「トイレに座るだけで健康状態が分かる世の中に」元プロサッカー選手・鈴木啓太が語る“腸内環境”の大切さ
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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“世界の未来像”をつくる街「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)で実装するビジネスアイデアコンテスト「ハツメイノハ2024」。
10月27日(日)にファイナルプレゼンテーションが行われ、5名のファイナリストが登壇。現役中高生たちが考案した「こまもりプロジェクトチーム」が優勝し、賞金100万円が贈呈された。
【動画】ビジネスのアイデアが満載!「ハツメイノハ2024」
「こまもりマーク」は、人々が身に着けることで「お子様が泣いても大丈夫ですよ。子育てを応援しています」というメッセージを表現できる温かいプロダクト。マークを見た保護者は心理的不安が軽減され、子育てしやすい街が実現する。
「日本IBM」執行役員の藤森慶太氏は、「住民の方々の投票でも一番支持されていた。柏の葉全体が“子育てにやさしい街”として進化したいと望んでいる。住んでいる方々の思いが反映されたアイデアだった」と総括した。
同コンテストは毎年開催され、優勝したビジネスアイデアは「柏の葉スマートシティ」での実現に向け、実証実験やメンタリングなどのバックアップを受けることができる。
「テレ東プラス」は、コンテストでMCを務めた鈴木啓太氏(元サッカー日本代表/「AuB株式会社」代表取締役)にインタビュー。ビジネスコンテストや柏の葉スマートシティの魅力、自身の起業、未来のビジネスについても話を聞いた。
――まずは「ハツメイノハ2024」で、フレッシュなビジネスアイデアに触れた感想からお聞かせください。
「柏の葉スマートシティらしいアイデア、住民の皆さんが参加しやすいプロジェクトであることが特徴だなと思いました。最先端を行く街だからこそ実証できるということで、私自身刺激になりましたし、柏の葉スマートシティでビジネスをしてみたいと強く感じました。
もう一つ感じたのは、アイデアすべてが愛にあふれていたということ。日々の暮らしの中で感じたちょっとした不安やトラブルを次の世代に残したくないという思いですよね。自分たちや住民の皆さんが悩んでいることを解決したい、だからこういうプロダクトを作った方がいいという思いがあるので、そこが素晴らしかった。
事業を進める上でハードルはたくさんありますし、実現していくのは大変ですが、そこに愛があるので、SNS上でも“このプロダクトによってこんな素敵な体験がありました”というエピソードが広がりやすいのではないかと感じました」
▲「こまもりプロジェクト」のプレゼンテーション
――会社を経営している鈴木さんに、柏の葉スマートシティはどのように映りましたか?
「実は以前、私たちのプロダクトを柏の葉スマートシティで実証実験させてもらえないか、お願いした経緯があり、今もお話している最中ではありますが、さまざまなアイデアを提案できる素晴らしい街だと思っています。
子育て世代が多いので、未来を見据えた中で実証実験を行うという意味でも、ものすごく魅力的な街ですよね。子どもたちが活躍する20年後、30年後の街を作っていくと考えるとワクワクしかないですし、この街のパッションが魅力的に映りました」
――鈴木さんは、プロサッカー選手を引退した2015年に「AuB株式会社」を起業しています。どんな事業を展開しているのでしょう。
「私が今まで経験をしてきた“腸を整えること”の大切さを、いつもアスリートを応援してくれるサポーターの皆さんに伝えることで、恩返しができるのではないだろうかと考えたのが起業のきっかけです。
アスリートはいつも応援される側で、皆さんにエンターテインメントの価値を提供できますが、それ以外にも伝えられるものがあるというのが原点。まずはアスリートの腸内細菌を研究し、皆さんの健康に還元したいと思ったのが始まりです。
そこから4年間、ひたすら研究する毎日を過ごしました。お金もかかりますし大変でしたが、健康食品やサービスをローンチすることができました」
――今は大手企業と組み、使用するだけで健康状態が分かる「スマートトイレ」を研究しているそうですね。
