高速グリーンを制しツアー通算20勝達成の石川遼 パッティングでも「球をつかまえる」動きが必要だった【優勝者のスイング】
得意のコースで石川遼が今季2勝目を飾った。石川を含む3人が10アンダーで並び迎えた最終18番。ティショットをフェアウェイに置き2オンに成功すると、2パットでバーディを奪い2010年、12年、22年に続く大会4勝目を飾った。
勝因についてプロコーチの南秀樹が挙げるのがパッティングだ。最終ホールではバーディチャンスにつけながら3パットを喫し優勝に届かなかった谷原と、きっちりと2パットでバーディを奪った石川。また、13フィートともいわれるスピードとアンジュレーションのある御殿場を攻略したパットの巧さに注目すべきという。「石川プロが使用するL字パターは、フェースの開閉がしやすく、アイアンとの流れも良いパター。アドレスで、やや棒立ち気味に、腕を吊るようにするのは、開閉のしやすさとは相反するものですが、動かしやすいパターに対し、動かしにくいアドレスをすることで、微調整しているのだと思います」。
スピードやアンジュレーションのあるグリーンを攻略するには、パターでもしっかりとボールをつかまえ順回転でコロがすことが大事になる。「思い描いたラインに乗せて、傾斜なりにコロがすことができますから」と南。明らかなフックラインでも、「曲がらない!?」のは、ボールに余計なサイドスピンがかかっている可能性があるわけだ。
パターでボールをつかまえる感覚を磨くには、石川が使用するL字パターをはじめとする、フェースの開閉がしやすいパターで練習するのが効果的。「グリップエンドがずっとおへそを指すようにストロークしつつ、バックスイングは左手主体で、どちらかといえば“肩を横回転”させれば、ヘッド軌道が弧を描きやすくボールがつかまります」。反対に真っ直ぐの意識が強く、肩を縦回転、右手でクラブを上げるとフェースが閉じやすくなる。慣性モーメントの大きなパターなら、元に戻ろうとする力が働くので、インパクトではフェースが開きボールがつかまらなくなってしまう。
また、フォローでも左に振り抜く意識を持ちたい。「横回転をしながらも左肩を抜くようにすると、左に振り抜けます」。ヘッドを目標に出していくイメージだと左肩が上がりやすくヘッドは外に、ボールを擦って余計なスピンがかかりやすくなる。
ゴルフシーズン真っ只中、綺麗で速いグリーンを制するには、パットでもしっかりとボールをつかまえたい。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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