返還前のリアルな香港を体験できるアジア映画の傑作『恋する惑星』
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多くのアジアの魅力を発信している稲嶺さんがおすすめしてくれたのが、アジア映画の名作『恋する惑星』。返還前の香港をスタイリッシュに描いた、アジアにハマるきっかけになった作品なんだとか。
イチオシスト:稲嶺 恭子
大手出版社で情報誌編集に携わり、退社後シンガポールへ。現地日本人向け情報誌編集部を経て、帰国後は沖縄へ移住。シンガポール、沖縄での経験を生かして、2007年よりフリーランスの編集&ライターとして、主にアジアと沖縄をテーマとしたガイドブック・雑誌・書籍・ウエブ媒体などで活躍中。
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アジア映画の魅力を世界に広めたウォン・カーウァイの大ヒット作
全編香港ロケですが、返還前の色気ある香港の魅力が余すところなく詰まっていて、アジア好きな私にとって大切な映画です
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作品におさめられた返還前のリアルな香港の風景
人気とは裏腹に、「恋する惑星」のストーリーはちょっと複雑です。金城武演じる失恋した警官223号と逃亡中のドラッグディーラーの女とのストーリー、トニー・レオン演じる恋人とのすれ違いが続く警官663号とフェイ・ウォン演じる飲食店従業員フェイのストーカー的恋愛ストーリーがひとつの作品のなかで描かれています。全編香港ロケで、映画が上映された1994年当時の香港のごちゃごちゃした風景のなかに若者の日常が詰め込まれています。そのファッションや音楽は今観てもスタイリッシュ。アジアに惚れた人なら分かる、古いものと新しいものの魅力的なコントラストや空気感を存分に感じさせてくれます。
香港を入り口にアジアにハマった私の宝物的映画
『恋する惑星』は、私が香港を初めて訪れたすぐ後に上映された映画です。香港にハマり、アジアに通いまくっていた私にとって、もう戻れないくらいにアジアにハマるきっかけになった作品と言えます。バックパッカーの聖地のひとつであるチョンキンマンションをはじめ、返還前夜、むさぼるように旅した艶っぽい香港の街がいきいきとそこに映し出されています。
金城武やフェイ・ウォンといったアジアンスター演じる登場人物のけだるさも、当時「ジェネレーションX」と呼ばれていた自分たちと似ている部分があって、作品を通して「世界中どこでも考えることは一緒なんだな」とアジアやアジアの若者を身近に感じたのも覚えています。
作品全体に漂う空気感で、香港、アジアの猥雑さや魅力を存分に感じられるのがこの作品の最大の魅力でしょうか。結局、香港ではなくシンガポールで暮らすこととなる私ですが、この作品がなければアジアで暮らしたいと強く願わなかったと思います。まさに、私がアジアに恋した映画でもあるのです。
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DATA
恋する惑星
監督:ウォン・カーウァイ
時間:103分
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