宮崎県の行列店が“焼き餃子”の作り方をスペイン人に伝授!:世界!ニッポン行きたい人応援団
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜夜8時)。
今回は「世界中の日本祭りで超個性的なニッポン好きに出会っちゃいましたSP」をお送りします。
【動画】「世界!ニッポン行きたい人応援団」最新回
番組は、世界各国の“日本祭り”を取材。そこには「ニッポンに行きたい!」という熱い思いを持つ方が、1500人以上も! 個性あふれるニッポン好きの皆さんを、これまで20人以上ニッポンにご招待しました。
今回はスペインへ。今年で10回目を迎えるのは、バルセロナ在住の日本人が開催する「マツリ・バルセロナ」。毎年3万人が訪れるこの日本祭りでは、あえて漫画やアニメなどのポップカルチャーを除き、ニッポンの伝統芸能や身近な文化のみ紹介しています。
会場には、けん玉を紹介するブースや、たこ焼きや大福餅などニッポンの食べ物を扱うブースも。そこに番組のブースを設置させてもらい、熱い思いを持つ方を探すと……ニッポンに行きたい方が大勢詰めかけ、行列が絶えない状態に。
ゴジラが大好きなライアさんは、ゴジラの映画を全部観たそう。ニッポンに行けたら、「ゴジラ−1.0」を撮影したスタジオを見学したいと話します。
また、バルセロナ近郊で日本酒を造っている夫妻も。妻のメリチェルさんが日本酒専用の米を育て、夫のウンベルトさんが自ら興した酒蔵で2015年から日本酒を造っているそう。
ニッポンで、日本酒について学びを深めたいとか。
他にも、新幹線や雪女、J-POPなどを愛する方々が熱い思いをアピールする中、気になる方が!
今回紹介するのは、スペイン在住の「焼き餃子」を愛するバネッサさん。
ニッポンの食卓を彩る「焼き餃子」。5大栄養素を含み、栄養バランス抜群、パーフェクトフードと呼ばれることも。元々中国にあった水餃子を、終戦後に引き揚げて来た日本人が焼き始めたところ、瞬く間に広まり、ニッポンの国民食と言われるまでに。
バネッサさんがニッポンの焼き餃子に出会ったのは、25年前。その後、本やインターネットでレシピを調べては、何百回と焼き餃子を作りました。それでもまだ、納得のいくものはできていないそう。
ここで、バネッサさんの焼き餃子を見せてもらうことに。皮から作るのがこだわりですが、かなり厚めの仕上がり。餡の野菜も、かなり大きめにカットされています。
家族や友人からの評判は上々ですが、甥っ子からは皮を薄くしてほしいという意見も。
「ニッポンに行って、焼き餃子の職人さんから餡と皮の作り方をしっかり学びたいです」。
そんなバネッサさんを、ニッポンにご招待! 念願の来日を果たしました。
向かったのは、JR亀戸駅から徒歩1分の「亀戸ぎょうざ」。創業以来、食べ物のメニューは焼き餃子のみ。国産野菜たっぷりの餃子をいただいたバネッサさんは、「過去最高の焼き餃子です」と絶賛! あっという間に3皿を完食しました。
続いて、蒲田の「歓迎(ホアンヨン)」では、全長30センチの羽根付き餃子を。代々木上原の「按田餃子」では、ハトムギ粉が練り込まれた、身体に優しい水餃子をいただきました。
こうして、東京で人気の餃子を堪能したバネッサさん、九州・宮崎県に向かいます。
餃子の街といえば栃木県の宇都宮や静岡県の浜松が有名ですが、実は2021年、22年と2年連続で、宮崎が餃子の年間支出額日本一に! 近年、餃子の街として注目されています。
今回お世話になるのは、焼き餃子専門の行列店「黒兵衛」。早速、焼き餃子をいただくことに。すると、大将の黒木賢次さんが餡を取り出し、包み始めました。作り置きをせず、包み立ての生餃子を焼くのが「黒兵衛」のこだわり。
焼き立てを「オイシイ」と頬張るバネッサさん。九州産の甘めの醤油を使ったタレとの相性もバッチリ! そんな焼き餃子の作り方を、二代目の航平さんとお母さんの保子さんに教えていただきます。
まずは餡作り。餡の8割を占めるのは主に宮崎産のキャベツで、栄養価の高い芯の部分も、捨てずに細かく刻んで使用するのがこだわりです。
さらに、ペースト状にした玉ねぎを加え、押し固めてしっかり水抜き。そこに、ニラと宮崎産の合挽肉、ごま油と日本酒を混ぜて、粘り気が出るまで捏ねていきます。しっかりと捏ねたら、片栗粉と調味料を。
保子さんによると、水抜きをしてよく混ぜると餡がまとまり、包みやすくなるそう。「私は野菜を大きく刻んで、こんなに混ぜていませんでした」とバネッサさん。
続いては皮作り。強力粉と薄力粉を6:4の比率で配合しています。バネッサさんは小麦粉だけで皮を作っていたため、柔らかく破れやすく、作る際は厚くなりがちでした。強力粉を入れることで弾力が増し、薄くて破れにくいモチッとした皮ができるのだとか。
そして重要なのが、熱湯。熱湯で捏ねることでグルテン成分が多くなり、小麦粉本来の美味しさを引き出せるのです。
お次は足踏みの工程へ。生地にビニールを被せて踏む様子に「すごい!」と驚きの声が。足踏みを3度繰り返せば、滑らかな生地に。
こうしてできた生地を製麺機でのばし、数十枚重ねて特注の型で抜いたら、餃子の皮が完成!
