「次のステップにそろそろ行く時期」 上田桃子が“引退”という言葉を使わなかった理由
<伊藤園レディス 事前情報◇7日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6769ヤード・パー72>
3日(日)に自身のSNSで、「突っ走ってきた足を、いったん止めてみよう」などの表現で今季限りでのツアー休止を表明した上田桃子。7日には公式会見が開かれ、改めて、その決断に至った経緯や心境、思い描いている未来などについて明かした。
今年の6月15日に38歳を迎えた上田が、引き際を意識し始めたのは30歳を過ぎたころから。「ずっと“今年かな、今年かな”と思いながらやってきた。毎年、(オフの)合宿に入る前に『今年1年間やる心技体があるか』を考えてきました」。そしてプロ20年目の今年、決断を下すことになった。
ツアーを離れることを明確に決めたのは「今年の日本女子オープンが終わったくらい」と明かす。30位タイという結果に終わったが、「きっかけというのはないけど、メジャーで優勝したいと思ってきて、しっかり準備をしてきたつもり。でも今季3戦目のメジャーで勝てなかった。振り返った時に準備の仕方が間違っていなかったかとか、精いっぱいやれることはやってきた」と踏ん切りをつけた。
「ゴルフをやっている時に年齢は気にしなかった」とも。最後まで情熱を燃やし向き合うなかで、「次のステップにそろそろ行く時期が来たと思った」というのが理由になる。
2005年のテストに合格し始まったプロの道。07年には「ライフカードレディス」で初優勝を挙げると、それも含め同年5勝を挙げ賞金女王にも輝いた。08年からは米国ツアーにも挑戦した。
ここまでツアーの第一線で活躍してきた。そんなプロ生活については、「学びしかなかった。プロになっていきなり思った以上の結果が出て、アメリカに行ってたくさん失敗も経験した。なかなか思うようにいかない日も多かったけど『うまくなりたい』という思いはいつもあった。逃げずに正面から向き合うことで、なぜこうなるのか経験をもとに成長できたし、常に学びのゴルフ生活でしたね」と振り返る。
今後、選手としてコースに戻るかについては「こればっかりは分からない」というのが正直な気持ち。あえて“引退”という言葉を使わなかったのは、「プロになった時から一生プロゴルファーだと思っていた。もしかしたら戻りたい気持ちになるかもしれない。今はないけど、分からないからそういう言葉(引退)は使わない」と説明する。
今後については、「ゴルフ場にいない自分のイメージが湧かないんですよ」という本音も漏れるが、ぼんやりと指導やジュニア育成などに力を注ぐことも考えている。そのために、これまで感覚でやってきたことを理論として学びたいという気持ちものぞかせる。「技術を知るためには、体のことも分からないといけないし、人間の行動は思考で決まる。心技体について、しっかり勉強したいですね。あとは英語も勉強したい」。さまざま可能性を頭のなかに描いている。
現時点で残りは2試合だが、最終戦のメジャー大会「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」出場が直近の「目標」になる。ツアー通算は17勝(米ツアー1勝を含む)を数えるが、「本当に苦しい時間が半分以上。本当に笑えたのは勝った時だけ。それは出場試合の10分の1にも全然満たない」というプロ生活。それでも「諦めが悪いので最後までチャレンジする。アグレッシブにチャレンジしたい」と、最後まで全力を尽くす覚悟だ。
会見の最後は報道陣に「これまでありがとうございました」と深々とお辞儀をしたが、すぐに「来週もまだありますけどね」とニヤリ。上田桃子らしさ全開のプレーを、もう少し楽しむことができそうだ。(文・間宮輝憲)
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