「人間にとって食は重要で、みんな健康になりたいと願っていますが、どうしても“欲”に負けてしまうことが多い。その行動を変えようとするサイエンスや技術にものすごく関心があります。
皆さんに“健康のために何をしていますか?”と聞くと、多くの方が“年に一度の健康診断”“時々体重計に乗る”と答えますよね。でも仕事や子育てに追われていると、年に1回の健康診断ですら行きそびれてしまうこともあります。
また、健康診断で“この数値が高いですよ”と指摘されたらしばらくは気をつけますが、今の世の中では、その機会が1年に1回しかない。自身の健康状態を日常的に可視化するというのが私たちのビジネスモデルで、毎日の健康状態が可視化されれば、自然と人の行動変容が起きると信じています。であれば、トイレに座ったら、嫌でも健康状態が分かるデバイスを生み出せばいいのではないかと。
“今、あなたの腸内環境は悪いですよ”“これが続くと疾患のリスクが高まりますよ”ということが、トイレで発生したガスや匂いで検知できるデバイスの開発を目指し、データを集めて研究しています。未病・予防が当たり前になる世の中にしたいのです。
アスリートは可視化されずとも、このバランスを常に頭の中で計算して食事を摂っています。毎日の健康データが可視化されれば社会課題も変わってくるでしょうし、健康寿命や子どもたちの食育にも影響が出てくる。行動変容を起こすきっかけは、生活動線の中にあるべきだと思っています。
ビジネスとして走り出すにはまだまだ時間がかかりそうですが、将来的には、トイレで“今日はこういう食材を食べた方がいいですよ。この食材はこのスーパーが安いですよ”というレコメンドができるようになるまで目指したいです」
――起業してからここまでの道のりを振り返って、ご苦労はありましたか?
「起業してからは、まさに苦労の連続でした。最初はアイデアが浮かんで“さあ、やる! 以上!”という感じでしたが、小さい規模でどうインパクトを残して、どう人に興味・関心を持ってもらい、どうやって人を巻き込んでいくのか。この小さい未来をつくっていった先にどんな世界が待っているのか、それを伝えていくことがものすごく重要なんですよね。
でも現実問題として、そこにはお金がないし、熱量だけで事業は進まない。そして事業に必要なメンバーもフェーズによって変わってくる。組織を構築すると同時にプロダクトを磨き続けなければならない…どこかがうまくいってもどこかが足りていない、事業はその繰り返しです。だからずっと大変で、楽な時はないんですけど、私の場合はその大変さを超える“こういう世界を実現したい”というワクワクの方が大きい。そうでなければやっていられないですよね」
――会社を経営するにあたって、鈴木さんが大切にしていることは?
「本当にいい組織、理想的な会社は、指示がなくてもプロジェクトごとに集まって勝手に進んでいきます。そういう自主性みたいなものがあったらいいなとは思いますが、ある程度“こういう風にやっていくんだ”ということは上の人間が決めなければならない。そしてその重要な意思決定のもと、各セクション、個々が最大限のパフォーマンスを発揮する。
会社の意思と社員が何を求めて生きているのかというところをすり合わせて重なる部分が“やり甲斐”につながっていくのかなと思っています。会社の理念や押しつけだけではなく、個人としっかり向き合ってやっていくことが大切なのではないでしょうか」
――最後に「AuB」としての展望、“こういう世の中に変えていきたい”というテーマがあれば教えてください。
「私たちは“すべての人をベストコンディションに。”というミッションを掲げて活動しています。自分の目的、例えば“幸せに生きる”ということは、健康であることの上で成り立っています。健康であることの大切さを失って気づく世の中から、失う前にアラートを鳴らせる世の中に変えていきたい…それが私たちの目標です」
【鈴木啓太 プロフィール】
1981年生まれ、静岡県出身。高校卒業後、2000年に浦和レッズへ加入し、2009年より3年間キャプテンとしてチームを牽引。2006年にオシム監督が日本代表に就任すると日本代表に選出され、オシムジャパンとしては、唯一全試合先発出場を果たす。
2015年に現役を引退後は、実業家に転身して「AuB(オーブ)株式会社」を設立。