いよいよ包む工程へ。餃子包み歴45年の大将に教えていただきます。餡をのせたら親指で軽く押し、4つのヒダを作りますが、そこまでたったの5秒!
包む際に水はつけないと言う大将。皮が余分な水分を吸収し、焼いた時にパリパリ感が失われるため、「黒兵衛」では、餡を少しずらしながら皮をくっつけるように包みます。
折り込む力加減にもポイントが。大将によると、あまり力を入れると中身のジューシー感が抑えられてしまうそう。バネッサさんも挑戦すると、「上手いね!」と褒めていただきました。
そして焼きの工程へ。ラードを多めに入れたフライパンに餃子を並べ、熱湯を注ぎ、蓋をします。「うちの焼き方は、焼くだけじゃダメなんです」と大将。焼くと同時に表面を少し揚げることで、パリッとした仕上がりに。
焼き立てをいただいたバネッサさんは、「ん~美味しい!」と大感動! こうして、念願だった「黒兵衛」の焼き餃子作りを一から学ぶことができました。
夜は、営業を終えた「黒兵衛」の2号店で歓迎会。保子さん手作りの宮崎名物「チキン南蛮」や「地鶏の炭火焼き」、宮崎の焼酎を堪能しました。
ニッポン滞在最終日。「黒兵衛」の皆さんにお世話になったお礼にと、バネッサさんが焼き餃子を振る舞うことに。
前日、調理場をお借りして下準備をしていたバネッサさん。 餡に入れるキャベツは細かく、 芯も忘れずに。 そして生地は、もちろん「黒兵衛」のレシピどおり、足踏みをして作りました。
この生地で皮を作りますが……実はバネッサさん、スペインで悪戦苦闘していた皮作りを、「您好」(東京・幡ヶ谷)の店主・野坂由郎さんに教えていただいていたのです。
生地につけた十字のガイドラインに沿って、皮を回し、角度を変えながらのばしていけば、初心者でも丸い皮になりやすいそう。さらにお土産にと、餃子の皮専用ののばし棒をいただいたバネッサさん。
のばし棒で作った皮に餡をのせたら、大将直伝の技で包みます。大将からは「全体的に揃っていて綺麗です」と嬉しい言葉が。
そしてこの餃子を、餃子鍋で焼いていきます。実は、鍋の製造メーカー「山田工業所」(神奈川・横浜)も訪れていたバネッサさん。「山田工業所」では、日本で唯一「打出し」という製法で鍋を作っています。打出しとは、鉄板を数千回以上叩いて成形する作り方で、プロの料理人も認める最高級品。
鉄板を打ち出した部分は、プレスでは作れない絶妙な薄さになっているため、炎の熱が伝わりやすく、素早い調理が可能に。さらに、打ち出した際にできる凹凸は油が馴染みやすく、焦げ付きにくくなるメリットも。
お土産にいただいた打出し餃子鍋で、「黒兵衛」流にラードを使って焼き上げれば、今回学んだ全てが詰まった、バネッサさん特製の焼き餃子が完成!
皆さん褒めてくださいましたが、大将からは「(餡に)塩が足らん」との指摘が。それでも「このくらいできたら合格!」とお褒めの言葉もいただき、「よかった~」と一安心のバネッサさんでした。
別れの時。「宮崎での思い出は一生忘れません」と別れを惜しむバネッサさんに、「黒兵衛」オリジナル帽子と前掛け、ラードと「黒兵衛」特製のたれのプレゼントが! たれのボトルを抱きしめ「一生離さないわ」と大感激のバネッサさんでした。
「黒兵衛」の皆さん、本当にありがとうございました!
続いて紹介するのは、バルセロナの日本祭りで出会った、スペイン在住の「着物」を愛するミリアムさん。
平安時代から1000年以上の歴史を持つニッポンの伝統衣装、着物。近年、外国人観光客の約3割が着付けをしたいというほど、世界から注目されています。
着物120着、帯30本を持っているというミリアムさん。13歳の時、日本語教室の授業で観た着物の美しさに心を奪われ、インターネットを頼りに独学。難しい着付けも、今や一人でできるまでに。夢は、いつかニッポンで西陣織の職人さんの技を見ることだそう。
実はミリアムさん、12年前に糖尿病で命の危機に襲われましたが、毎日大好きな着物のことを考えて乗り越えたそう。現在も高額な治療を続けており、ニッポンに行くことは夢のまた夢。それでも「ニッポンで着物の職人技を学び、スペインで素晴らしさを広めたい」と願っています。
そんなミリアムさんを、ニッポンにご招待!
