ビックリするほどカップに入る! ノスタルジックなだけじゃない『MICROHINGE』パター
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。
オデッセイは、『MICROHINGE』パターを2024年11月15日に発売。『MICROHINGE』のコピーは“ツアーで愛されつづけるインサートが、シリーズ名にも採用されてカムバック”です。物語があります。
『MICROHINGE』は、スタンダードの『#1』、幅広スタンダードの『DW(DOUBLE WIDE)』、角型マレット『#7 DB(ダブルベントネック)』、『#7 S(ショートネック)』、大型マレットの『MARXMAN FANG』、『2-BALL V-LINE』の6タイプのヘッドのラインナップです。
その中で、打ち慣れている『DW』、『#7 DB』と大型マレットを代表して『MARXMAN FANG』の3本を試打ラウンドに持ち出すことにしました。
『MICROHINGE』と聞いて、知っている、と思う人はたくさんいると思います。2017年、『O-WORKS パター』に採用された小さな突起を並べて隙間を樹脂で埋めた「マイクロヒンジ・インサート」というフェースは、かなり話題になりました。ツアーでも実績を残し、いくつかのブランドのパターに採用された「マイクロヒンジ・インサート」は信頼のテクノロジーでした。
その後、新しいテクノロジーが出てきた関係で採用されなくなりましたが、「マイクロヒンジ・インサート」は世界中のツアーで未だに手放せないプレーヤーが契約外のプロでもいます。日本では勝みなみの愛用パターのフェースとして有名なのです。
最近になって、米ツアーでパットの不調に悩んでいた複数のプロが、廃盤になった中尺用の『JAILBIRD』というヘッドを使用して復活したことがニュースになり、復刻版が発売され、新しいブランドのパターのラインナップに『JAILBIRD』が加わったりしています。復活したプロが手にしていたパターのフェースが、「マイクロヒンジ・インサート」だったのです。
2017年より「マイクロヒンジ・インサート」の上りのラインでのコロがりの良さなどを絶賛していましたが、パターの名称になって復活するとは夢にも思いませんでした。
『MICROHINGE』は、新たにチューニングした「マイクロヒンジ・インサート」で、ヘッドを見るとブラックとシルバーの「VERSAアライメント」になっています。新しいテクノロジーではありませんが、どちらも、実績があるテクノロジーで、熟成していると想像できます。
『MICROHINGE』を待っていたゴルファーは多くないとしても、一定数いるはずです。適当な復活ではなく、かなり気合いの入った復活パターの予感に狂喜乱舞している様子が浮かぶのです。
もちろん、最新の『Ai-ONEフェース』などに満足しているゴルファーからすれば、今更、と感じるのもわかりますが、オデッセイが単なるノスタルジックで新しいブランドを作ってまでパターを市場投入するとは考えられないのも事実です。
謎解きをするような気持ちで『MICROHINGE』の試打ラウンドに突入しました。試打した日は、曇りで、気温は13℃~20℃。微風。グリーンは9.5フィートの速さ。使用したボールは、使い慣れていてクラブだけの影響に集中できる『TOUR B X』です。
【打感・打ち応え】
『MICROHINGE』の3本の共通の打音は、音量がやや控え目で、音質は高音で硬質です。打ち応えは軽いけれど、しっかりしています。手応えは敏感でクリアな芯感です。
【構えやすさ・方向性】
『MICROHINGE』の3本の共通の特徴として、アライメントが効いていて構えやすく、狙いやすいです。出球も狙ったところに行きます。ブラックとシルバーのデザインは、落ち着きがあって集中しやすく、好感触でした。
【距離性能】
『MICROHINGE』の3本の共通の距離感は、けっこうコロがりが良いことです。特に『#7』は、他のブランドの『#7』よりも10%ぐらい多く転がると感じました。とはいえ、均等に全ての距離で転がるので、すぐに慣れて、4ホール目からはタッチが合うようになり、最終的にはかなり繊細なラインにも乗せることができました。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『MICROHINGE』の3本を打ってみて、最近のパターはコロがりが悪いと不満を持っているゴルファーに強くオススメするパターだと確信しました。
最近のパターのトレンドは、ツアーのグリーンの高速化が極限まで進んだ影響で、しっかり打っても、コロがり過ぎない飛距離性能が求められています。また、芯に当たれば強く転がるけど、外したときに転がらないパターは、安定したパッティングがしづらいパターとして嫌われる傾向もあります。
プロの世界では有効に働く性能が、アマチュアのパッティングでは単純にショートしがちなパターというマイナスになっているのです。『MICROHINGE』は、それを解決します。単純にコロがりやすい特徴が良いのです。
また、音量は大人しめで、高音硬質という打音も渋くて良かったです。これは、オデッセイの「ホワイト・ホット」の特徴に似ていますが、だからこそ、違和感がなく使えるわけです。
熟成したテクノロジーを整えて、パターとして完成度を高める、という良く出来た物語が具現化したものが『MICROHINGE』です。完成度が高く、大きなマイナスがないのです。
更に『MICROHINGE』がアマチュアのためのパターであるという証拠として素晴らしい点が価格です。キャロウェイ・オデッセイの直販サイトで3万5千円(2024/11/13 午前11時確認)を切っています。4万円オーバーのパターが当たり前の昨今のパター市場で、価格が安いことは多くのアマチュアのお財布にやさしいというプラスになります。
『MICROHINGE』を古いパターだと馬鹿にするのは早計です。僕も、試打前には大きな期待をしませんでしたが、試打ラウンドではビックリするほど入りまくりました。『DW』も良かったですが、『#7』は、もうワンランク上の大活躍でした。
かつて、「マイクロヒンジ・インサート」を使っていたゴルファー、今も使っているゴルファーに、同じヘッドタイプがあれば使ってみることをオススメします。完成度の違いがわかるはずだからです。感覚でわからずとも、カップインすること、狙い通りに打てることが実感させるのです。実用的なパターとして、『MICROHINGE』をバッグに入れることに損はないと思ったのでした。
【試打ギアスペック】
『MICROHINGE』パター
ヘッド素材 #7 ステンレススチール+アルミニウムソールプレート
DW、MF ステンレススチール
フェース マイクロヒンジ・インサート
ロフト 3.0度
ライ角 70度
長さ 34インチ ※33インチあり、DW、#7は32インチもあり
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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