ヘッドスピードばかり気にしても上手くならない⁉ スイング解析で見るべきは“スピン量”の数値だった
屋外での練習は開放的で気持ちいいもの。しかし、「インドアスタジオでの練習には、打ちっ放し練習場では得られないメリットがたくさんあります」と、プロコーチの堀尾研仁はいう。
「一般的な打ちっ放し練習場では、正確な弾道データを知ることができません。でも弾道測定器のあるインドアスタジオであれば、キャリーにラン、打ち出し角やスピンなどの詳細が一目瞭然です」
最近は弾道測定器を導入している打ちっ放しもあるが、レンジボールを使っていることなどから、どうしても本球とは打感や飛びが異なってしまう。また、スイング計測器の中には光の関係で、屋外では使用しにくいものもある。
「正確なデータが分かるのがインドアの強み。練習の質が格段に上がります」
とはいえインドア初心者にしたら、計測データをどう見ればいいのか分からない人もいるだろう。
「皆さんヘッドスピードに注目しがちですが、大切なのは自分のキャリーとランを把握すること。そしてスピン量。これらを安定させるように練習することがとても大切です。スピン量を安定させることで、球の高さが一定になり、左右の曲がりも安定します。適正スピン量はヘッドスピードや番手によって変わりますが、ヘッドスピードが速い人でドライバーは2,000回転台前半、遅い人で2,000回転台後半が目安です」
アマチュアゴルファーはつい、“いい球=いいスイング”と考えがち。例えば、自分はインサイドから下ろしているつもりなのに実はアウトサイド・イン軌道で、偶然芯に当たっているだけということもある。そんな自分の本当のスイングを直視せず放置していると、「不調に陥ったときに調子が良かった頃の打ち方が分からず、元に戻れなくなってしまいます」と堀尾は話し、その状態を次のようになぞらえる。
「会社に赤字部門があるけれど、総合的には儲かっているからといって目をつむる。すると、必ずひずみが生じます。スイングの数字を見ないのも、同じなんです」
なんとも身につまされる話だが、健全な経営ならぬスイングを目指すならまずは現実を知り、データとにらめっこしながら地道に練習すべしということだ。
「健康診断のように定期的にインドアスタジオに行ってコーチにデータを診てもらうと、普段の練習にも役立ちますよ」
数字は真実を語るのである。
■解説:堀尾研仁
1997年よりデビッド・レッドベターに師事し、2002年から国内男子、女子のツアープロコーチとして活躍。小木曽喬や中西直人を指導している。KEN HORIO GOLF ACADEMYを主宰、ビームスゴルフスタジオ(東京・浜松町)、新宿ゴルフ倶楽部(同・新宿)で指導を行っている。
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