向かったのは、京都市の西陣と呼ばれるエリア。室町時代、応仁の乱で西軍がここに本陣を構えたことから西陣という名が付けられ、戦が終わると織職人が集結。やがてこの界隈で作られる高級織物が西陣織と呼ばれるように。
今回受け入れてくださったのは、明治から126年にわたり西陣で帯を作る「洛陽織物」。六代目の滋賀浩晃さんが西陣織の陳列場を見せてくださると、ミリアムさんはインターネットでしか見たことがなかった本物に大興奮!
京友禅などは織った生地に様々な色で柄を描いていきますが、西陣織は染めた絹糸を織って多彩な柄を表現。1本の帯を製作するのに3カ月はかかり、値がつけられないものも多いそう。
そんな西陣織は、昔から分業制。デザインから糸作りなど、20以上の工程にそれぞれ専門の職人がいます。「洛陽織物」は、織元という製作総責任者で、職人たちが作った素材で帯を織り上げるのが仕事です。
「この素晴らしい帯がどんな職人技のリレーで生まれるのか、見るまで死ねません」。そこで、職人さんたちに作業を見せていただくことに。
まずは、帯のデザインだけを作る図案家・島村一範さん。図案を見せていただくと、その精密さに驚愕! 帯を締めた時の後ろ姿「太鼓」に柄が出るよう計算するだけではなく、完成をイメージして描く、細やかな仕事をしています。
型紙に写した下絵を、立体的にする作業も見せてくださいました。貝殻から作られる絵の具「胡粉」に「にかわ」を混ぜ、粘り気を加えた顔料を塗って盛り上げていきます。織った時に立体的になる部分や、陰影を表現する箇所を、織元にイメージしやすくさせるのが重要だそう。
立体的になった部分を、金や銀などの顔料で色付けし、正絵といわれる帯のデザイン画が完成。「本当に素晴らしいものを見せていただき、泣きそうです!」とミリアムさん。
続いて、今回一番勉強したかった「引箔(ひきばく)」という技法を使った糸作りの職人さんの元へ。引箔とは、帯の下地に使われる金銀糸の一種。その特殊な製法から、今では京都で10軒ほどしかやっていない、幻の糸作りです。
お世話になる「西村商店」は、100年以上続く引箔専門の老舗。伝統工芸士で三代目の西村直樹さんに、引箔の作り方を特別に見せていただくことに。
使うのは、黒漆を塗った和紙。帯幅の和紙2枚の中央に糊(ニス)を塗り、その上からふるいに入れた本金箔をまんべんなく散らしていきます。この2枚を絶妙にずらしながらくっ付け合っていくと、黒漆をわずかに感じる、絶妙な陰影を持った柄に。
黄金の箔が完成すると、別の職人にバトンタッチ。竹内勝義さんは引箔の和紙などを切って糸にする、切り屋のスペシャリストです。西村さんの引箔を切断機に置き、約0.3ミリに切って糸に。この引箔の糸を織り上げていくことで、絢爛豪華な西陣織の下地が生まれるのです。
再び「西村商店」に戻ると、ミリアムさん、和紙に箔を貼る基本の技術を、銀箔で挑戦させていただけることに。しかし、銀箔が指についてしまい大苦戦!
職人歴40年の古橋範子さんによると、風(空気)の抵抗をコントロールするのが難しいかもしれないとのこと。お手本を見せていただき、なんとか成功させることができました。
その後は、お世話になった職人さんたちや、西村さんのお子さんが集まり、歓迎会。古橋さんが腕によりをかけた京都のおばんざいをいただき、楽しい時間を過ごしました。
こうして、西陣織の糸作りを見せてもらったミリアムさんですが、実はもう一つ気になる糸作りがありました。
独自の着物「黄八丈」の糸作りを学ぶため、八丈島へ! 平安時代から1000年の歴史をもつ黄八丈。八丈島の草木を使って染めた絹糸で作られる織物で、徳川将軍家に献上され、大奥でしか着られなかった高級品です。最大の特徴は、3カ月かける糸作り。膨大な手間暇をかけた絹糸で織られる黄八丈は、900万円の値がつくものも。
今回受け入れてくださったのは、創業107年の「黄八丈めゆ工房」。染色から反物織りまでの工程を一貫して行っている工房です。無形文化財技術保持者だった初代・山下めゆさんの遺志を、四代目の山下芙美子さんと糸染職人の次男・雄さん、糸染を手伝う青木保憲さんが引き継いでいます。
黄八丈の糸の色は、代表的な黄色と落ち着いた赤みの樺色、深みのある黒色の3色のみ。3色の糸の配置を変えて、様々な模様にしていきます。
糸作りを見せていただく予定でしたが、芙美子さんによると、この日は台風が近づいて天気が悪く、糸染めができないそう。染色には天日干しが欠かせないため、晴れた日にしかできないのです。その後も天気が回復せず、黄八丈を着せていただいたり、温泉に入ったり……ようやく5日目にして、糸作りを見せていただけることに。
