広告コピーに込められたメッセージとは。『物語のある広告コピー』
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普段は見過ごしがちなテレビCMやポスターの広告コピーですが、そこにはコピーライターたちの想いが詰まった「物語」があると語る竹本さん。『物語のある広告コピー』は、ただの宣伝ではなかった、広告コピーのストーリーを楽しめる1冊だそうです。
イチオシスト:竹本 道子
『太陽にほえろ!』のスクラップブックをつくり友人と盛り上がったこども時代。夕方の再放送が見たくて一目散に帰宅した青春時代。撮影現場を垣間見た平成時代。尽きないドラマへの好奇心は令和もつづく。All About ドラマ ガイドを務める。
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情報が加速する時代。ことばを発信する機会が増えているのに、ことばをちゃんと届けられているのだろうかと、こうしてモノを書いている立場にありながらも、いつも迷ってばかりいます。
広告コピーが生まれた背景やコピーライターたちの想いが綴られた書籍『物語のある広告コピー』は、そんな私を原点に立ち返らせてくれる大切な1冊です。
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コピーライターたちのメッセージに心が華やぐ
広告コピーの多くは「やや大きな文字で書かれたことば(=キャッチコピー)」と「小さな文字で長めに説明的、あるいは補助的に書かれたなことば(=ボディコピー)」があるといいます。
キャッチコピーに比べてボディコピーのほうを最後まで読むことは少ないのですが、しっかり読んでみると一言一句が練りに練られ、いくつものメッセージが息づく物語だということに気づかされます。
収録されている115作品には、小説のようなことばもあれば、読み手自身が一気に想像を膨らませる短いことばもあります。たとえば明治製菓の『人生が、ラブストリーでありますように。』のボディコピーは、まさに24年間の物語。最後の1文に「あぁそういうことだったのか」と幸せな気持ちになれます。
また、竹野内豊さんのカッコよさとトホホな感じが絶妙だった缶コーヒーRootsの『それでも、前を向く。』シリーズのボディコピーはとても短いですが、『それでも、前を向く。』に行きつくまでの数々の物語がなんとも的を射たもので、笑いながらも、感心させられる内容です。
コピーライターと聞くと、なんだかアイデアをわんさか持っている時代の最先端をいく「かっこいい人たち」という気がしますが、本書を読んでいくと、そんなことはないようで、小手先ではない「ことば」を懸命に粘り強く手繰り寄せる姿は、毎日を生きる私たちとなんら変わらないのかもしれません。
宣伝を超えた何かを届けようという想いがあふれている
ドラマや映画、小説やマンガに涙するように、私たちの毎日は物語にあふれています。それは15秒間のテレビCMや街角の広告ポスターといった短いメッセージのなかでも同じ。偶然出合えた広告コピーに、明日もガンバロウと背中を押してもらったり、抑えていた涙が一気にあふれた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
世の中にはインパクトの強さやセンセーショナルな印象付けで商品をアピールするものもありますが、この本に紹介されているコピーは、ごくごくふつうの毎日に生まれる物語。どれもに宣伝を超えた何かを届けようという想いがあふれていることがわかります。
そして、すべての作品に共通しているのは、どれもが私たちに希望を見せてくれるということ。飲食店や商業ビルの広告など、私たちがあまり知ることのない広告でも、こんなにも素晴らしいものだと気づかされるということ。
ことばの世界は広くて深い。WEBの時代、ポップアップで登場するアンケート的広告やクリックを誘導するだけのコピーとは違う『物語のある広告コピー』をぜひ手に取ってみてください。
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DATA
パイインターナショナル┃物語のある広告コピー
発売年:2013/2/20
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