「全力で空回りはしたけれど(笑)」 渋野日向子の不安を払しょくした声援とアドレナリン
<TOTOジャパンクラシック 初日◇31日◇瀬田ゴルフコース 北コース(滋賀県)◇6616ヤード・パー72>
渋野日向子が1番のティイングエリアに立ったとき、フェアウェイの左右にはずらりとギャラリーが並んだ。「気分が上がるし、緊張するし、ひさびさの感覚でした。8月にmeijiカップで帰ってきたときも緊張したけれど、案の定、変なボールが出ましたね(笑)」。ギャラリーロープギリギリのラフにつかまり、パーで滑り出し。4バーディ・2ボギー・1ダブルボギーの「72」で初日を終えた。
ユーティリティで手前2メートルにつけた3番パー3でバーディが先行。ティショットを“がけ下”に落とした7番ではパーをセーブした。「木が邪魔にならないところまでいっていた。普通に打ててむしろラッキーでした。左足上がりのつま先上がりで、芝もりもりでした(笑)」。グリーンを外したところでも、ショートゲームで耐えた。
しかし、11番で2つ目のバーディを奪って迎えた12番パー3で、実測199ヤードのティショットを左奥に外してダブルボギーを喫した。「人を殺しそうな球を打ってしまったので焦りました(笑)。マジでびっくり。(アプローチは)手前に落とすとダボがあると思って乗っけたのに、7メートルから3パットだったので悔しい」と自虐節に振り返る。ただ、15番からの連続バーディでイーブンパーに戻した。
2週間前のアジアシリーズ第2戦「BMW女子選手権」では、開幕前に「急に体がパンパンになってしまって、節々が…関節が曲がらなかった」という体調不良に襲われ棄権した。いまも薬を飲みながらの生活が続いているが、その心配は無用だった。「最近の自分の調子からいうと、すごく動けているなと」。動きすぎて切り返しが速くなったことで、ショットの精度にはムラが生まれてしまったが、体調面についてはうれしい出来事でもある。
ギャラリーからの声援でアドレナリンが出たのも、うれしい感覚だった。「最近ではひさびさかもしれない。全英でも出るかなと思ったけれど、傷ついた感じで終わってしまった。バーディを取りたいという気持ち、悔しいという気持ちが出て、いい意味で良かったと思う」
およそ3カ月ぶりの日本での戦いで、ファンから背中を押されている。「あまりいい感じのゴルフができていなかったし、心も体も疲れているなという感じはあったけれど、日本に帰ってきて、たくさんのギャラリーの前でプレーできることはありがたいこと。日本に帰ってくるたびに思わせてもらえる。全力で空回りはしたけれど(笑)。自分の中では楽しめたかな」。イーブンパーは56位タイ発進。上位フィニッシュには残り3日間の巻き返しが必要だが、いまの渋野日向子は前向きだ。(文・笠井あかり)
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