まずは黄色から。原料は、専用の畑で育てている小鮒草。雑草や落ち葉などが混ざっていると色の濁りに繋がるため、チェックしながら刈っていきます。刈り取った後は3日間天日干しにして、余分な水分を抜いてから使うそう。
最初の工程は下染め。干した小鮒草を束ね、2時間半かけて煮出し、黄色の染料を作ります。完成した染料を8キロの絹糸にかけていきますが、1回漬けただけでは色が染み込まずムラに。揉み込むと糸が傷つくため、漬け置きしては干す作業を15回繰り返します。
1カ月かけて下染めが終わった絹糸に灰汁をかけると、薄い黄色だった絹糸が黄金に。ミリアムさんは「魔法です!」とびっくり! 灰汁は、ヤブツバキとヒサカキの葉を燃やしてできた灰から抽出したもので、天然の媒染液。灰汁に含まれるアルミニウムが化学反応を起こし、糸を発色させ、色を定着させるそう。
この後、天日干しをすると、抜群の着心地を生む絹糸に。
赤みがかった樺色は、クスノキの仲間であるタブノキを煮出し、染めては干すこと20回。灰汁を2回使って色を出し、深みのある色合いに。ツヤのある黒色は、シイの木の樹皮を原料に下染めしてから、灰汁の代わりに泥染めをしています。
泥染めは、山下家秘伝の製法。島に1カ所しかない黄八丈専用の泥田にある泥は、黒くするために必要な鉄分が豊富で、粒子が極めて細かく、糸の隅々までしっかり染まるそう。泥染めの後は、近くの清流で丁寧に洗い流せば、美しい黒色の糸に。
こうしてできた糸を2週間かけて丁寧に織り上げ、抜群の着心地の黄八丈ができるのです。
最後にミリアムさんは「皆さんは本当に自然を敬いながらお仕事をされていると感じました。黄八丈こそ八丈島そのものであり、自然と共存する日本人の象徴だと思います」と伝えました。
「黄八丈めゆ工房」の皆さん、本当にありがとうございました!
そしていよいよ、「洛陽織物」で西陣織の総仕上げ。
伝統工芸士の手織職人・井尾美也子さんによると、西陣織は複雑な模様なので、織るための設計図「紋意匠図」が必要だそう。紋意匠図は分業で作られ、専門に作る職人さんも。今回は特別に、作成風景を見せていただけることに。
意匠図と呼ばれる方眼紙の1目盛りが、経糸と緯糸が交わる点。図案家が描いたデザインをもとに、糸の色などを決めながら、マス目を塗り分けていきます。手織職人は、この設計図で経糸や緯糸の順番を確認し、織っていくのです。
井尾さんが使っていたのは「焼箔」。銀箔を熱して模様をつける、引箔の技法の一つです。織る際に糸1本でも順番を間違うと、引箔職人が描いた柄は出ません。順番通りに1本引き、竹べらに引っ掛けて織り込んでいきます。「箔を引くから“引箔”」との説明に、感動するミリアムさん。こうして、西陣織の製作工程をたっぷりと学ばせていただきました。
別れの時。「夢だった西陣織を学べたことはもちろんですが、仕事に対する情熱も勉強できました」と、職人の皆さんへの手紙を読み上げます。
すると、西村さんからプレゼントが。ミリアムさんが貼った銀箔で模様を作成し、パネルにしてくださったのです。さらに、図案家の島村さんからも、ミリアムさんが好きな桜をモチーフにした図案のパネルが。素敵な贈り物に、大感激のミリアムさんでした。
西陣織の職人の皆さん、本当にありがとうございました!
京都では、思いがけない出来事も。西陣織の織元が運営する「あさぎ美術館」で見せていただいたのは、普段は非公開の、純金箔の糸で織り込まれた打掛。その価値なんと1億円! なんと今回、特別に羽織らせてくださり、貴重な体験ができました。
着物を通じて、たくさんの職人さんと絆を紡いだニッポン滞在。帰国を前にミリアムさんは、「ニッポンの着物職人さんたちは、技術だけではなく情熱までも世界一だと学びました。またニッポンに来ます!」と語ってくれました。
ミリアムさん、またの来日をお待ちしています!
月曜夜8時からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」を放送!
▼ニッポンの“エビフライ”を学びたい!
「日本食レストランを開きたい」という夢を持つイタリアのジュゼッペさんが念願の初来日 愛知県知多半島の最南端、南知多町へ!創業74年「まるは食堂」の名物ジャンボエビフライ秘伝の製法を学ぶ!そして“車海老”の一大産地、熊本県天草市へ。選別や水揚げ作業のお手伝いをさせてもらい、エビフライや極上車海老をふんだんに使った郷土料理を食べさせてもらえることに!
▼揚げ物に最適な鍋を知りたい!
平安時代から鋳物に適した土が見つかったことから鋳物の町として発展した山形県鋳物町へ。400年以上の歴史を持つ「菊地保寿堂」で揚げ物を抜群においしく揚げられる鉄鍋づくりを見せてもらう。
▼“カキフライ”に挑戦したい!
世界文化遺産、厳島神社がある広島県廿日市で養殖牡蠣の老舗「島田水産」でジューシーな食感を保った大粒カキフライに大感激!
