雪山ガチ検証!finetrack新作ハードシェルでみつけた“最初の一着”の答え
finetrackの新作ハードシェル「エバーブレスプリモ」を実地レビュー。スノーハイクから中級山岳を想定した性能や着心地、防水性・透湿性、使い勝手を検証し、雪山デビューの理想的な一着を詳しく解説します。
The post 雪山ガチ検証!finetrack新作ハードシェルでみつけた“最初の一着”の答え first appeared on 登山メディアYAMA HACK(ヤマハック)|山の“知りたい“がここにある.
イチオシスト
出典表記のない画像はすべて筆者撮影
雪山デビューで悩みがちな“シェル選び”

今年こそ雪山デビューを叶えたい──。
そう考えたとき、多くの人が立ち止まりやすいのが“装備選び”ではないでしょうか。なかでも、雪山の厳しい環境から身を守るハードシェルは欠かせない存在ですが、性能を追い求めるほど価格も大きく跳ね上がります。

一方で、「スノーハイクが中心」 「3,000m級の稜線を想定したフルスペックモデルまでは必要ない」と感じている人も多いはず。それでも、安心できる防風・防水性や耐久性など、押さえるべき機能性は必ず備えておきたいものでもあります。
この冬、finetrackが提案する「エバーブレスプリモ」は、スノーハイクから中級山岳域の雪山で求められる確かな機能を備えつつ、手が届く価格帯に抑えられた一着。性能と価格の両面で、ハードシェル選びの悩みを解決してくれる存在です。
必要な性能だけを選び取った、“ちょうどいい”設計

エバーブレスプリモは、近年増えている「もっと気軽に雪山を楽しみたい」という登山者の声を起点に開発されました。過剰なスペックを付与するのではなく、低山から北八ヶ岳や谷川岳、安達太良山といった標高2,000m程度の雪山で必要な性能を見極め、機能を取捨選択。
防水透湿性や防風性、雪山での操作性など、安全に直結する要素はしっかり確保しつつ、実用性を重視したシンプルな設計にまとめられています。
しなやかさと高い防水透湿性が魅力のオリジナル素材

採用生地は、finetrack独自の防水透湿素材「EVER BREATH(エバーブレス)」。高い防水性と透湿性を両立しながら、ハードシェルとしては珍しい、しなやかさとストレッチ性を備えているのが大きな特徴です。

提供:finetrack
エバーブレスは、メンブレンの両面に生地を配した3レイヤー構造を採用しています。この構造によって、山岳での使用に求められる強度と耐久性を確保。さらに、表地と裏地の素材や厚みを用途に応じて最適化することで、季節やアクティビティに適した性能バランスを実現しています。
ー ライター 橋爪 ー
確かなスペックを備えた高機能素材です!
ただ、気になるのは新作のプリモが「どんな特徴があって、どんなシーンで使いやすいのか」というところ。
それを確かめるべく、実際に雪のフィールドで試してきました。
「必要十分」という安心。堅実で信頼できるウィンターシェル

今回、テストをおこなったのは12月下旬の北八ヶ岳。歩いてみて感じたのは、堅実な仕上がりと扱いやすさを兼ね備えた、“雪山を存分に遊べるシェル”だということです。
軽やかな着心地で行動を支えながら、風雪にさらされる場面ではきちんと身体を保護。そのバランスが心地よく山にマッチし、装備に振り回されることなく雪山を楽しめました。雪山エントリーから中級者まで、安心感を持って使い込める一着だと思います。
「エバーブレスプリモ」はこんな人におすすめ!
・これから雪山に挑戦したい、または雪山を始めたばかりの人
・スノーハイクや森林限界を超えない雪山登山を中心に考えている人
・ハードシェルに動きやすさや軽快な着心地を求めたい人
・過剰なスペックではなく、安心できる性能を現実的な価格で選びたい人
ー ライター 橋爪 ー
突出した機能で主張するタイプではありませんが、必要な場面で確実に役割を果たしてくれます。
着続けられるハードシェル

