将来のキャリアに悩んだら読みたい小説『2010中流階級消失』
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自分の将来に悩んだとき、ビジネス本や自己啓発本からヒントを得る人も多いと思いますが、今回飯田さんがおすすめしてくれたのは『2010中流階級消失』の中に収録されている小説。経済アナリストの実体験を元に書かれた第2部を読んだことが、海外でFPとしてのキャリアをスタートするきっかけになったそう。
イチオシスト:飯田 道子
金融機関勤務を経て1996年にFP資格を取得。
各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
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大きな変化が多い日本の社会。自分の将来、ひいては国の未来に不安を感じている人は多いのではないでしょうか。
キャリアに悩んだときは、具体的なノウハウを学べるビジネス本だけでなく、「考え方」を教えてくれる小説を読むのもおすすめです。
ガイドのイチオシ本は『2010中流階級消失』。経済アナリストとして活躍していた、故・田中勝博さんの著書です。
私自身、実際にこの本を読んで行動したことが、海外でのキャリアアップに繋がっています。将来が不安な時に何をすべきか、迷ったり考えたりしている方にぜひ読んでほしい1冊です。
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中流階級が消失した前提の小説から得たこと
自分の生い立ちを卑下するのではなく、ポジティブに流れに身を任せた結果がそこにある。もちろん人一倍努力したことは想像に難くない
『2010中流階級消失』は、ノンフィクションと小説の2部構成。1部は、若くしてロンドンのシティで活躍することとなった田中勝博氏の実話、2部は、金融ビッグバンを経験した「とある日本人の生活」についての小説です。
発売された1998年頃は、国内でも金融機関が破たんや、生き残るための合併等が始まったタイミング。FPとして独立したばかりの私は、何を心がけていけばいいのか、不安を抱いていた頃でした。
そんなとき、以前から興味を抱いていた、海外にフォーカスすることを決意するきっかけになったのがこの本です。
本の中には「会社がなくなるかもしれない時や、急激な経済的な変化が訪れる時には、さまざまな選択肢が訪れる」という内容が書かれていました。また、ロンドンの証券業界の裏側や海外企業が行う「ダウンサイジング(景気のいい時こそ人員整理をすること)」について知り、大きな衝撃を受けたのを鮮明に覚えています。
「機会を活かすか活かさないかは自分次第」であると気づき、グローバルキャリアを築くための一歩を踏み出そうと思えたのです。
英語は不可欠かも、と一念発起
今でこそ社内公用語が英語と言う企業もありますが、当時の日本では、外資系企業以外で英語を話す人は特別というイメージがありました。ですが、私は「田中氏のキャリアアップは、ロンドンで金融業界に身を投じてからだった」という事実をこの本で知り、一念発起して英語を勉強することに。大好きだったカナダのバンクーバーに滞在し、その土地の金融について学んでいきました。
結果、現地でセミナーやFP業務を行ったり、日本語メディアで執筆する機会を得たりという、貴重な経験を重ねられたことは言うまでもありません。
キャリアに迷っている人に読んでほしい一冊
決して恵まれた幼少期ではなかった著者なのですが、ポジティブな発想力や、チャンスを逃さない決断力を読みとることができます。特に2部の小説で、岐路に立たされた登場人物の決断によって、各登場人物の生活が大きく変化する様子が印象的。今読んでも色あせない内容で、私自身、何度か読み返しています。
キャリアに対するビジネス本は多いのですが、実体験を踏まえたストーリーだからこそ感じられるものもあるはず。ピンチのとき、どのように対処するべきかを知る手掛かりになるでしょう。ぜひ、手に取ってみてください。
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DATA
講談社|2010中流階級消失
著者:田中 勝博
発売日:1998年9月28日
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