「おとぎ話のようなシーズン」 リディア・コの復活を支えた柴犬の“カイ”
<CMEグループ・ツアー選手権 事前情報◇19日◇ティブロンGC(米フロリダ州)◇6700ヤード・パー72>
「パリ五輪」で金メダルを獲得、「AIG女子オープン」(全英)でメジャー優勝、そしてLPGA殿堂入り。リディア・コ(ニュージーランド)は最高の2024年シーズンを送っている。だがわずか1年前には、CMEランキングトップ60が出場できるこの最終戦の出場権を逃し、カテゴリー1のシード権すら死守することができなかった。
「この大会に出られなくなるまで、ここでシーズンを終えるのが当たり前だと思っていた。一昨年に優勝したからといって、自動的に出場できるわけではない。シーズン初めは誰もがまっさらな状態なんだ」。昨年のCMEを欠場したあと、同コースで行われた12月「グランド・ソーントン招待」で優勝。そして過去2年のツアー優勝者のみが出場できる今季開幕戦も制して、まさに復活を遂げた。
2年ぶりにCMEで会見をしたリディアは、愛犬を抱えて登場した。柴犬で、名前は『カイ(Kai)』。5月「ミズホ・アメリカズオープン」のときに初めて出会った。そのときは家に連れて帰らなかったが、その帰りの空港でカイを想って号泣したという。しばらくして家族として迎える決断をし、楽しい日々が始まった。
カイの“トーナメントデビュー”は、カナダ開催の「CPKC女子オープン」。3日目をボギーフィニッシュの「72」と伸ばせずに、リディアは落ち込んで帰ったが、『きょうはどうだった? 僕は楽しかったよ』と言わんばかりに、カイが興奮気味に迎えてくれた。「あすはきょうよりもたくさんの良いことがあると思えた。あの週は久しぶりに一人旅だったから、仲間がいたのは最高だったよ」。
カイと過ごした日々を思い出しながら、今季を満足そうに振り返る。「特別な年だった。“ハンサムな子”が来てくれたし、このような瞬間を家族やチームと共有できたことは、正直、おとぎ話のようなシーズンだった」。ほかの選手も、ツアー関係者もカイにメロメロ。来年はリディアのさらなる快進撃だけでなく、カイの成長っぷりにも期待したい。(文・笠井あかり)
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