「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」冒頭シーン映像と著名人コメント公開
カーネギー賞とガーディアン賞を受賞したリチャード・アダムスの児童文学を原作に、理想郷を目指すうさぎたちの旅を描いたアニメーション映画「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」(1978)が、HDリマスター版となって11月30日(土)よりシネ・リーブル池袋、シアター・イメージフォーラム、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸、アップリンク京都ほか全国で順次公開される。冒頭シーンの映像と著名人のコメントが到着した。
〈コメント〉
ギレルモ・デル・トロ(映画監督)
『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』は人生の分岐点となった映画だ。
小島秀夫(ゲームクリエイター)
高校生の時に劇場公開された「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち(1978)」は衝撃作だった。イギリスからやって来た凶暴な“うさぎたち”のアニメは、原作を未読だった兎年の僕にはトラウマにもなった。児童文学などで描かれていた兎の概念を吹き飛ばす内容だったのだ。あの“うさぎたち”が45年ぶりにHDで帰ってくる!
しかも挿入歌も音声もオリジナル音声版なのだ。さあ、大人になった今、また“うさぎたち”の穴に墜ちてみよう。
古川登志夫(声優 ※1980年初公開時に吹替を担当)
格調高い映像と音楽、この作品にフィットする日本語版のセリフは、技巧的であってはなるまいと思ったのを覚えています。初めて映像を観た時、画面全体が、彩度を落とした草木染めのようなリアルな色調で、樹木や草花も精緻に描かれ、日本画の様だと感じました。登場するうさぎ達は、言葉を除くと、造形、色彩、動き、表情などは、極端な戯画化や擬人化が無くあくまでリアルで、残酷なシーンなども容赦なく描写される。次々と襲いくる危機、波乱万丈の物語の進展は早く、一気に惹きこまれました。「強い者が偉い」!として、万物の最高位に君臨する人間へのアンチテーゼの様にも見える《弱者であるうさぎ達のユートピアを目指す苦難の物語》は、しかし、人間社会の縮図でもあるのでしょう。
長江俊和(監督・作家)
まるで夢のなかにいるかのような映像体験でした。自分がうさぎになって冒険の旅に出たかのような……。でもそれは決して楽しいものではありません。くり返される殺戮と転生。時には残酷で、時には神々しく。
氏家譲寿(ナマニク/文筆家・映画評論家)
残酷さや社会的なメタファに目がいきがちだが、ウサギたちが静かに“ブラック・ラビット”に迎えられる様をみるにつけ、運命と死は荘厳なものであると感じる。何も恐れる必要はない、ただ想いと共にひたすら前に進めばいいのだ。
涌井次郎(新宿ビデオマーケット店長)
天使の歌声が響く中に描かれる舞いが、観る者を向こう側へと誘ない、白昼夢のような心地よさと、このまま連れて行かれそうな怖ろしさを同時に覚える。アニメーションでこそ表現し得た生と死の境界線、その繊細な美しさ。
手塚治虫(漫画家) ※1980年初公開時パンフレットより
映画が始まったとたん「ガーン」とハンマーで叩かれたようなショックをうけましてね、ウサギの伝説ではじまるプロローグの部分の絵に、まずまいった。そのあと、物語部分を10分ほどみているうちに、切々と「人生のシガラミ」・・・・・・といったものが伝わってくる感じで、だんだん泣けそうになるのですね。・・・・・・で、2回半、みちゃいました(笑)。
© 1978 WATERSHIP PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
配給:アーク・フィルムズ
記事提供元:キネマ旬報WEB
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