番手間の距離がピッタリそろう! HS40m/sでもギリギリ使える『スリクソン ZXi7 アイアン』
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。
ダンロップは、『スリクソン ZXi7 アイアン』を2024年11月9日に発売。『スリクソン ZXi7』のコピーは、“「i-FORGED」により非常に軟らかい軟鉄「S15C」を採用可能にし、スリクソン史上最高を実現。操作性とスピンコントロール性能に優れたZXi7 アイアン。”です。
最初に注目したのはソールです。「TOUR V.T. SOLE」というテクノロジーは、ソール形状とバウンス角の最適な設計でインパクト時の抜けの良さを向上させるそうです。V字ソールに、ネック付近の段差は、以前にも見たことがあるものですが、ソールの幅は狭いからこそ、効きの良し悪しが大きく影響すると推測できます。
「PROGRESSIVE GROOVES」は、最適なスピンを生む番手別設計になっています。3番~7番の溝は広く浅く、8番~PWの溝は狭く深く、数も増やすというハウツーは、使用するシーンごとに最適なパフォーマンスを可能にする要因となるでしょう。
そして、名称にも入っている「i-FORGED」というテクノロジーが、『スリクソン ZXi7』では特別で、非常に軟らかい軟鉄「S15C」と進化した「PUREFRAME」の組み合わせで歴代最高の打感を生むということです。
『スリクソン ZXi7』の7番アイアンのロフトは32度です。オーソドックスなアイアンのロフトの34度と比べると、半番手分立っています。
最後に、バックフェースに好感を持ちました。打点の裏を膨らませてボリュームを持たせるのはトレンドですが、『スリクソン ZXi7』はかなり大きく重心位置も高めの膨らみです。これを見ると、『スリクソン ZXi7』は最上級者用、ツアーユースな孤高のアイアンというイメージが完成します。
試打した『スリクソン ZXi7』は「ダイナミックゴールド」のS200フレックスが装着した、5番~PWの6本です。試打した日は、気温19℃~21℃で、曇り、微風でした。ボールは打ち慣れていてクラブだけの影響に集中出来る『TOUR B X』を使用しました。
【打感・打ち応え】
『スリクソン ZXi7』の打音は、ちょうど良い大きさの音量で、音質は濡れた鞭系と硬質系のミックスで高音です。打ち応えは、軽さが強調され、抜け感が独特、手応えは、芯感がかなりハイレベルにクリアです。
【弾道・球筋・スピン性能】
『スリクソン ZXi7』の弾道は、高めの中弾道です。基本的には、ストレート系が得意だが、フェードに敏感に反応して気持ちが良いです。理想的な伸びがある弾道で、スピン性能はツアーアイアンとしては強すぎる効きで、好きな人は楽しめます。
【距離性能】
『スリクソン ZXi7』の飛距離は、ロフト通りで、クラシックなロフトのアイアンよりほぼ半番手飛びます。番手間のピッチが完璧でツアーアイアンらしさ満点です。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『スリクソン ZXi7』は、前モデルのような中途半端なやさしさを捨てて、振らないと機能しない無骨なツアーアイアンとして見事にチューニングされています。
ヘッドスピード40m/sが使用できるギリギリの加減だと感じました。(シャフトで違いがある可能性あり)とにかく、しっかり振らないと、全く機能してくれないのには驚きました。しっかり振るというのは、速度だけではなく、芯にもある程度当てていけるという精度も含みます。ぱっと見がやさしそうに見えるので、軽い気持ちで購入して、使い熟せないでスコアが悪くなるという失敗を警戒すべきアイアンです。
もう一つ、驚いたのがスピン性能です。この手のハードで無骨系のツアーアイアンは、計算が難しい強いバックスピンがかかるのを嫌う傾向がありますが、『スリクソン ZXi7』は予想に反してかなり強烈にスピンが効きます。9番アイアンでも、平地の落下地点から2ヤードも戻ったボールがありました。もし、速い受けグリーンであれば、下手をすれば、バックスピンでボールがグリーンを出てしまうスピン量です。そういうスピンが好きなゴルファーも少なくないので、マイナスではありませんが、かなり衝撃的でした。
『スリクソン ZXi7』で注目すべきという打感については、残念ながら、手放しで素晴らしいとは書けません。良い打感というのは、その素材が心地良く振動するように出来ていることで得られる快感のことですが、新しい素材を使用すると、それまでの数値では心地良さが消えてしまうことがあります。『スリクソン ZXi7』の打感は、不快ではありませんが、今まで感じている快感とは違うものです。独特なので、好き嫌いがあると思われます。とはいえ、丁寧に最良の打音を求めてチューニングしたことはわかります。
『スリクソン ZXi7』は、アドレスビューで、ヘッドが限界まで小さく、妥協なくシェイプされた直線と曲線で、ツアーアイアンであると主張しています。スリクソンには、マッスルバックのアイアンもありますが、マッスルバックではないツアーアイアンが欲しいというゴルファーに『スリクソン ZXi7』はオススメします。
同伴者で45m/sの人と、48m/sの人に打ってもらいましたが、やはりハードに打てる人だと『スリクソン ZXi7』は能力を最大にして応えるとわかりました。明らかな高弾道、打音も硬質感が増して良くなった感じがします。
『スリクソン ZXi7』で、個人的に最もオススメできると感じたポイントは、番手のピッチが完璧だったことです。アイアンは飛距離が出るものほど、番手間のピッチに大きな隙間があったり、狭い隙間があったりするものですが、『スリクソン ZXi7』には、それが一切なく、きれいに同じピッチで揃っています。
購入後に、何度も何度もチューニングをしてピッチを揃える人がいますが(結局、何をしても合わないアイアンもある)、『スリクソン ZXi7』は不要か、最小限で済みます。
決して派手ではなく、やさしいアイアンに見えますが、『スリクソン ZXi7』はハイレベルなリクエストに応えてくれるツアーアイアンだったのです。
【試打ギアスペック】
『スリクソン ZXi5 アイアン』
ヘッド素材 #5~#7=軟鉄(S20C)+タングステンニッケル合金
#8~PW=軟鉄(S20C)
フェース素材 クロムパナジウム鋼
ロフト角 #5/24度、#6/27度、#7/31度、#8/35度、#9/39度、PW/44度
シャフト Diamana ZXi for IRON カーボンシャフト (S)
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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