脇役もスゴイ刑事ドラマ『ストロベリーナイト』――個性派俳優の競演に圧倒される!
更新日:
私達をヒリヒリさせてくれる刑事ドラマ。ドラマガイドの竹本さんのイチオシは、竹内結子主演『ストロベリーナイト』なんだとか。 西島秀俊や武田鉄矢、遠藤憲一など個性派俳優が競演する豪華なキャスティングと、捜査会議の緊張感にどんどん引き込まていくんだとか!
イチオシスト:竹本 道子
『太陽にほえろ!』のスクラップブックをつくり友人と盛り上がったこども時代。夕方の再放送が見たくて一目散に帰宅した青春時代。撮影現場を垣間見た平成時代。尽きないドラマへの好奇心は令和もつづく。All About ドラマ ガイドを務める。
※記事内で紹介した商品を購入すると、売上の一部が当サイトに還元されることがあります。
毎シーズンこぞって制作される刑事ドラマですが、描かれる世界観は作品によって大きく異なります。そんな中、実力ある個性派の俳優たちが競演し、ヒリヒリする緊迫感と重厚感で視聴者をグイグイと引き込んだのが『ストロベリーナイト』(2012年/フジテレビ系)です。
濃厚すぎる捜査一課のメンバーにクラクラする
竹内結子演じる刑事・姫川玲子の活躍を描いた『ストロベリーナイト』は、グロテスクで残虐な描写も少なくありません。狂気と隣り合わせとなる物語において、ピリっとスパイスを効かせ現実に引き戻してくれるのが、主人公を取り巻くクセの強い男たちです。組織に順応しない彼女が気に入らない上司もいれば、彼女を全力で守ろうとする部下もいて、十人十色の人物像と演じる俳優陣の熱演が非常に刺激的な作品でした。
捜査会議の緊張感がたまらない
姫川班が所属するのは捜査一課。辛辣な男社会の現実をありありと感じさせる捜査会議では、声を荒げ激しく感情をぶつけ合うことも多く、『警視庁・捜査一課長』(木曜夜8時~/テレビ朝日系)のような全員一丸の風はまったく吹きません。姫川にぞんざいな態度を見せるのが、渡辺いっけい演じる管理官の橋爪俊介です。「お嬢ちゃん」と呼ぶ苦々しい表情にカチンときますが、この空気があるからこそ、奮い立つ姫川の強さと信念が際立ちます。お互い手の打ちを明かすことのない捜査の駆け引きも見どころのひとつ。
容赦ない言葉で刺してくるのが、姫川の天敵・ガンテツこと勝俣健作。演じた武田鉄矢の太く低い声、読みきれない表情の”すごみ”がみごとでした。そして、姫川のカンに頼る捜査方法に異を唱え、客観性を重視する日下守を演じたのは遠藤憲一。彼と姫川の対峙にもヒリヒリしたものです。姫川を1課に呼んだ係長・今泉春男は、今も私の理想の上司。姫川を評価し盾にもなる心強い存在の彼を、高嶋政宏が伸びた背筋で見せてくれました。
常に緊張感が走る捜査会議ですが、刑事としてのそれぞれのやり方、事件に対する姿勢がていねいに描かれ、人間ドラマと見応えのある骨太な作品です。
ぜいたくなキャスティングはほかにも!
姫川を「お嬢さん」と呼ぶ鑑識の小峰 薫(田中要次)は、現場で「吐くなよ」と声をかけ、さりげないやさしさを見せています。姫川最強のサポーターとも言える刑事の井岡博満(生瀬勝久)はタイムリーに出現しては彼女を窮地から救い、監察医の國奥定之助(津川雅彦)は姫川のよき相談相手。2人の存在感も光ります。リーダー思いの姫川班に胸が熱くなる
主任である彼女を支える姫川班のメンバーはつよくやさしく、ここでも絶妙なキャスティングにうなります。彼女に恋心を抱きながら実直にリーダーを見守る人気のキャラクターを、西島秀俊がひたむきに演じ視聴者の胸をつかみました。姫川を理解し、大きく包み込むようなベテラン刑事の石倉役は宇梶剛士。感情を乱すことが多い姫川の防波堤として奔走します。丸山隆平は、ディープな世界観のなか、明るく若々しい風を吹かせる湯田康平をさわやかに演じ、視聴者を和ませてくれました。
印象的だったのは、7cmのヒールを履く彼女が現場で靴を履き変えるときに、肩をかしたり鞄を持ったりと、紳士的な一面を見せる姫川班のほほえましさ。姫川に相対するメンバーとのコントラストも鮮明で、作品に深みを持たせています。
登場人物を存分に味わえる展開は必見
視聴者にも読者にも常に注目される、人間味あふれる登場人物たち。その登場人物を俳優陣が大切に演じていることが伝わってくる作品には、魂が宿っています。パイロット版放送後に連続ドラマがスタートし、映画化された『ストロベリーナイト』。その後、登場人物を主役にオムニバス形式の『ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン』が制作されたことからも、いかに登場人物たちが魅力的で視聴者を魅了したかがわかります。ドラマがスタートして10年がたちますが、小説は今も続いており、読者を楽しませています。鮮烈な俳優たちが集結した希少な作品をぜひもう一度。
DATA
『ストロベリーナイト』
出演:竹内結子、西島秀俊、小出恵介、宇梶剛士、丸山隆平ほか
原作:誉田哲也「シンメトリー」「感染遊戯」「ソウルケイジ」(光文社文庫刊)
脚本:龍居由佳里、林 誠人、旺季志ずか、黒岩 勉
プロデュース:髙丸雅隆、江森浩子
演出:佐藤祐市、石川淳一
音楽:林 ゆうき
主題歌:GReeeeN「ミセナイナミダハ、きっといつか」(NAYUTAWAVE RECORDS)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。