最高気温10度以下の札幌でウーバーイーツ配達チャレンジ【チャリンコ爆走配達日誌】
東京より寒いところなら配達員が少なく、注文が増えそう......というわけで札幌で配達をしました!
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第76回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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猛暑日続きの夏が9月まで続き、10月に入っても真夏日を記録。私が主に配達を行なっている東京の都心部エリアでは熱中症になる恐れもあり、昼間の配達はなかなかできませんでした。
10月後半に入り、ようやく暑さが落ち着いたので「さあ、昼の配達を再開させよう」と、配達員用アプリのスイッチを平日の昼間、毎日のようにオンにしているのですが......入ってくる依頼は1時間に1本あるかないか。入ってくるものも1件配達して320円のものばかり。配達で稼ぐというのは厳しい状況です。
なぜ稼げなくなるのか。それは私と同じように夏は暑くて昼間の配達を避けていた人たちが昼間の配達に続々参入しているから。そして涼しくなったので、これまでウーバーを使っていた人たちが自分で店へ行くようになったから。配達員が増えて注文が減れば、舞い込んでくる依頼の数も需要と供給によって設定される配達料もグッと下がってしまいます。
だったら、すでに秋を通り越して冬に入りかけている地域へ行けば、働こうと思う配達員も少なく、寒くて外出が面倒と感じる人からの注文も多くてガッポガッポ稼げるのではないか。そんなわけで、11月6日から8日にかけて北海道の札幌へ配達に行ってきました。
交通費は往復LCC、札幌の繁華街・すすきののビジネスホテルに2泊する格安パックで2万6000円。LCCに乗るための成田空港への電車代や新千歳空港から札幌市内までの電車代、自転車レンタル代、現地での食費を含めると合計4万円ほど。
10月下旬の私のウーバーの稼ぎは平均で週2万円ほど。週のおよそ半分となる3日間で1万円プラスになればOKという感じです。なので、札幌遠征にかかった4万円プラス1万円の5万円を3日間で稼げれば旅行に出かけた上にいつも通り稼げて超満足。4万円でも旅行したのにプラマイゼロ、東京でダラダラ過ごしていても食費はかかるのに、その代金もゼロになるわけですから大満足です。
ここからはそんな札幌遠征の愚痴を書き連ねていきます。「愚痴」と書く時点で結果はネタバレしていますが。
11月6日、朝7時30分出発の新千歳空港行きのLCCの飛行機に乗り込んで、機内のアナウンスから聞こえて来たのは「ただいまの新千歳空港の天候は晴れ。気温はマイナス1度」との言葉。到着後、機内から外に出るとダウンジャケットをはおっていてもヒヤッとする感じでした。
寒い中配達するのは大変ですが、そんな環境を狙ってきたので、むしろ大歓迎。晴れていて道路も乾いているのでどんなに寒くても路面が凍結する心配がありません。「狙い通り稼げるぞ」と札幌市内の自転車貸し出しのターミナルで自転車を借りて漕ぎ始めたのが朝10時。そろそろランチタイムに入ろうかという時間です。
札幌といえば時計台
札幌といえば大通公園
札幌らしい場所で撮影をしながら依頼を待っていると、すすきのエリアの吉野家からの配達が。初めて行く場所でしたが問題なくこなして366円をゲット。
北海道を代表するコンビニ・セイコーマート
すすきの近辺にたくさんある北海道を代表するコンビニ・セイコーマートの前で撮影したり「ウーバーイーツは、ローソン、ファミリーマートの配達や7NOWの代行配達をやっているけど、セイコーマートの配達はやってないのか」「セイコーマートの商品はwoltで注文できるのね」なんてことをチェックしていると、今度はイオンモールの中にある吉野家からの配達依頼。それを注文された方のところへ届けると、依頼がピタリと止まりました。
時刻は12時30分。13時になっても依頼が来なかったのでセイコーマートで買ったお弁当を食べながら待っているとマクドナルドからの依頼。配達を終えたのが14時。そこからすすきの周辺をウロウロ。15時からホテルにチェックインして部屋で待機していましたが、依頼がまったくやってきません。
