金谷拓実が苦しみ乗り越えて念願の“賞金王”戴冠 どんな状況でも揺るがないマインド「どの1打も大事」
<ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日◇30日◇東京よみうりCC(東京都)◇7002ヤード・パー70>
2020年にプロ転向し、20-21年のルーキーシーズンに賞金ランキング2位、22年は29位、23年は3位とこれまで“賞金王”のチャンスを2度逃していた金谷拓実。最終日に1イーグル・4バーディ・3ボギーの「67」で回りトータル9アンダー・3位でフィニッシュ。念願の王者となった。
今大会開催前は同1位の平田憲聖と年間獲得賞金額288万9657円差で争いが始まった。どちらが優勝してもおかしくない状況で、最終日まで予測ができなかった。金谷は「本当にこの大会に入るまでも本当に苦しかったし、きょう1日18ホール、いままでで1番長かったです」と緊張感が溢れる長い一日を終えて、どこか表情が和らいでいた。
これまでのプロとしての3シーズンを振り返るとルーキーシーズンは「もっと簡単に…簡単というのは言い方が変かもしれませんが、賞金王を“通過点”という気持ちはすごくあった」と感じていたことを明かす。しかし、「去年だんだんその賞金王の重みを感じ始めて」と昨季賞金王に輝いた中島啓太と中盤戦から熾烈な争いを繰りひろげ最終戦の前戦で決着がついた昨年に1番になる大変さを感じていた。
「やっぱり最後の4連戦、最初の御殿場(三井住友VISA太平洋マスターズ)で単独トップ(2日目、3日目)から出て、スコアを崩してでもそういうチャンスをつくり続けていればつめるときもあると思っていた。そういった経験がこれまでの去年の中島選手との最後までの(賞金王争いの)経験が生きたのかなと思います」と昨年、中島と戦った経験が金谷の今回の結果にもつながっている。
今年は最後まで平田と争いを演じたが「平田選手のプレーは本当に素晴らしくて、彼が今年ツアーを引っ張ってくれたと思うし、彼のおかげでツアーのレベルも上がって、最後まで盛り上がったと思う。本当に彼に感謝しています」と讃えた。
この日、朝から金谷の組にはたくさんのギャラリーがついていた。「きょうはたくさんの方が応援してくれたり、きょう広島から母も応援に来てくれた。その中でしっかり自分らしいプレーをする気持ちはずっとありました」とプレー中の心境を明かす。
今年の終盤戦は報道陣から賞金王争い関係の取材を数多く受けるも、あまり勝気を表に出してこなかった。さらに「申し訳ないですけど、シャットアウトしていました」と自身が書かれるネットニュースなどはスルーし、自身のゴルフプレーだけに集中した。
「去年すごく苦しい思いをしたから、どういった状況でもベストを尽くせるように、それだけをずっと考えながら過ごしてきました。特に終盤戦はそういったこと(賞金王争い)もやはりみんな気になってくると思うし、聞かれたりもした。だけど、結局どの状況でも、どの1打も大事」と最後まで金谷がモットーにしている“自分らしいプレー”を貫いたことが“逆転賞金王”へとつながった。
賞金ランキング1位(2位、3位には限られた試合数)の選手には、来季のDPワールド(欧州)ツアーの出場資格が与えられる。会見では、大会が終わった直後のこともあり「終わったばかりだから全く…」と来季のスケジュールについは検討中とした。しかし、金谷の今季の戦いはまだ終わっていない。12月3~6日に行われる米国男子ツアーの2次予選会に出場する。通過することができれば、翌週(12~15日)の最終予選会へ進む。
この日の深夜便で移動とバタバタなスケジュールではあるが、海を越えた先でも自身のスローガンとも言える“自分らしいプレー”を意識して、目標である米ツアー参戦への切符を掴みに行く。(文・高木彩音)
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