見た目は難しそうなツアーアイアンでも打ってみると意外と簡単! 幅広い人が使える四代目『P770』
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。
テーラーメイドは『P770』を2024年9月6日に発売。『P770』のコピーは“フォージドならではの心地良い打感と打音”です。テーラーメイドのツアーアイアンといえば、『P770』を思い浮かべる人も多いフラッグシップモデルです。
1年ごとのモデルチェンジになります。新しい『P770』は四代目です。中空アイアンをツアーモデルとして進化させて、最も成功しているのがテーラーメイドです。『P770』は中空アイアンのツアーモデルの代表といえるアイアンです。
名称の『770』は、77.0ミリのヘッド長という意味です。いわゆるツアーアイアンとして、シャープなヘッドとして理想的な数字だと言えます。また、新しい『P770』は、バックフェースもスッキリとして、余計なデザインはゼロです。好みの問題ではありますが、黙って打てよ、という感じで、好感を持ちました。
テクノロジーもてんこ盛りです。「FLTD CDデザイン」は、番手ごとにヘッド内部に配置するタングステンウェイトの重さと位置を調整した重心設計のことで、ロングアイアンは飛ばしやすさを、ミドルアイアンは狙いやすさを、ショートアイアンは止まりやすさを、それぞれを実現するためのテクノロジーです。
「SpeedFoam Air」は、中空部分に注入するテーラーメイド独自の充填材です。前モデルより約69%も軽量化し、打音と打感を最適にしています。
「クロモリ鋼L型フォージドフェース」は歴代で最も薄く、貫通型スピードポケット「プログレッシブICT」と融合させることで、フェース面の厚みを番手ごとに最適化させ、ミスヒットしても弾道がばらつかない性能を発揮します。
ツアーアイアンのテクノロジーを詳細に説明しないというケースもありますが、『P770』は細かいところまで作り込んでいることを余裕の証拠として明らかにしているように感じます。『P770』は、打ってみたくなるアイアンです。
試打した日は、晴れで、気温は24℃~31℃。風ややありでした。試打ラウンドをした『P770』は、5番~PW、N.S.PRO MODUS3 TOUR 105 (S)です。使用したボールは、使い慣れていてクラブだけに集中できる『TOUR B X』です。
【打感・打ち応え】
『P770』の打音ですが、音量はやや抑えられています。軽い鞭系の音で単音。シュッとした良い音です。打ち応えは、グッとしたやわらかい乗り感があります。手応えは敏感で軽快です。芯感はクリアですが、少し重さを感じさせるところが面白いです。
【弾道・球筋・スピン性能】
『P770』の弾道は、高弾道。高低の打ち分けに敏感に反応します。左に行きにくいチューニングはツアー用で、振り抜けるアイアンに仕上がっています。曲がりには敏感に反応。スピン性能は、ツアーアイアンらしい効きで、中空アイアンの止まらない感じは消えています。
【飛距離性能】
『P770』は、7番アイアンのロフトが33度。ロフト通りの飛距離です。いわゆる雰囲気を出した距離感を打てる快感があります。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『P770』は、やさしく使えるツアーアイアンへの進化を強く感じました。その理由は二つあります。前モデルよりもヘッドスピード40m/sの僕でも機能が引き出せて、使えると思わせたことが一つ目。もう一つは、単純にミスヒットに強くなったところです。浮力があり、伸びがあるボールを打てるようになった分、やさしくなったと心強く思いました。
小さくシャープなヘッドが好きで、難しそうに見えるけど、実はやさしく打てるツアーアイアンが欲しいゴルファーに、『P770』はオススメします。もちろん、打ち手を選ぶ側面はありますが、四代目にして、歴代で最も広い層のゴルファーが使えるアイアンになったと感じました。
やさしくなったツアーアイアンの多くが、敏感さを失って、打ち手のテクニックを吸収してしまうような本末転倒な味付けになっていますが、『P770』にその心配は不要です。試打ラウンド中に、打てば打つほど手に馴染んで、打ち手の思考がダイレクトにクラブに伝わるような快感を何度も味わいました。
とはいえ、全ての機能を使い切るには、パワーが不可欠。『P770』は、パワーがあるツアープレーヤーが使ってこそ、その本領を発揮することも間違いのない事実です。
名店は四代続いて初めて老舗と名乗れるそうですが、新しい『P770』にも、そのような継続するレジェンド的な名器感を感じました。
小さすぎないヘッド、直線的なシェイプ、無味無臭なのが『P770』です。
もし、自分がもう少し基礎体力があって、飛距離が落ちていることをクラブに助けてもらわないで済むのであれば、『P770』がバッグに入っている未来を予測して、ニヤニヤしたであろうと思いました。
良いツアーアイアンというのは、例外なくカッコイイものですが、『P770』は文句なくカッコイイアイアンになっています。そして、使い熟すことで、その輝きが最大になるのです。
【試打ギアスペック】
『P770』
ヘッド素材 軟鉄(8620)+内蔵タングステンウェイト(#3~#8)+SPEEDFOAM AIR
フェース素材 クロモリ鋼(4140)
ロフト #5/25.5度、#6/29度、#7/33度、#8/37度、#9/41度、P/45度
シャフト N.S.PRO MODUS3 TOUR 105 (S)
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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