今回は「世界中の日本祭りで超個性的なニッポン好きに出会っちゃいましたSP」をお送りします。
【動画】「世界!ニッポン行きたい人応援団」最新回
焼き餃子専門店で秘伝の製法を学ぶ
番組は、世界各国の“日本祭り”を取材。そこには「ニッポンに行きたい!」という熱い思いを持つ方が、1500人以上も! 個性あふれるニッポン好きの皆さんを、これまで20人以上ニッポンにご招待しました。
今回はスペインへ。今年で10回目を迎えるのは、バルセロナ在住の日本人が開催する「マツリ・バルセロナ」。毎年3万人が訪れるこの日本祭りでは、あえて漫画やアニメなどのポップカルチャーを除き、ニッポンの伝統芸能や身近な文化のみ紹介しています。
会場には、けん玉を紹介するブースや、たこ焼きや大福餅などニッポンの食べ物を扱うブースも。そこに番組のブースを設置させてもらい、熱い思いを持つ方を探すと……ニッポンに行きたい方が大勢詰めかけ、行列が絶えない状態に。
ゴジラが大好きなライアさんは、ゴジラの映画を全部観たそう。ニッポンに行けたら、「ゴジラ−1.0」を撮影したスタジオを見学したいと話します。
また、バルセロナ近郊で日本酒を造っている夫妻も。妻のメリチェルさんが日本酒専用の米を育て、夫のウンベルトさんが自ら興した酒蔵で2015年から日本酒を造っているそう。
ニッポンで、日本酒について学びを深めたいとか。
他にも、新幹線や雪女、J-POPなどを愛する方々が熱い思いをアピールする中、気になる方が!
今回紹介するのは、スペイン在住の「焼き餃子」を愛するバネッサさん。
ニッポンの食卓を彩る「焼き餃子」。5大栄養素を含み、栄養バランス抜群、パーフェクトフードと呼ばれることも。元々中国にあった水餃子を、終戦後に引き揚げて来た日本人が焼き始めたところ、瞬く間に広まり、ニッポンの国民食と言われるまでに。
バネッサさんがニッポンの焼き餃子に出会ったのは、25年前。その後、本やインターネットでレシピを調べては、何百回と焼き餃子を作りました。それでもまだ、納得のいくものはできていないそう。
ここで、バネッサさんの焼き餃子を見せてもらうことに。皮から作るのがこだわりですが、かなり厚めの仕上がり。餡の野菜も、かなり大きめにカットされています。
家族や友人からの評判は上々ですが、甥っ子からは皮を薄くしてほしいという意見も。
「ニッポンに行って、焼き餃子の職人さんから餡と皮の作り方をしっかり学びたいです」。
そんなバネッサさんを、ニッポンにご招待! 念願の来日を果たしました。
向かったのは、JR亀戸駅から徒歩1分の「亀戸ぎょうざ」。創業以来、食べ物のメニューは焼き餃子のみ。国産野菜たっぷりの餃子をいただいたバネッサさんは、「過去最高の焼き餃子です」と絶賛! あっという間に3皿を完食しました。
続いて、蒲田の「歓迎(ホアンヨン)」では、全長30センチの羽根付き餃子を。代々木上原の「按田餃子」では、ハトムギ粉が練り込まれた、身体に優しい水餃子をいただきました。
こうして、東京で人気の餃子を堪能したバネッサさん、九州・宮崎県に向かいます。
餃子の街といえば栃木県の宇都宮や静岡県の浜松が有名ですが、実は2021年、22年と2年連続で、宮崎が餃子の年間支出額日本一に! 近年、餃子の街として注目されています。
今回お世話になるのは、焼き餃子専門の行列店「黒兵衛」。早速、焼き餃子をいただくことに。すると、大将の黒木賢次さんが餡を取り出し、包み始めました。作り置きをせず、包み立ての生餃子を焼くのが「黒兵衛」のこだわり。
焼き立てを「オイシイ」と頬張るバネッサさん。九州産の甘めの醤油を使ったタレとの相性もバッチリ! そんな焼き餃子の作り方を、二代目の航平さんとお母さんの保子さんに教えていただきます。
まずは餡作り。餡の8割を占めるのは主に宮崎産のキャベツで、栄養価の高い芯の部分も、捨てずに細かく刻んで使用するのがこだわりです。
さらに、ペースト状にした玉ねぎを加え、押し固めてしっかり水抜き。そこに、ニラと宮崎産の合挽肉、ごま油と日本酒を混ぜて、粘り気が出るまで捏ねていきます。しっかりと捏ねたら、片栗粉と調味料を。
保子さんによると、水抜きをしてよく混ぜると餡がまとまり、包みやすくなるそう。「私は野菜を大きく刻んで、こんなに混ぜていませんでした」とバネッサさん。
続いては皮作り。強力粉と薄力粉を6:4の比率で配合しています。バネッサさんは小麦粉だけで皮を作っていたため、柔らかく破れやすく、作る際は厚くなりがちでした。強力粉を入れることで弾力が増し、薄くて破れにくいモチッとした皮ができるのだとか。
そして重要なのが、熱湯。熱湯で捏ねることでグルテン成分が多くなり、小麦粉本来の美味しさを引き出せるのです。
お次は足踏みの工程へ。生地にビニールを被せて踏む様子に「すごい!」と驚きの声が。足踏みを3度繰り返せば、滑らかな生地に。
こうしてできた生地を製麺機でのばし、数十枚重ねて特注の型で抜いたら、餃子の皮が完成!