自身の経験から腸内細菌の可能性に着目し、「すべての人を、ベストコンディションに。」を目標に掲げ、アスリートの腸内細菌の研究成果より、ヘルスケア、フードテック事業を行っている。
10月27日(日)にファイナルプレゼンテーションが行われ、5名のファイナリストが登壇。現役中高生たちが考案した「こまもりプロジェクトチーム」が優勝し、賞金100万円が贈呈された。
【動画】ビジネスのアイデアが満載!「ハツメイノハ2024」
「こまもりマーク」は、人々が身に着けることで「お子様が泣いても大丈夫ですよ。子育てを応援しています」というメッセージを表現できる温かいプロダクト。マークを見た保護者は心理的不安が軽減され、子育てしやすい街が実現する。
「日本IBM」執行役員の藤森慶太氏は、「住民の方々の投票でも一番支持されていた。柏の葉全体が“子育てにやさしい街”として進化したいと望んでいる。住んでいる方々の思いが反映されたアイデアだった」と総括した。
同コンテストは毎年開催され、優勝したビジネスアイデアは「柏の葉スマートシティ」での実現に向け、実証実験やメンタリングなどのバックアップを受けることができる。
「テレ東プラス」は、コンテストでMCを務めた鈴木啓太氏(元サッカー日本代表/「AuB株式会社」代表取締役)にインタビュー。ビジネスコンテストや柏の葉スマートシティの魅力、自身の起業、未来のビジネスについても話を聞いた。
登壇者のアイデアすべてが愛にあふれていました
――まずは「ハツメイノハ2024」で、フレッシュなビジネスアイデアに触れた感想からお聞かせください。
「柏の葉スマートシティらしいアイデア、住民の皆さんが参加しやすいプロジェクトであることが特徴だなと思いました。最先端を行く街だからこそ実証できるということで、私自身刺激になりましたし、柏の葉スマートシティでビジネスをしてみたいと強く感じました。
もう一つ感じたのは、アイデアすべてが愛にあふれていたということ。日々の暮らしの中で感じたちょっとした不安やトラブルを次の世代に残したくないという思いですよね。自分たちや住民の皆さんが悩んでいることを解決したい、だからこういうプロダクトを作った方がいいという思いがあるので、そこが素晴らしかった。
事業を進める上でハードルはたくさんありますし、実現していくのは大変ですが、そこに愛があるので、SNS上でも“このプロダクトによってこんな素敵な体験がありました”というエピソードが広がりやすいのではないかと感じました」
▲「こまもりプロジェクト」のプレゼンテーション
――会社を経営している鈴木さんに、柏の葉スマートシティはどのように映りましたか?
「実は以前、私たちのプロダクトを柏の葉スマートシティで実証実験させてもらえないか、お願いした経緯があり、今もお話している最中ではありますが、さまざまなアイデアを提案できる素晴らしい街だと思っています。
子育て世代が多いので、未来を見据えた中で実証実験を行うという意味でも、ものすごく魅力的な街ですよね。子どもたちが活躍する20年後、30年後の街を作っていくと考えるとワクワクしかないですし、この街のパッションが魅力的に映りました」
“健康であることの大切さ”を失って気づく世の中から、失う前にアラートを鳴らせる世の中へ
――鈴木さんは、プロサッカー選手を引退した2015年に「AuB株式会社」を起業しています。どんな事業を展開しているのでしょう。
「私が今まで経験をしてきた“腸を整えること”の大切さを、いつもアスリートを応援してくれるサポーターの皆さんに伝えることで、恩返しができるのではないだろうかと考えたのが起業のきっかけです。
アスリートはいつも応援される側で、皆さんにエンターテインメントの価値を提供できますが、それ以外にも伝えられるものがあるというのが原点。まずはアスリートの腸内細菌を研究し、皆さんの健康に還元したいと思ったのが始まりです。
そこから4年間、ひたすら研究する毎日を過ごしました。お金もかかりますし大変でしたが、健康食品やサービスをローンチすることができました」
――今は大手企業と組み、使用するだけで健康状態が分かる「スマートトイレ」を研究しているそうですね。
「人間にとって食は重要で、みんな健康になりたいと願っていますが、どうしても“欲”に負けてしまうことが多い。その行動を変えようとするサイエンスや技術にものすごく関心があります。
