【3月値上げ】PC買い替え検討中の人は要注意、主要5社が軒並み15〜20%引き上げへ
イチオシスト

そろそろPC買い替えようかな──その判断が、急に難しくなった
「Windows 10のサポートが終わるし、そろそろ新しいPCを買わないと」。そう思いながらも先延ばしにしていた方、多いのではないでしょうか。実は今、その”先延ばし”のツケが、想像以上に大きくなりつつあります。
世界最大のPCメーカー・Lenovoが、2026年3月から商用PC・タブレット・スマートフォンの値上げを正式に発表しました。しかもこの値上げ、わずか3ヶ月前に「2026年末まで在庫は十分にある」と胸を張っていた直後の方針転換です。いったい何が起きているのか、そして私たちの「PC買い替え計画」にどう影響するのか。順を追って解説します。
Lenovoが販売パートナーに送った”最後通牒”の中身
事の発端は、Lenovoの北米チャネル統括責任者ウェイド・マクファーランド氏が2月2日付で販売パートナー企業に送った書簡です。米メディアCRNが独占入手したこの書簡によると、Lenovoの商用PC・タブレット・スマートフォンを扱うIDG部門の「特定の製品と構成」について、3月初旬に価格改定を行うとのこと。
パートナーへの要請はシンプルかつ強烈でした。「2月25日までにディストリビューターへ注文し、2月28日までにLenovoに届くように」。この期限を守れば現行価格が適用される「可能性が高い」──つまり、確約ですらありません。
さらに厄介な条件があります。仮に2月28日までに注文が受理されても、3月31日までに出荷されなければ値上げ後の価格が適用されるのです。匿名のパートナー企業CEOはこう語っています。「本当にその商品が欲しいなら、もっと払えということだ」。
サーバー部門はもっと厳しい
企業向けサーバーやストレージを扱うISG部門では、見積もりの有効期限が内部入札で14日、外部入札で30日に短縮。新規顧客向けのボーナスプログラム「Mission Acquisition」も1月末から一時停止されています。Lenovoの北米プレジデント、ライアン・マカーディ氏もCRNの取材に「価格を調整し続けなければならない。避けようがない」と認めました。
“3ヶ月前の約束”はなぜ崩れたのか
ここが今回の話の核心です。2025年11月、LenovoのCFOウィンストン・チェン氏はBloomberg TVで堂々と宣言しました。メモリなどの重要部品を通常より約50%多く備蓄しており、「2026年を通じて十分に持つ」と。他メーカーよりもメモリ不足に強い自信すら見せていました。
2026年2月:CEOが値上げを認める
ところが2026年2月12日、今度はCEO自らがメモリコスト高騰の相殺のために値上げを実施したと認めています。わずか3ヶ月での方針転換です。
では、本当に在庫を使い切ったのでしょうか? 答えはおそらく「ノー」です。今年販売予定のPCの大半はまだ製造すらされていません。より現実的な見方は2つあります。
1つは、事前に安く調達した部品が底をつき、今後の調達は高騰した市場価格に頼らざるを得なくなったこと。もう1つは、業界全体が値上げに動く中で、Lenovoだけが安い価格を維持するインセンティブがなくなったこと。備蓄の優位性を「消費者への還元」ではなく「利益率の向上」に使う──経営判断としては合理的ですが、「消費者のために備蓄している」という3ヶ月前のメッセージとは明らかに矛盾しています。
根本原因:AIがPCのメモリを”食べている”
Lenovoだけの問題ではありません。この値上げの背景には、メモリ市場全体の歴史的な価格高騰があります。
調査会社TrendForceが2月に発表した2026年第1四半期のDRAM契約価格見通しは衝撃的でした。PC向けDRAMの価格が前四半期比で100%超、つまりわずか3ヶ月で2倍以上になるという予測です。ストレージに使われるNAND Flashも55〜60%の上昇が見込まれています。
なぜこれほどメモリが高くなったのか
原因はシンプルです。AI向けのメモリ需要が爆発的に拡大し、PC向けの供給が圧迫されています。
2026年、データセンターは世界のメモリチップ生産量の約70%を消費すると見られています。Samsung、SK Hynix、Micronのメモリ大手3社は、利益率の高いAI向けHBM(広帯域メモリ)やサーバー向けDRAMの生産を優先し、PC・スマートフォン向けの供給を絞っています。
わかりやすく言えば、AI用GPUに搭載されるメモリが1ギガバイト増えるたびに、誰かのノートPCに載るはずだったメモリが消えている──そういう構図です。HBMはDDR5と比べて約3倍のウェハー面積を使うため、AI需要の拡大がPC向けメモリの供給に与えるダメージは想像以上に大きいのです。
他メーカーも軒並み値上げ──「逃げ場」はあるか
Dell、HP、Acer、ASUSも15〜20%の値上げへ
Lenovoだけでなく、主要メーカーが軒並み値上げを実施・示唆しています。DellのCOOは「メモリコストがこれほど急速に上昇するのを見たことがない」と認め、HPのCEOはメモリだけでPC製造コストの15〜18%を占めるようになったと明かしました。これは1年前の約2倍の比率です。
TrendForceは2026年のノートPC出荷予測を、当初の前年比1.7%増から2.4%減に下方修正しました。Windows 10サポート終了による買い替え需要と価格高騰が正面からぶつかり、「買い替えたいけど高くて手が出ない」という消費者が増えることが予想されています。
ちなみに、Raspberry Pi(あの数千円の小型コンピュータ)ですら2月に値上げを発表しました。メモリを搭載するデバイスである限り、この波からは逃れられません。
この状況、いつまで続くのか
メモリメーカー3社は新工場の建設を進めていますが、稼働は早くても2028年以降。SK Hynixは供給不足が2027年後半まで続くとの見通しを示しています。価格のピークは2026年後半と見られていますが、そこから”以前の水準”に戻るまでには数年かかるでしょう。
今、PCを買うべきか? 待つべきか?
率直にお伝えします。「今が底値」であることはほぼ確実です。3月以降、PCの実売価格はさらに上がる可能性が高い。とはいえ、「高くなるから急いで買え」という焦りに飲まれるのは危険です。
買い時の人: 今のPCがWindows 10で、業務や学業に支障が出始めている方。3月の値上げ前に主要メーカーの直販サイトをチェックする価値はあります。特にメモリ16GB・SSD搭載のスタンダードモデルは、値上げの影響を受けやすい価格帯です。
待ってもいい人: 現在のPCがWindows 11対応で、まだ快適に使えている方。無理に買い替える必要はありません。2026年後半にメモリ価格がピークを迎えた後、緩やかに落ち着く可能性もあります。
最も大事なのは、「今買わなければもっと高くなる」という焦燥感そのものが、メーカーにとって最も都合のいい消費行動を引き出すトリガーだということです。自分の使用状況を冷静に見つめ、必要なスペックを絞り込んだうえで判断してください。値上げの嵐の中でも、「自分に必要な一台を、納得して選ぶ」──その姿勢が、結局は最もお得な買い方になるはずです。
出典:【CRN News】
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記事提供元:スマホライフPLUS
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