ようやく入って来たのが22時30分。そこから立て続けに3件注文が入ったのですが、初日はここまで。13時間30分待機して注文はわずか7件。収入は2527円でした。この日の札幌市内の気温は最低0度、最高9度。寒かったので注文が多いと思ったのですが、期待はずれの結果に終わりました。
翌日、ビジネスホテルの窓から外を見ると......。
2日目の札幌は大雪でした
雷がドッカンドッカン鳴り響き、雪がドカドカ降る大荒れの天気。配達どころではありませんでした。
2日目が終わった時点で収入は2527円。しかも2日目はホテルにこもりっぱなし。これではなんのために札幌に来たのかわからないので、3日目は車道の雪が溶けた午前3時から配達を始めました。
雪が残る深夜のすすきのでウーバーイーツ配達をしました
すすきのは道内一の繁華街。夜中でも配達依頼がくるだろうと待っていると、ラーメン屋から824円の依頼が。雪が残っているとこんなに金額が上がるのかと驚いたものの、いつまでこの高水準が続くのかなと不安に思いつつラーメン屋へ向かうと、店の前にラーメンができ上がるのを待つ同業者の方の姿。話しかけてみると、札幌で軽自動車を使って配達しているとのこと。さらに聞くと札幌のウーバー事情をいろいろ教えてくれました。
「春から秋にかけて昼間の札幌のウーバーは厳しい」
「深夜のすすきのは注文がかなりあるので、札幌エリアで稼ぐなら夜10時から翌朝6時狙いがオススメ。ただ単価は安く、がっぽり稼げるわけではない」
「札幌は軽自動車を使った配達員が多いので、5kmから8kmほどの長距離の配達が多い。自転車で依頼が来ないのは、長距離の配達依頼が多いからと思われる」
そして最後に、こんな言葉を。
「昼間の雷と大雪でウーバーを利用するスイッチが入った。今夜から明日の夜にかけては依頼の数も配達料も爆発的に増える!」
車道からは雪がなくなったものの歩道には中途半端に溶けたシャーベット状の雪。地元の方は冬用の靴を持っているので靴の中に水が入ったり、雪に足を取られて転びそうになったりすることはありません。
ですが、そんな歩道を歩いて外食に出かけたり買い物をしたりするのは面倒とのこと。なので歩道がベシャベシャな日は注文がものすごく増える。配達料も雪が降っている最中はそんなに上がらないものの、時間が経つにつれ上がっていく。これからの24時間はボーナスタイムだと。
「一度ウーバーを使えば利便性にハマる。そして冬の間ウーバーを使い続ける。だから雷と大雪のセットは、稼げる時期の訪れを告げる合図と言えるよね」
なんか大げさなことを語り出したなぁ、なんて思っていたらラーメンができ上がり、その人は「じゃあ、頑張ってね」と私に声をかけ、ラーメンを持って軽自動車へと消えていきました。
2日間札幌にいて2527円しか稼げてないし、ダマされたと思ってここから帰りの飛行機に乗るまでぶっ通しで配達してみようと、すすきのを中心に稼いでみた結果がこちら。
最後の日に稼いだ配達料①
最後の日に稼いだ配達料②
ウーバーは朝4時から翌日の朝4時を「1日」としてカウントするので、最後の1日で稼げたのは3時から4時の939円と、4時から18時までの1万2903円の計1万3842円。軽自動車の方が話された通りのことが起きて、配達の件数、配達料の単価が共に爆上がり。東京で働く以上に稼げました。ただ、初日、2日目がまったく稼げなかったので、トータルでは2万円以上の赤字でした。
おそらく来週以降に札幌へ行けばかなり稼げそうな感じですが、自転車で雪道を走るのは危険です。また札幌市内のレンタル自転車の今シーズンの営業は11月15日で終了するとのこと。なので、自転車を使って1日でこれだけ稼げたのはタイミングが良かっただけ。札幌でコンスタントに稼ぐのは難しそうです。
ちなみに、この雪の影響なのか、予約していた新千歳空港から成田空港へ向かうLCC最終便は出発が1時間20分遅れ、成田空港に着いたのは23時30分。都内へ向かう電車、バスはすべて終了してしまったため家に戻ることができず、ターミナルのベンチでひと晩過ごしました。雪の残る街の中を配達するよりきつかったです。
文・撮影/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明
記事提供元:週プレNEWS
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