皆さんに“健康のために何をしていますか?”と聞くと、多くの方が“年に一度の健康診断”“時々体重計に乗る”と答えますよね。でも仕事や子育てに追われていると、年に1回の健康診断ですら行きそびれてしまうこともあります。
また、健康診断で“この数値が高いですよ”と指摘されたらしばらくは気をつけますが、今の世の中では、その機会が1年に1回しかない。自身の健康状態を日常的に可視化するというのが私たちのビジネスモデルで、毎日の健康状態が可視化されれば、自然と人の行動変容が起きると信じています。であれば、トイレに座ったら、嫌でも健康状態が分かるデバイスを生み出せばいいのではないかと。
“今、あなたの腸内環境は悪いですよ”“これが続くと疾患のリスクが高まりますよ”ということが、トイレで発生したガスや匂いで検知できるデバイスの開発を目指し、データを集めて研究しています。未病・予防が当たり前になる世の中にしたいのです。
アスリートは可視化されずとも、このバランスを常に頭の中で計算して食事を摂っています。毎日の健康データが可視化されれば社会課題も変わってくるでしょうし、健康寿命や子どもたちの食育にも影響が出てくる。行動変容を起こすきっかけは、生活動線の中にあるべきだと思っています。
ビジネスとして走り出すにはまだまだ時間がかかりそうですが、将来的には、トイレで“今日はこういう食材を食べた方がいいですよ。この食材はこのスーパーが安いですよ”というレコメンドができるようになるまで目指したいです」
――起業してからここまでの道のりを振り返って、ご苦労はありましたか?
「起業してからは、まさに苦労の連続でした。最初はアイデアが浮かんで“さあ、やる! 以上!”という感じでしたが、小さい規模でどうインパクトを残して、どう人に興味・関心を持ってもらい、どうやって人を巻き込んでいくのか。この小さい未来をつくっていった先にどんな世界が待っているのか、それを伝えていくことがものすごく重要なんですよね。
でも現実問題として、そこにはお金がないし、熱量だけで事業は進まない。そして事業に必要なメンバーもフェーズによって変わってくる。組織を構築すると同時にプロダクトを磨き続けなければならない…どこかがうまくいってもどこかが足りていない、事業はその繰り返しです。だからずっと大変で、楽な時はないんですけど、私の場合はその大変さを超える“こういう世界を実現したい”というワクワクの方が大きい。そうでなければやっていられないですよね」
――会社を経営するにあたって、鈴木さんが大切にしていることは?
「本当にいい組織、理想的な会社は、指示がなくてもプロジェクトごとに集まって勝手に進んでいきます。そういう自主性みたいなものがあったらいいなとは思いますが、ある程度“こういう風にやっていくんだ”ということは上の人間が決めなければならない。そしてその重要な意思決定のもと、各セクション、個々が最大限のパフォーマンスを発揮する。
会社の意思と社員が何を求めて生きているのかというところをすり合わせて重なる部分が“やり甲斐”につながっていくのかなと思っています。会社の理念や押しつけだけではなく、個人としっかり向き合ってやっていくことが大切なのではないでしょうか」
――最後に「AuB」としての展望、“こういう世の中に変えていきたい”というテーマがあれば教えてください。
「私たちは“すべての人をベストコンディションに。”というミッションを掲げて活動しています。自分の目的、例えば“幸せに生きる”ということは、健康であることの上で成り立っています。健康であることの大切さを失って気づく世の中から、失う前にアラートを鳴らせる世の中に変えていきたい…それが私たちの目標です」
【鈴木啓太 プロフィール】
1981年生まれ、静岡県出身。高校卒業後、2000年に浦和レッズへ加入し、2009年より3年間キャプテンとしてチームを牽引。2006年にオシム監督が日本代表に就任すると日本代表に選出され、オシムジャパンとしては、唯一全試合先発出場を果たす。
2015年に現役を引退後は、実業家に転身して「AuB(オーブ)株式会社」を設立。
自身の経験から腸内細菌の可能性に着目し、「すべての人を、ベストコンディションに。」を目標に掲げ、アスリートの腸内細菌の研究成果より、ヘルスケア、フードテック事業を行っている。
記事提供元:テレ東プラス
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