いよいよ包む工程へ。餃子包み歴45年の大将に教えていただきます。餡をのせたら親指で軽く押し、4つのヒダを作りますが、そこまでたったの5秒!
包む際に水はつけないと言う大将。皮が余分な水分を吸収し、焼いた時にパリパリ感が失われるため、「黒兵衛」では、餡を少しずらしながら皮をくっつけるように包みます。
折り込む力加減にもポイントが。大将によると、あまり力を入れると中身のジューシー感が抑えられてしまうそう。バネッサさんも挑戦すると、「上手いね!」と褒めていただきました。
そして焼きの工程へ。ラードを多めに入れたフライパンに餃子を並べ、熱湯を注ぎ、蓋をします。「うちの焼き方は、焼くだけじゃダメなんです」と大将。焼くと同時に表面を少し揚げることで、パリッとした仕上がりに。
焼き立てをいただいたバネッサさんは、「ん~美味しい!」と大感動! こうして、念願だった「黒兵衛」の焼き餃子作りを一から学ぶことができました。
夜は、営業を終えた「黒兵衛」の2号店で歓迎会。保子さん手作りの宮崎名物「チキン南蛮」や「地鶏の炭火焼き」、宮崎の焼酎を堪能しました。
ニッポン滞在最終日。「黒兵衛」の皆さんにお世話になったお礼にと、バネッサさんが焼き餃子を振る舞うことに。
前日、調理場をお借りして下準備をしていたバネッサさん。 餡に入れるキャベツは細かく、 芯も忘れずに。 そして生地は、もちろん「黒兵衛」のレシピどおり、足踏みをして作りました。
この生地で皮を作りますが……実はバネッサさん、スペインで悪戦苦闘していた皮作りを、「您好」(東京・幡ヶ谷)の店主・野坂由郎さんに教えていただいていたのです。
生地につけた十字のガイドラインに沿って、皮を回し、角度を変えながらのばしていけば、初心者でも丸い皮になりやすいそう。さらにお土産にと、餃子の皮専用ののばし棒をいただいたバネッサさん。
のばし棒で作った皮に餡をのせたら、大将直伝の技で包みます。大将からは「全体的に揃っていて綺麗です」と嬉しい言葉が。
そしてこの餃子を、餃子鍋で焼いていきます。実は、鍋の製造メーカー「山田工業所」(神奈川・横浜)も訪れていたバネッサさん。「山田工業所」では、日本で唯一「打出し」という製法で鍋を作っています。打出しとは、鉄板を数千回以上叩いて成形する作り方で、プロの料理人も認める最高級品。
鉄板を打ち出した部分は、プレスでは作れない絶妙な薄さになっているため、炎の熱が伝わりやすく、素早い調理が可能に。さらに、打ち出した際にできる凹凸は油が馴染みやすく、焦げ付きにくくなるメリットも。
お土産にいただいた打出し餃子鍋で、「黒兵衛」流にラードを使って焼き上げれば、今回学んだ全てが詰まった、バネッサさん特製の焼き餃子が完成!
皆さん褒めてくださいましたが、大将からは「(餡に)塩が足らん」との指摘が。それでも「このくらいできたら合格!」とお褒めの言葉もいただき、「よかった~」と一安心のバネッサさんでした。
別れの時。「宮崎での思い出は一生忘れません」と別れを惜しむバネッサさんに、「黒兵衛」オリジナル帽子と前掛け、ラードと「黒兵衛」特製のたれのプレゼントが! たれのボトルを抱きしめ「一生離さないわ」と大感激のバネッサさんでした。
「黒兵衛」の皆さん、本当にありがとうございました!
西陣織の専門職人が匠の技を披露
続いて紹介するのは、バルセロナの日本祭りで出会った、スペイン在住の「着物」を愛するミリアムさん。
平安時代から1000年以上の歴史を持つニッポンの伝統衣装、着物。近年、外国人観光客の約3割が着付けをしたいというほど、世界から注目されています。
着物120着、帯30本を持っているというミリアムさん。13歳の時、日本語教室の授業で観た着物の美しさに心を奪われ、インターネットを頼りに独学。難しい着付けも、今や一人でできるまでに。夢は、いつかニッポンで西陣織の職人さんの技を見ることだそう。
実はミリアムさん、12年前に糖尿病で命の危機に襲われましたが、毎日大好きな着物のことを考えて乗り越えたそう。現在も高額な治療を続けており、ニッポンに行くことは夢のまた夢。それでも「ニッポンで着物の職人技を学び、スペインで素晴らしさを広めたい」と願っています。
そんなミリアムさんを、ニッポンにご招待!
