空き時間を有効活用!単発バイトの時給200円アップに挑む:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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11月1日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「スキマを活かす新時代」。深刻化する人手不足でどの業界も働き手を求める中、急拡大するスポットワーク市場の最前線に密着。新たな働き方の登場で“第二の人生”を歩む人々、業界の先駆者「タイミー」の新戦略に迫った。
【動画】空き時間を有効活用!単発バイトの時給200円アップに挑む
人手不足が深刻化するニッポンで、新しい働き方、スポットワークが広がっている。
長時間労働ができなくなった物流業界では、忙しい時に働いてくれる人材は貴重な存在。
ある物流事業者は、「募集をかけても全然来なかったので、(上司から)何でも試してみなさいと。こんなに働き手がいるんだと思って…」と、スポットワーカーのありがたさを話す。
慢性の人手不足にあえぐ介護の現場でも、短い時間なら働ける看護資格を持つ人は多い。
東京・新橋のガード下にある居酒屋「THE 赤提灯」は、社員以外は全員スポットワーカーだけで賄い、飲食店で働いたことがないアルバイトを積極的に受け入れている。店長も一目置く宮野尚子さん(62)は、この店で60回以上働いている。
何も指示されなくても自分で仕事を見つけて動き、開店前は店長に“本日のおすすめ”を確認。爽やかな接客も魅力で、今や店にとって欠かせない戦力になっている。
6月、一周年を迎えたばかりの居酒屋「THE 赤提灯」で、アルバイトを招いた感謝祭が開催された。1年間で働いたアルバイトは1000人以上に上り、副業としてスポットワークを活用する人も多い。始めた理由を聞くと、「実家が東京にあるので、東京に戻って少し働きたいという時、活用させてもらっている」(保育士)、「前職で働いていた時、トラブルで急きょ他で賄わなければならない状況になって、慌てて登録した」(イベンター)など、実にさまざま。
感謝祭のメインイベントは優れたスポットワーカーの表彰で、宮野さんが年間MVPに選ばれた。
宮野さんは3人の子どもを育て上げた主婦で、現在は、夫の信一さんと一番下の娘と3人で暮らしている。コロナを機にスポットワークを始め、さまざまな店で働くなかで、接客することの楽しさを知ったという。
夫の信一さんも、「自分もスポットワークをやってみたいと思っている。やったことがないことにチャレンジするのは面白い。自分に合った仕事を探しやすい側面がある」と話す。
宮野さんの日課は、アルバイトで感じたことを書きためること。「どんなに忙しくても、どんな状況であっても1ミリもピリピリしない」「ワーカー達に思い切って仕事を任せる」など、職場で得たさまざまな教訓が並んでいた。
いつしか、「接客を教えるコンサルタントになりたい」という夢を抱くようになった宮野さんは、「自分が接客に救われたし、いっぱい幸せをもらっている。素晴らしい仕事なので、それを知ってほしい」と前向きだ。
10月。「THE 赤提灯」に入った宮野さんは、接客の指導を任された。新たな夢を持った宮野さんを、店も後押ししているのだ。指導するのは、「THE 赤提灯」での勤務が初めての大学4年生。スポットワークで新たな夢を見つけた宮野さんの挑戦は、一歩ずつ進んでいる。
スキマ時間を活かす、新たな働き方「スポットワーク」。創業から6年で上場を果たした「タイミー」(東京・汐留 売上高 161億円 従業員数 約1300人)は、スキマバイトサービスのパイオニアだ。現在、スポットワーカーの登録者数は900万人を超えている。
時代の寵児となった小川嶺代表(27)だが、ここまでの道のりは順風満帆ではなかった。
20歳の時、親から事業資金を借りてファッション系IT企業を立ち上げるも、すぐに挫折。その借金を返済するため、派遣やアルバイトで働く中で、あるアイデアがひらめく。
「暇な時間がある。まさにそれはスキマ時間。この時間が誰かに求められる時間に変わったら、自分としても満たされる。時間の有効活用のサービスをつくりたいということがきっかけだった」。
小川さんは2018年に「タイミー」をスタートさせ、スポットワーク市場を切り開く。
今や人材系企業やIT企業など、大手が続々と市場に参入。4月には「メルカリ」も参入し、7カ月で登録者数800万人を突破するなど、先駆者「タイミー」を猛追している。