ジャケットは「ヨコ127%」のストレッチを採用。身体の動きにも柔軟に対応します。
まず印象に残ったのが、ストレスを感じさせない着心地と動きやすさです。筆者自身、雪山へ出かける機会は多いものの、一般的なハードシェルに見られるストレッチ性の乏しさや、厚くガサついた着心地がどうも煩わしく、「必要な場面だけで着用する」のが基本スタンスでした。
しかしエバーブレスプリモは、ストレッチ性を備えたしなやかな生地と肩や脇下などに施されたパターン設計により、ハードシェルの着心地が苦手な人でも苦なく着用し続けられます。また腕を大きく上げる動作でも突っ張りがなく、岩場や段差のある場面でも自然な動きを妨げません。

パンツは「ヨコ121%」 「タテ112%」のストレッチを備えています。
そして、パンツも十分なストレッチ性を備え、大きな段差を越える場面や足を高く上げる動作でも窮屈さは感じられません。上下ともに、雪山で行動をしっかりと支える自然な動きが高ポイントでした。
ー ライター 橋爪 ー
身長169cm、体重60kgの体型で、ジャケットはMサイズ、パンツはシルエットをすっきり見せたかったためSサイズを選択。ジャケットはほどよいゆとりがあり、パンツは厚手のインナーを着ていた分もあり、ややタイトな印象でした。
シェルの機能を最大限に発揮するためにも、キツすぎずゆったりすぎずのサイズ感が重要なので、一度試着してみるのがおすすめです!
過酷な環境でも必要十分な安心感がある

そして、雪山で重要となる防水性や防風性についても、“エントリー向け”という言葉から想像する以上に余裕を感じさせる性能でした。
長時間行動でも頼れる防水性能

雪の吹き上げや湿った雪が当たる場面でも、生地が水分を受け止め、内部まで染み込む感覚はありません。撥水加工が施された表地は気持ちいいくらいに水滴を弾き、長時間の行動でもシェルはドライな状態が保たれていました。
強風下でも風をしっかりシャットアウト

ジャケット20デニール、パンツ50デニールの表地構成で、ライトモデルながらも十分な生地厚が確保されています。風速10m/s程度の環境でも、冷気がシェルを通して衣服内に入り込む感覚はなく、冬の強風下であっても、身体を守る壁になってくれるでしょう。
軽量コンパクトで携行性も良し

メンズモデルの重量がジャケット約400g、パンツ約445gと、雪山用シェルとしてはかなり軽量な部類です。収納時も過度に嵩張ることはなく、比較的コンパクトにまとめやすい印象。使用しない際にバックパックへ入れても、スペースを大きく圧迫しにくいと感じました。
ー ライター 橋爪 ー
冬季の雪山だけでなく、初冬や残雪期の山でも使いたいですね!
激しい運動でも蒸れにくく、着こなしやすさも魅力!

行動中も衣類内が蒸れにくく、着用したまま歩き続けることができました。急登で発汗量が増えた場面や、樹林帯で体温が上がったときでもムレは抑えられており、透湿性は安定して機能。一般的な厚手のハードシェルと比べて、汗は抜けやすい印象を持ちました。

またベースレイヤーやミッドレイヤーを調整することで、朝夕の冷え込みと日中の気温上昇といった気温差の大きい日にも対応しやすく、状況に応じた着こなしがしやすい点も魅力です。
長時間の山行でも着心地が大きく損なわれることはなく、全体を通して安定した快適さが続いていました。
快適さをプラスする「リンクベント」

