるなかで導き出されたものが、今回の舞台でどう描かれるかにも注目したい。
主催者や出演者のコメント、および開催概要は以下のとおり。
■主催・劇作家の港岳彦
高校演劇で初めて台本を書いたとき、参考にテネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』を分析しました。そうか、絵空事でなく、リアルな自分の思いや生活を書いていいのか。自分の家庭のことを赤裸々に書いていいのか。個人的な声をぶつけていいんだ……。お勉強としてシェイクスピアやチェーホフを読んだときには思いもよらなかったことを学びました。
映像作品の脚本を書き始めて20年近く。やっと演劇という原点に戻ります。
桜木梨奈さんとカトウシンスケさんという、ずっと大好きで信頼している俳優たち。2005年に二人芝居『小鳥の水浴』を見て以来、ぼくにとってずっと特別な存在の里見瑤子さん。時には厳しく、時には頼り甲斐のある批評でぼくの拙いキャリアにお付き合いくださっている切通理作さん。
これ以上はない布陣による『マルコとグリーンの海』への船出です!
■主人公・ルカを演じる桜木梨奈
私にとって今回、作品作りの企画段階から携わるのが初!
80分の二人芝居も初!
ひたすら喋り続ける会話劇も初!
単独公演の作品では初の主演舞台!
桜木史上初物尽くし。
正直、泡吹き上げちまいそうですが、初めては2度とありませんし、この座組も本作限定なのでぜひ観に来てください!
「一緒に演劇やろう!」と奇跡的なご縁で集まった、この大好きなメンバーとお芝居できる喜びを胸に、高純度のエネルギーであなたをお迎えいたします。
とにかく繋がりたい。お芝居を通して、その空間にいる一人ひとりと一瞬でも一つになれたなら…そんな美しい瞬間を夢見ています。
■主人公・ハルトを演じるカトウシンスケ
『ある日、敬愛する脚本家・港岳彦さんからメールがきた。「舞台に出ませんか?」僕は港さんの言葉を吐き続ける欲望に負け、膨大な台詞量の舞台に出演することになった。
ちょっとした小さな小さな出会いが人生を変え得るほどの出会いになる。そんな事をいろいろ経験してきて今の自分がある。
良いことも悪いことも様々な要素が今の自分を形成している。余計なものもこびりついているであろう。
僕はまれにその自分という存在の輪郭があやふやになる。
自分ってなんだ? 人は何をもって自分という輪郭を定義しているのだろう?
常にぶつかるこの問いに、この演劇で真っ向から挑むことになる。
呪いも祝福も余計なもの全部ひっぺがしてひっぺがして、真っ暗な其処に手をそっと伸ばしてみよう。
人間の業を優しく抱き寄せながらも激しく激しく魂を剥き出していく二人の人間の身体が、静かに激しくあなたの存在を肯定する。
私が見ている世界とあなたが見ている世界はもちろん違う、そんな当たり前な事を受け入れて肯定する。
そんな演劇ができたらいいなあ。皆様のご来場心よりお待ちしております。
ヒコ・カンパニー 「マルコとグリーンの海」
出演:桜木梨奈、カトウ シンスケ
作:港岳彦 演出:里見瑤子 企画:切通理作(ネオ書房)
制作:古川碧 演奏:小林ヤスタカ スチール撮影:早坂伸
宣伝美術:小川由華 絵:「マレッティモ島の海」小林泰寛(アトリエブラヴォ)
上演時間:90分
主催・プロデュース:ヒコ・カンパニー
協力:TaKETEAM、ADONIS A
◎会場:ブックカフェ20世紀(運営ネオ書房)
東京都千代田区神田神保町2-5-4 開拓社ビル 2F
地下鉄神保町駅(半蔵門線/都営新宿線/都営三田線)のA1出口より
◎料金(自由席)
学生2500円+1drink
一般3500円+1drink
障害者割引 1500円+1drink
※当日券は+500円
※第一種障害者手帳をお持ちの方は付き添いの方1名のみ無料となります。
◎日程:2025年1月11日(土)、12日(日)、13日(月・祝)
(各13:00/18:00・全6回公演) ※13日は舞台手話通訳あり
◎チケット取扱・問い合わせ:
・こりっちチケットフォーム
・ブックカフェ20世紀:03-5213-4853 kirira@nifty.com
記事提供元:キネマ旬報WEB
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。