そんな中「タイミー」は、登録者の時給をアップさせる新たなサービス「バッジ機能」をスタートさせた。バイト先から良い評価を多く得た働き手には、「タイミー」がバッジという称号を与える。仕事の内容に応じて14種類のバッジがあり、これを獲得すると、働き手は最低賃金に約200円上乗せした時給の仕事ができるようになる。事業者側にとっても即戦力を得やすくなるというシステムだ。
7月。「タイミー」の営業スタッフは、バッジ機能を説明するため、「ロイヤルパインズホテル浦和」(さいたま市浦和区)を訪れた。人手不足が深刻なホテル業界。このホテルでは繁忙期の人手を確保するため、これまでもスポットワークを利用してきた。
スポットワークを利用する事業者は、働いた人の報酬に30パーセント分の手数料を上乗せし、「タイミー」に支払う仕組み。これにバッジ機能分を加算するとさらに値段が高くなり、事業者側の負担は大きくなる。
時給に見合う即戦力とマッチングできるのか…。担当者は疑いつつも、バッジを持つ人専用の求人に切り替えることになった。
今回は、普段より高い時給1200円での募集だが、果たしてどんな人がやって来るのか。
さらに「タイミー」は、こうした反応の良い企業の力を借り、スポットワーカーのスキルアップと待遇改善を推し進めようと“ある施策”を行っていた。
しかし、優秀な人材が欲しい一方で、そう簡単には人件費を上げられない業種が多く、スポットワーカーの賃上げは容易ではない。
さらに10月1日、全国平均で時給1004円だった最低賃金が50円以上引き上げられ、その上げ幅は過去最大に。最低賃金が上昇する中、事業者は200円の上乗せを受け入れてくれるのか…。「タイミー」は対応を迫られていた。
「“良い人は報酬を上げてください”と交渉していくことは、すごく重要だと思っている。プラットフォームだから何もやりませんというわけじゃなく、プラットフォームだからこそ、しっかりと啓蒙できることがある」(小川さん)。
人々が自由に働きやすくなるスポットワークだが、企業の都合で必要な時だけ人材を確保できる非正規雇用の拡大は、かつて社会を揺るがした「派遣問題」を想起させる側面もある。
2003年、労働者派遣法改正により、製造業への人材派遣を解禁。しかし、2008年にリーマン・ショックが起きると、企業業績が悪化する中「派遣切り」が横行し、大量の失業者が生まれ、泊まる場所と食事を提供する「派遣村」まで開設された。
そして今、新たな非正規労働のスポットワーカーが急増し、その数は約2500万人。不安定な雇用状態の人が増えることが懸念されている。
そこで「タイミー」は、スポットワーカーたちのキャリアアップに向けて、正社員への転職支援を行うサービスを始めていた――。
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スキマバイトで見つけた、新たな人生の選択
人手不足が深刻化するニッポンで、新しい働き方、スポットワークが広がっている。
長時間労働ができなくなった物流業界では、忙しい時に働いてくれる人材は貴重な存在。
ある物流事業者は、「募集をかけても全然来なかったので、(上司から)何でも試してみなさいと。こんなに働き手がいるんだと思って…」と、スポットワーカーのありがたさを話す。
慢性の人手不足にあえぐ介護の現場でも、短い時間なら働ける看護資格を持つ人は多い。
東京・新橋のガード下にある居酒屋「THE 赤提灯」は、社員以外は全員スポットワーカーだけで賄い、飲食店で働いたことがないアルバイトを積極的に受け入れている。店長も一目置く宮野尚子さん(62)は、この店で60回以上働いている。
何も指示されなくても自分で仕事を見つけて動き、開店前は店長に“本日のおすすめ”を確認。爽やかな接客も魅力で、今や店にとって欠かせない戦力になっている。
6月、一周年を迎えたばかりの居酒屋「THE 赤提灯」で、アルバイトを招いた感謝祭が開催された。1年間で働いたアルバイトは1000人以上に上り、副業としてスポットワークを活用する人も多い。始めた理由を聞くと、「実家が東京にあるので、東京に戻って少し働きたいという時、活用させてもらっている」(保育士)、「前職で働いていた時、トラブルで急きょ他で賄わなければならない状況になって、慌てて登録した」(イベンター)など、実にさまざま。
感謝祭のメインイベントは優れたスポットワーカーの表彰で、宮野さんが年間MVPに選ばれた。
宮野さんは3人の子どもを育て上げた主婦で、現在は、夫の信一さんと一番下の娘と3人で暮らしている。コロナを機にスポットワークを始め、さまざまな店で働くなかで、接客することの楽しさを知ったという。
夫の信一さんも、「自分もスポットワークをやってみたいと思っている。やったことがないことにチャレンジするのは面白い。自分に合った仕事を探しやすい側面がある」と話す。