行動中の熱気も、ファスナーを開けることでスーッと逃すことができました!
ジャケット、パンツともにfinetrack独自の換気システム「リンクベント」を備えています。同社のミッドレイヤーやミッドシェルと同じ位置に開放口が設けられているため、連動して解放することで下層のレイヤーまで効率よく換気をおこなうことが可能です。
ジャケットは、胸に近い位置に配置されており、行動中でも手が届きやすく、バックパックやハーネスと干渉しにくい点が特徴。歩行中でも開け閉めしやすく、細かな温度調整がおこなえました。
パンツは、裾口から太もも付近まで大きく開くダブルファスナー仕様のベンチレーションを両サイドに配置しています。フルオープンにはなりませんが、十分すぎる開放量があり、行動中のムレ軽減にしっかりと貢献してくれます。
ー ライター 橋爪 ー
エントリー向けハードシェルはベンチレーションが省かれるモデルもありますが、プリモは換気機能を備え、快適性がよく考えられています。
ハードシェルは雨雪の有無に関わらず着る場面が多く、雪山では行動中に思っている以上に汗をかくため、ベンチレーションが活躍する場面も多いでしょう。
グローブ装着でも扱いやすい!雪山想定の細やかな作り込み

こうした機能面に加え、雪山での使用を想定した細部の作り込みも印象的でした。実際の行動を踏まえた設計で、実用性の高さが随所に感じられます。
凍りにくいフロントファスナー

フロントファスナーには凍りにくいビスロンファスナーを採用。雪山で起こりがちな凍結による開閉トラブルを抑える配慮がされています。ダブルスライダー仕様のため、下側を開けてベンチレーションとして使える点も実用的です。
持ちやすい大きなタブのファスナー

ファスナーまわりの使いやすさも印象的でした。フロントのメインファスナーとリンクベントには、グローブを着けたままでも掴みやすい大きさのファスナータブが採用されています。
あえてフロントポケットには通常のファスナータブを使用することで、大きさの異なるタブが並び、視認せずとも手の感覚だけでどのファスナーかを判別しやすいようになっています。
行動中に頻繁に操作するベンチレーションやメインの開閉を大きなタブに集約している点は、雪山での実用性をよく考えた工夫だと感じました。
絶妙なサイズ感のヘルメット対応フード

フードの使い勝手は、雪山での快適性を左右する重要な要素です。フードはヘルメット着用を想定した設計で、後頭部のアジャスターと、左右の首元に配置されたドローコードによって顔回り、頭囲、かぶりの深さを自在に調整可能。
前頭部にはツバが設けられており、形状を安定させつつ、行動中の視界を妨げにくい作りです。実際のフィールドでも、素早く必要に応じたフィッティングができました。
ー ライター 橋爪 ー
ヘルメット対応フードは、通常使用時にもたつきが出やすいケースが多いものですが、プリモのフードは、ヘルメット着用時・非着用時のどちらでもフィット感が崩れにくい印象。
用途を切り替えても違和感なく使える絶妙なサイズ感がいいですね!
高く設計された襟のデザインもいい!

あわせて、襟は口元まで覆える高い設計がされており、風や雪にさらされやすい顔まわりを的確に保護してくれます。内側には肌触りの良いニット生地が使われているため、ファスナーを上まで閉めた状態でも冷たさや不快感はありませんでした。
大容量のポケット

ジャケットのポケットは胸の左右2箇所に配置。ポケットの底から上まではおよそ30センチほどの長さがある大容量設計で、グローブやニット帽など嵩張りやすい装備も無理なく収納可能です。

パンツは左右のファスナー付きハンドポケットに加え、膝に小物収納用のポケットを配置。この膝ポケットがなかなか秀逸で、行動中に素早く出し入れしたい場面でサッと手が届く位置にあり、例えば地図やコンパスなどを入れておくなど、実用的な設計だと感じました。
ー ライター 橋爪 ー
ジャケット・パンツともにシンプルな設計ながら、不足を感じさせない収納性です!
ニットグローブが貼り付きにくい袖口

袖口はベルクロ式を採用しています。調整方法自体は一般的ですが、ニット系のグローブが触れても貼り付きにくいベルクロ素材が使用され、操作時のストレスが少ない点が印象的でした。固定力は十分にあり、細かな部分ながらも嬉しいポイントです。
アイゼンガードと絞り調整できる裾口

