女性活躍を阻むカギは「アンコンシャスバイアス」と「同質性」の克服 関東7新聞社などが国際女性デー企画「フューチャーセッション 誰もが輝いて働く社会へ」を開催
イチオシスト
国連が1975年の国際婦人年に定めた3月8日の「国際女性デー」に向け、東京都内の共同通信社で2月6日、誰もが輝ける社会づくりを提唱するイベント「フューチャーセッション 誰もが輝いて働く社会へ」が開催された。関東の7新聞社(茨城新聞社・神奈川新聞社・埼玉新聞社・下野新聞社・上毛新聞社・千葉日報社・山梨日日新聞社)と株式会社共同通信社の共催で、2025年に続き2回目。関東8都県の企業の人事やダイバーシティ推進担当者など、24社約40人が参加した。
■女性活躍は多様性の第一歩 白河桃子氏が基調講演
基調講演は、少子化・働き方改革・女性活躍・ジェンダー・ダイバーシティ・人的資本経営などをテーマに、講演やメディア出演、執筆等、多方面で活躍する昭和女子大学客員教授の白河桃子氏。白河氏は、まず、だれもが働きやすい職場の実現のためには、経営課題を特定し、それを克服する多様な人材が活躍できる風土が重要だと指摘。“女性活躍”は多様性に向けた第一歩と位置付けた。
そして、多様性と相対する「同質性」について解説。「実力を過信する」「不都合な情報を入れない」「内部批判を許さない」「疑問を持たない」など、同じような属性や特性を持つ人から成る集団の「同質性のリスク」について、データを基に示した。その上で、企業が採用を繰り返す中では、どうしても似たような人材ばかりが採用される恐れがあるとした。
また、少数派が可視化される最低限の数字として「3割」を挙げ、意思決定を行う管理職の3割に女性を入れる重要性を強調した。女性だけが量と質を問われる理不尽さもあるとしつつ、まずはデモグラフィー(性別・年齢などの属性)、続いて、タスク(知識や能力)、認知(視点)というように段階を追ったダイバーシティの進め方を解説した。
無意識の偏見や思い込みを指す「アンコンシャスバイアス」が男女格差に及ぼす影響についても、CMの炎上例などを挙げて分かりやすく解説した。いまだ残る「子育ては女性の役割」というステレオタイプ的な考えが、「女性は子育てするようになると大変になる」という女性側に偏った見方や、「女性は登用しない」という差別につながると指摘。女性の管理職がステレオタイプの脅威の中で力を発揮していくためには、組織や周囲の人間が十分に寄り添っていくことが必要だと述べた。また、男性側にも「男らしさ」のステレオタイプという苦悩があることも指摘。「アンコンシャスバイアスがなくなることはない。自分が持っているアンコンシャスバイアスに気付き、差別行動につなげないよう行動変容をしていくことが大切だ」と呼び掛けた。
「女性の活躍は、同質的な風土を変える起爆剤として必要であり、“管理職人材”としてではなく、“変革人材”として女性の存在が求められている」と白河氏。そして、「これからは男性がどう変わるかがポイントになってくる。男性の育休取得率が上がる中、どう子育てしながら仕事をしていくかという悩みに、男性も直面していく。その点で経験値のある女性がぜひサポートしてあげてほしい」と、男女双方の立場にエールを送った。
■「ありたい姿」のために企業・個人で何ができる? 「フューチャーセッション」で意見交換
グループワークは、株式会社フューチャーセッションズ(東京)が提唱する「フューチャーセッション」の形式で進行した。「望む未来に向けて、今取るべき行動についてアイデアを出し合って共創していく」というスタイル。参加者たちは4~5人のグループに分かれ、「ありたい姿(フューチャー)のために企業ができるアイデア」を議論した。約15分ごとの議論の後にメンバー入れ替えを繰り返し、より多くの参加者と対話する形式を取った。
「アンコンシャスバイアス」が話題の中心となったグループの女性は、子どものいる女性について親切心から、「子どもがいるから早く帰りたいだろう」「仕事を多く頼んだらかわいそうだ」という男性がいるとし、「男女にかかわらず1人1人がどういう将来を描いているか管理職がしっかり聞いてあげないと、その人にとっての最適な形は見つからない」と指摘した。他の男性は、「“3割”という数字は大切だが、数合わせになってしまってはよくない。その人がどのような目的をもって仕事に取り組んでいるかも考えなければいけないと思う」と話した。
多様な人材を採用する難しさも話題に上がった。若い世代の離職率が高い昨今、「年齢の壁をなくして長く働きたい人材を求めることで、相性の良い人材と出会えている」という事例も報告された。
■「対話」から現状を変える 各自が取り組みたいことを「アクション宣言」
グループワーク終了後、参加者全員が、議論を通して自分が組織で取り組みたいと思ったことを「アクション宣言」としてA4サイズの紙にマジックで書き出した。「1人1人に寄り添い柔軟な考えを持つ」「身近な人との対話を通して社会を変える」「若手として意見を求められることが多いので、主体的に発言して私たちの意見から会社を変えていきたい」などの宣言を、各自が書き出した。特に、今すぐに取り組めることとして、多くの参加者が「対話」を挙げていた。「多様性を目指すには、その手前に解決しなければいけないことがたくさんある。大企業と中小企業とでも、スタートからアクションプランが違う。そこからしっかり議論を進めていきたい」という意見も出た。
グループ内のやり取りを見守っていた白河氏は最後に、男性の育休取得の扱いの難しさに触れた。「取得期間については、家庭内での話し合いの中で“平等”を考えればよいこと」と指摘。3歳未満の子がいる男性の1カ月以上の育児休業取得率100%に取り組むある企業の事例をあげ、家庭内でのミーティングシート、職場での引き継ぎシートが導入されてうまく回り、育休取得者本人・家族・会社の全てに良い循環をもたらしている、と紹介した。そして改めて、「子育てと仕事の間で悩む男性を、女性がサポートしていってあげてほしい」と呼び掛けた。また、「今日できたつながりも生かして、社会を変えていってほしい」とした。
■協賛企業:旭化成ホームズ 他
■参加社/旭化成ホームズ、アプリシエイト、With us、エイブル、群馬日野自動車、ササキ、染めQ テクノロジィ、太陽誘電、大同生命、第一三共ヘルスケア、デジタルベリー、栃木トヨタ自動車、日本パレットレンタル、ハッピースマイル、パラマウントベッド、ファイザー、ファイザーR&D、ベネクス、ホンダテクノフォート、松井製作所、マルゲン、ミライロ、ムロコーポレーション
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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