向かったのは、京都市の西陣と呼ばれるエリア。室町時代、応仁の乱で西軍がここに本陣を構えたことから西陣という名が付けられ、戦が終わると織職人が集結。やがてこの界隈で作られる高級織物が西陣織と呼ばれるように。
今回受け入れてくださったのは、明治から126年にわたり西陣で帯を作る「洛陽織物」。六代目の滋賀浩晃さんが西陣織の陳列場を見せてくださると、ミリアムさんはインターネットでしか見たことがなかった本物に大興奮!
京友禅などは織った生地に様々な色で柄を描いていきますが、西陣織は染めた絹糸を織って多彩な柄を表現。1本の帯を製作するのに3カ月はかかり、値がつけられないものも多いそう。
そんな西陣織は、昔から分業制。デザインから糸作りなど、20以上の工程にそれぞれ専門の職人がいます。「洛陽織物」は、織元という製作総責任者で、職人たちが作った素材で帯を織り上げるのが仕事です。
「この素晴らしい帯がどんな職人技のリレーで生まれるのか、見るまで死ねません」。そこで、職人さんたちに作業を見せていただくことに。
まずは、帯のデザインだけを作る図案家・島村一範さん。図案を見せていただくと、その精密さに驚愕! 帯を締めた時の後ろ姿「太鼓」に柄が出るよう計算するだけではなく、完成をイメージして描く、細やかな仕事をしています。
型紙に写した下絵を、立体的にする作業も見せてくださいました。貝殻から作られる絵の具「胡粉」に「にかわ」を混ぜ、粘り気を加えた顔料を塗って盛り上げていきます。織った時に立体的になる部分や、陰影を表現する箇所を、織元にイメージしやすくさせるのが重要だそう。
立体的になった部分を、金や銀などの顔料で色付けし、正絵といわれる帯のデザイン画が完成。「本当に素晴らしいものを見せていただき、泣きそうです!」とミリアムさん。
続いて、今回一番勉強したかった「引箔(ひきばく)」という技法を使った糸作りの職人さんの元へ。引箔とは、帯の下地に使われる金銀糸の一種。その特殊な製法から、今では京都で10軒ほどしかやっていない、幻の糸作りです。
お世話になる「西村商店」は、100年以上続く引箔専門の老舗。伝統工芸士で三代目の西村直樹さんに、引箔の作り方を特別に見せていただくことに。
使うのは、黒漆を塗った和紙。帯幅の和紙2枚の中央に糊(ニス)を塗り、その上からふるいに入れた本金箔をまんべんなく散らしていきます。この2枚を絶妙にずらしながらくっ付け合っていくと、黒漆をわずかに感じる、絶妙な陰影を持った柄に。
黄金の箔が完成すると、別の職人にバトンタッチ。竹内勝義さんは引箔の和紙などを切って糸にする、切り屋のスペシャリストです。西村さんの引箔を切断機に置き、約0.3ミリに切って糸に。この引箔の糸を織り上げていくことで、絢爛豪華な西陣織の下地が生まれるのです。
再び「西村商店」に戻ると、ミリアムさん、和紙に箔を貼る基本の技術を、銀箔で挑戦させていただけることに。しかし、銀箔が指についてしまい大苦戦!
職人歴40年の古橋範子さんによると、風(空気)の抵抗をコントロールするのが難しいかもしれないとのこと。お手本を見せていただき、なんとか成功させることができました。
その後は、お世話になった職人さんたちや、西村さんのお子さんが集まり、歓迎会。古橋さんが腕によりをかけた京都のおばんざいをいただき、楽しい時間を過ごしました。
こうして、西陣織の糸作りを見せてもらったミリアムさんですが、実はもう一つ気になる糸作りがありました。
1000年の歴史を持つ伝統工芸品“黄八丈”を学ぶ
独自の着物「黄八丈」の糸作りを学ぶため、八丈島へ! 平安時代から1000年の歴史をもつ黄八丈。八丈島の草木を使って染めた絹糸で作られる織物で、徳川将軍家に献上され、大奥でしか着られなかった高級品です。最大の特徴は、3カ月かける糸作り。膨大な手間暇をかけた絹糸で織られる黄八丈は、900万円の値がつくものも。
今回受け入れてくださったのは、創業107年の「黄八丈めゆ工房」。染色から反物織りまでの工程を一貫して行っている工房です。無形文化財技術保持者だった初代・山下めゆさんの遺志を、四代目の山下芙美子さんと糸染職人の次男・雄さん、糸染を手伝う青木保憲さんが引き継いでいます。
黄八丈の糸の色は、代表的な黄色と落ち着いた赤みの樺色、深みのある黒色の3色のみ。3色の糸の配置を変えて、様々な模様にしていきます。
糸作りを見せていただく予定でしたが、芙美子さんによると、この日は台風が近づいて天気が悪く、糸染めができないそう。染色には天日干しが欠かせないため、晴れた日にしかできないのです。その後も天気が回復せず、黄八丈を着せていただいたり、温泉に入ったり……ようやく5日目にして、糸作りを見せていただけることに。
まずは黄色から。原料は、専用の畑で育てている小鮒草。雑草や落ち葉などが混ざっていると色の濁りに繋がるため、チェックしながら刈っていきます。刈り取った後は3日間天日干しにして、余分な水分を抜いてから使うそう。