パンツの裾内側には丈夫なアイゼンガードを配置。ハードシェルパンツによくあるインナーゲイターは備わっていませんが、裾のアジャスターを調整することで裾のフィット感を調整可能です。
ー ライター 橋爪 ー
全体がスッキリとしたシルエットになっており、足運びがよくモタつきが抑えられている点がとても使いやすかったです。
フィールドが変われば正解も変わる。プリモとアクロの選び分け

ここまで完成度の高い機能を見てきて、「これなら、もっとハードな雪山でもいけるのでは?」と思った方もいるかもしれません。実際、筆者自身もフィールドで使うなかで、エントリー向けという位置づけ以上の頼もしさを感じたのは事実です。
ただし、厳冬期の3,000m級稜線は失敗が許されないフィールド。猛烈な風や地吹雪、急変する天候のなかでは、濡れや冷えがそのままリスクに直結します。さらにアルパイン要素が強くなれば、岩や氷との擦れ、ギアとの接触など、ウェアにはよりタフさも求められます。
こうした観点からフルスペックモデルの「エバーブレスアクロ」を見ると、より高い強度を備えていることがわかります。加えてアクロは、プリモを超える高次元の伸縮性や口元のベンチレーターなど、稜線上の行動で効いてくる機能も実装。
だからこそ、3,000m級や登攀要素を含む山行ではアクロがより確実な選択と言えるでしょう。一方でプリモは、軽快さと快適性を武器に、中級山岳域でこそ真価を発揮するモデルです。
ー ライター 橋爪 ー
言い換えれば、雪山エントリーであっても、「いずれは3,000m級の雪山へ!」と考えている人は、アクロを選ぶのもひとつの手でしょう。
注意!雪山でやってしまいがちなギア接触トラブル

最後に、ピッケルやアイゼンとシェルの接触には注意しましょう。雪山ギアは刃が鋭く、ふとした拍子に当たりやすいものです。特に雪山の歩行に慣れないうちは動きもぎこちなく、アイゼンでパンツを「ビリッ」と裂いてしまうことも珍しくありません。
対策のひとつとして、アルパインゲイターを一緒に使うのもおすすめです。破れを防止してくれるだけでなく、雪の侵入を抑えてくれます。
ー ライター 橋爪 ー
「アイゼンガードがあれば安心」と思いがちですが、保護されていない部分を知らないうちに傷めてしまうこともよくあります。
高価なアイテムだからこそ、できるだけ長く使い続けたいですね!
エバーブレスプリモで雪山を遊ぼう!

「スノーハイクから中級山岳まで」に焦点を当て、機能を取捨選択したエバーブレスプリモ。過不足のない性能を備えつつ、雪山に不慣れなユーザーにも扱いやすく配慮された設計が印象的でした。
これから雪山に挑戦したい人や、ライトな雪山を楽しみたい人にとって、現実的で検討しやすいハードシェルと言えます。操作や調整機構も直感的で、戸惑いにくい点は大きな利点。雪山エントリーの一着としても、間違いなくおすすめできるモデルです!
エバーブレスプリモジャケット
エバーブレスプリモジャケット(メンズ)finetrack

エバーブレスプリモジャケット(ウィメンズ)finetrack

エバーブレスプリモパンツ
エバーブレスプリモパンツ(メンズ)finetrack

エバーブレスプリモパンツ(ウィメンズ)finetrack

エバーブレスアクロ
フルスペックモデルはこちら。
エバーブレスアクロジャケット(メンズ)finetrack
エバーブレスアクロジャケット(ウィメンズ)finetrack
エバーブレスアクロパンツ(メンズ)finetrack

エバーブレスアクロパンツ(ウィメンズ)finetrack

関連記事:初めてのハードシェル選び!雪山初心者におすすめの9モデル
関連記事:ウールにさようなら!?ファイントラック史上「最強保温&速乾」ベースレイヤーが雪山の常識を変える
関連記事:わずか140gの安心。finetrackのオールシーズン対応「お守りシェル」の実力とは
記事提供元:YAMA HACK
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
