AI時代到来で職を失わないために!全ての大人たちが読むべき本とは
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AIの進化が著しい近年、将来に漠然と不安を抱いている方も少なくないのではないでしょうか? その不安の実態や決して明るいとは言えない未来を展望した本『AI vs 教科書が読めない子どもたち』を、塾講師として長年教育の現場に立ってきた宮本さんが紹介してくれました。
イチオシスト:宮本 毅
算数・国語・理科・社会の4科目すべてを指導する塾講師。生徒のやる気を引き出し、自立学習のさらに先にある「自発学習」を目指す。著書に「はじめての中学受験」「ゴロ合わせで覚える理科85」などがある。
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AI時代が到来するとなくなってしまう職業があるという話がある。しかし、現実にわれわれから職を奪うのはAIではなくわれわれ自身である。AI時代を生き抜くためにわれわれに何が必要なのかを明確に示してくれる一冊。
AIの登場によりわれわれの生活は何が変わったのか
2014年にオックスフォード大学が、あと10年で「消える職業」を発表した。あれからすでに6年の月日が経っている。あの頃と今とではどんなことが進歩し、何が変わったのか。目立つのは車の自動運転と、音声認識アプリの発達だろう。私も日常生活の中で「OKグーグル」と話しかけ、高速道路ではオートクルーズ機能を使って運転の一部をAIに任せている。生活はますます便利になっているが、一方でAIがわれわれの仕事を奪いつつあるのも現実だ。昨年、保険会社が給付金の支払査定にAIを導入したことで話題となったが、少しずつAIが人間の社会に侵食しつつあるのは間違いない。われわれは、きたるべきAI社会をどう生き抜けばよいのだろう。
これは単なる教育本ではない すべての大人たちが読むべき本
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著者、新井紀子氏は本書の中でやみくもに不安をあおっているわけではない。むしろAIの苦手なことは何かを、自身の研究成果である「東ロボくん」のデータを開示してわかりやすく説明してくれている。その苦手分野が一言で言えば「読解力」だということなのだが、問題はいまの子どもたちの「読解力」が危機的状況にあるということだ。そのことを本書は膨大な研究結果と統計データをもとにわれわれに示してくれている。
私は塾講師として長年にわたり子どもたちに接してきた。その中で最近特に強く感じることは「子ども達の読解力の低下」である。今の子ども達は著しく読解力が欠乏していると感じるのだが、これまでそれは単なる「塾講師としての経験」に基づくものにすぎなかった。しかし、本書ではそれが明確なエビデンスをもって示されているのである。これはある意味恐ろしい現実である。なぜならば、私の勘違いである可能性もあったことが、事実として認定されてしまったからだ。
子どもたちから将来の職を奪うのはAIではない それはあなた自身である
すべての大人たちに私は警鐘を鳴らしたい。教育現場にある者たちはみな、子どもたちの「読解力の劣化」に危機感を抱いている。しかし一方で子どもたちの読解力を鍛えることができるのは、子どもたちの一番身近にいる大人、すなわち「親」なのである。本書を読んで大人たちが自らの意識を変えなければ、子どもたちの未来は暗い。AI時代が到来する前に、本書を是非ご一読いただきたい。
DATA
東洋経済出版│『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子)
単行本・287ページ
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