最初の工程は下染め。干した小鮒草を束ね、2時間半かけて煮出し、黄色の染料を作ります。完成した染料を8キロの絹糸にかけていきますが、1回漬けただけでは色が染み込まずムラに。揉み込むと糸が傷つくため、漬け置きしては干す作業を15回繰り返します。
1カ月かけて下染めが終わった絹糸に灰汁をかけると、薄い黄色だった絹糸が黄金に。ミリアムさんは「魔法です!」とびっくり! 灰汁は、ヤブツバキとヒサカキの葉を燃やしてできた灰から抽出したもので、天然の媒染液。灰汁に含まれるアルミニウムが化学反応を起こし、糸を発色させ、色を定着させるそう。
この後、天日干しをすると、抜群の着心地を生む絹糸に。
赤みがかった樺色は、クスノキの仲間であるタブノキを煮出し、染めては干すこと20回。灰汁を2回使って色を出し、深みのある色合いに。ツヤのある黒色は、シイの木の樹皮を原料に下染めしてから、灰汁の代わりに泥染めをしています。
泥染めは、山下家秘伝の製法。島に1カ所しかない黄八丈専用の泥田にある泥は、黒くするために必要な鉄分が豊富で、粒子が極めて細かく、糸の隅々までしっかり染まるそう。泥染めの後は、近くの清流で丁寧に洗い流せば、美しい黒色の糸に。
こうしてできた糸を2週間かけて丁寧に織り上げ、抜群の着心地の黄八丈ができるのです。
最後にミリアムさんは「皆さんは本当に自然を敬いながらお仕事をされていると感じました。黄八丈こそ八丈島そのものであり、自然と共存する日本人の象徴だと思います」と伝えました。
「黄八丈めゆ工房」の皆さん、本当にありがとうございました!
そしていよいよ、「洛陽織物」で西陣織の総仕上げ。
伝統工芸士の手織職人・井尾美也子さんによると、西陣織は複雑な模様なので、織るための設計図「紋意匠図」が必要だそう。紋意匠図は分業で作られ、専門に作る職人さんも。今回は特別に、作成風景を見せていただけることに。
意匠図と呼ばれる方眼紙の1目盛りが、経糸と緯糸が交わる点。図案家が描いたデザインをもとに、糸の色などを決めながら、マス目を塗り分けていきます。手織職人は、この設計図で経糸や緯糸の順番を確認し、織っていくのです。
井尾さんが使っていたのは「焼箔」。銀箔を熱して模様をつける、引箔の技法の一つです。織る際に糸1本でも順番を間違うと、引箔職人が描いた柄は出ません。順番通りに1本引き、竹べらに引っ掛けて織り込んでいきます。「箔を引くから“引箔”」との説明に、感動するミリアムさん。こうして、西陣織の製作工程をたっぷりと学ばせていただきました。
別れの時。「夢だった西陣織を学べたことはもちろんですが、仕事に対する情熱も勉強できました」と、職人の皆さんへの手紙を読み上げます。
すると、西村さんからプレゼントが。ミリアムさんが貼った銀箔で模様を作成し、パネルにしてくださったのです。さらに、図案家の島村さんからも、ミリアムさんが好きな桜をモチーフにした図案のパネルが。素敵な贈り物に、大感激のミリアムさんでした。
西陣織の職人の皆さん、本当にありがとうございました!
京都では、思いがけない出来事も。西陣織の織元が運営する「あさぎ美術館」で見せていただいたのは、普段は非公開の、純金箔の糸で織り込まれた打掛。その価値なんと1億円! なんと今回、特別に羽織らせてくださり、貴重な体験ができました。
着物を通じて、たくさんの職人さんと絆を紡いだニッポン滞在。帰国を前にミリアムさんは、「ニッポンの着物職人さんたちは、技術だけではなく情熱までも世界一だと学びました。またニッポンに来ます!」と語ってくれました。
ミリアムさん、またの来日をお待ちしています!
月曜夜8時からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」を放送!
▼ニッポンの“エビフライ”を学びたい!
「日本食レストランを開きたい」という夢を持つイタリアのジュゼッペさんが念願の初来日 愛知県知多半島の最南端、南知多町へ!創業74年「まるは食堂」の名物ジャンボエビフライ秘伝の製法を学ぶ!そして“車海老”の一大産地、熊本県天草市へ。選別や水揚げ作業のお手伝いをさせてもらい、エビフライや極上車海老をふんだんに使った郷土料理を食べさせてもらえることに!
▼揚げ物に最適な鍋を知りたい!
平安時代から鋳物に適した土が見つかったことから鋳物の町として発展した山形県鋳物町へ。400年以上の歴史を持つ「菊地保寿堂」で揚げ物を抜群においしく揚げられる鉄鍋づくりを見せてもらう。
▼“カキフライ”に挑戦したい!
世界文化遺産、厳島神社がある広島県廿日市で養殖牡蠣の老舗「島田水産」でジューシーな食感を保った大粒カキフライに大感激!
記事提供元:テレ東プラス
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