ホンダ初の軽商用EVを公道試乗! N‐VAN e:は「道具」としてガシガシ使える!!
神奈川県横浜市で開催された報道陣向け試乗会に突撃した渡辺氏。ホンダが放出した新型EVの実力はいかに!?
日本市場で根強い人気なのが、仕事に遊びにガシガシ使える軽商用車。そこにホンダが新型EVを投入! その出来栄えは!? カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が徹底チェックした。
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■パワフルで快適な走りを実現!
ホンダ N‐VAN e: 価格:269万9400~291万9400円 エコの本質をとらえた秀作カー。装飾を省いたシンプルな内外装は男心を刺激。ソロキャンプなどで使い倒したい
渡辺 10月10日に発売されたホンダの軽商用EV、N-VAN e:に公道試乗してきました! 日本市場の新車販売総合ランキングで3年連続、軽では9年連続トップを独走するホンダ自慢のドル箱カー、N-BOXをベースに開発されたのが軽商用車のN-VANで、そのEV版が今回の試乗車になります。
――ぶっちゃけ、N-VANのエンジンと燃料タンクをモーターと駆動用電池に置き換えたクルマなんですか?
渡辺 開発は試行錯誤の連続だったようです。N-VAN e:の開発責任者である坂元隆樹氏は「開発では、パッケージング(メカニズムの配置まで含めた広義のデザイン)が一番大変でした」と語っていました。
N‐VAN e:開発責任者の坂元隆樹氏 開発責任者の坂元氏は「EVの価値を追加し、これまでにない商用車ができた。早朝深夜も静かに配送できます」
――実車を目にした印象は?
渡辺 助手席や後席を格納したときの広くて平らな車内に驚かされました。
「シートアレンジも含め、車内の広さと使い勝手は抜群」と渡辺氏も太鼓判
――道具としてガシガシ使いたいクルマです。
渡辺 はい。N-VAN e:はAC100V/1500Wの電力供給も可能です。電子レンジなども使えるのでソロキャンプも余裕でこなせます。シッカリ充電しておけば災害時にも役立ちますよ。
N‐VAN e:の充電口はフロントに。左が普通充電で、右が急速充電
フル充電時の走行距離は245㎞(WLTCモード)。日常使いなら問題ナシ
――運転感覚はどうでした?
渡辺 EVなのでエンジンノイズはなく、静かに、滑らかに加速します。ガソリンエンジンのN-VANはもちろん、N-BOXのターボエンジン搭載車よりもパワフルでした。
――走行安定性などは?
渡辺 N-VAN e:は重い駆動用リチウムイオン電池を床下に搭載している関係で重心が低い。加えて、側面衝突時に電池を保護するため、ボディ底面の強度も高めています。こういったEVの造り込みが、実は走行安定性にも優れた影響を与えています。
ボディサイズは全長3395㎜×全幅1475㎜×全高1960㎜。運転は楽チン
――なるほど。
渡辺 全幅が狭く天井の高いボディで走行安定性を確保するため、峠道などではカーブを曲がりにくく感じますが、後輪の接地性は高い。曲がるときにはボディが相応の角度に傾くものの、挙動変化が穏やかで唐突に左右に振られることはありません。
――乗り心地は?
渡辺 これが意外なほど快適なんです。低速で舗装の荒れた街中を走ると、上下の揺れが生じますが、段差の通過でも不快な突き上げ感はない。乗り心地を重視したN-BOXよりも快適なほどです。
――欠点を挙げると?
渡辺 運転席以外のシートは、小さく畳むことを重視したため座り心地が悪い。また、助手席にリクライニング機能はナシ。さらに商用車の規格に収めるには、後席よりも荷室面積を広くする必要があります。そのため後席の足元空間は極端に狭い。
一応、4人乗車が可能なクルマですが、後席はヘッドレストもつかない補助席です。基本的にはひとり乗りです。
スッキリ爽快の内装。シフトセレクターは最新のボタン式。パーキングブレーキは足踏み式となっている
運転席以外はフラット収納が可能。ちなみに最大スペース長は2645㎜を誇る
――個人が購入すべきクルマではない?
渡辺 そんなことはありません。今回試乗したグレードは、スッキリとシンプルな車内が魅力のL4ですが、内外装を乗用車風にアレンジしてスマートキーなどを使えるFUNタイプも用意されています。開発者も「FUNはレジャーで使ったり、仕事と兼用するお客さまを対象にしている」と述べていましたし、販売店からも、「個人使用のお客さまもいます」という声が。
――SNSなどにはN-BOXのEV版を期待する声もありますが、その可能性は?
渡辺 ホンダ関係者からN-ONEにEV版を投入すると聞いています。発売は来年の早い時期が予想されます。
――つまり、N-BOXにEVを搭載するのは技術的には可能なんですね。
渡辺 ただし、N-BOXはホンダの〝至宝〟。傷物にはできませんから、ジックリと日本市場の動向を見極めた上で投入を判断するでしょう。
撮影/山本佳吾
記事提供元:週プレNEWS
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