宮野さんの日課は、アルバイトで感じたことを書きためること。「どんなに忙しくても、どんな状況であっても1ミリもピリピリしない」「ワーカー達に思い切って仕事を任せる」など、職場で得たさまざまな教訓が並んでいた。
いつしか、「接客を教えるコンサルタントになりたい」という夢を抱くようになった宮野さんは、「自分が接客に救われたし、いっぱい幸せをもらっている。素晴らしい仕事なので、それを知ってほしい」と前向きだ。
10月。「THE 赤提灯」に入った宮野さんは、接客の指導を任された。新たな夢を持った宮野さんを、店も後押ししているのだ。指導するのは、「THE 赤提灯」での勤務が初めての大学4年生。スポットワークで新たな夢を見つけた宮野さんの挑戦は、一歩ずつ進んでいる。
スポットワーカーの高時給をめざせ!先駆者「タイミー」の新たな挑戦
スキマ時間を活かす、新たな働き方「スポットワーク」。創業から6年で上場を果たした「タイミー」(東京・汐留 売上高 161億円 従業員数 約1300人)は、スキマバイトサービスのパイオニアだ。現在、スポットワーカーの登録者数は900万人を超えている。
時代の寵児となった小川嶺代表(27)だが、ここまでの道のりは順風満帆ではなかった。
20歳の時、親から事業資金を借りてファッション系IT企業を立ち上げるも、すぐに挫折。その借金を返済するため、派遣やアルバイトで働く中で、あるアイデアがひらめく。
「暇な時間がある。まさにそれはスキマ時間。この時間が誰かに求められる時間に変わったら、自分としても満たされる。時間の有効活用のサービスをつくりたいということがきっかけだった」。
小川さんは2018年に「タイミー」をスタートさせ、スポットワーク市場を切り開く。
今や人材系企業やIT企業など、大手が続々と市場に参入。4月には「メルカリ」も参入し、7カ月で登録者数800万人を突破するなど、先駆者「タイミー」を猛追している。
そんな中「タイミー」は、登録者の時給をアップさせる新たなサービス「バッジ機能」をスタートさせた。バイト先から良い評価を多く得た働き手には、「タイミー」がバッジという称号を与える。仕事の内容に応じて14種類のバッジがあり、これを獲得すると、働き手は最低賃金に約200円上乗せした時給の仕事ができるようになる。事業者側にとっても即戦力を得やすくなるというシステムだ。
7月。「タイミー」の営業スタッフは、バッジ機能を説明するため、「ロイヤルパインズホテル浦和」(さいたま市浦和区)を訪れた。人手不足が深刻なホテル業界。このホテルでは繁忙期の人手を確保するため、これまでもスポットワークを利用してきた。
スポットワークを利用する事業者は、働いた人の報酬に30パーセント分の手数料を上乗せし、「タイミー」に支払う仕組み。これにバッジ機能分を加算するとさらに値段が高くなり、事業者側の負担は大きくなる。
時給に見合う即戦力とマッチングできるのか…。担当者は疑いつつも、バッジを持つ人専用の求人に切り替えることになった。
今回は、普段より高い時給1200円での募集だが、果たしてどんな人がやって来るのか。
さらに「タイミー」は、こうした反応の良い企業の力を借り、スポットワーカーのスキルアップと待遇改善を推し進めようと“ある施策”を行っていた。
しかし、優秀な人材が欲しい一方で、そう簡単には人件費を上げられない業種が多く、スポットワーカーの賃上げは容易ではない。
さらに10月1日、全国平均で時給1004円だった最低賃金が50円以上引き上げられ、その上げ幅は過去最大に。最低賃金が上昇する中、事業者は200円の上乗せを受け入れてくれるのか…。「タイミー」は対応を迫られていた。
「“良い人は報酬を上げてください”と交渉していくことは、すごく重要だと思っている。プラットフォームだから何もやりませんというわけじゃなく、プラットフォームだからこそ、しっかりと啓蒙できることがある」(小川さん)。
スポットワークから正社員へキャリアアップ
人々が自由に働きやすくなるスポットワークだが、企業の都合で必要な時だけ人材を確保できる非正規雇用の拡大は、かつて社会を揺るがした「派遣問題」を想起させる側面もある。
2003年、労働者派遣法改正により、製造業への人材派遣を解禁。しかし、2008年にリーマン・ショックが起きると、企業業績が悪化する中「派遣切り」が横行し、大量の失業者が生まれ、泊まる場所と食事を提供する「派遣村」まで開設された。
そして今、新たな非正規労働のスポットワーカーが急増し、その数は約2500万人。不安定な雇用状態の人が増えることが懸念されている。
そこで「タイミー」は、スポットワーカーたちのキャリアアップに向けて、正社員への転職支援を行うサービスを始めていた――。
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