世界最大級の巨大ターミナルへ【2030年代の成田空港】3ターミナル集約の「ワンターミナル」構想と「新駅誕生」で第2の開港へ!
イチオシスト

開港から約半世紀。日本の空の表玄関・成田国際空港がいま、過去最大の転換期を迎えています。老朽化した施設の再編と、分散した3つのターミナルの集約。世界最高水準の利便性を目指す「ワンターミナル」構想が動き出しました。2028年度末の滑走路の増強を皮切りに、2030年代前半の「新駅」供用と既存駅の閉鎖、新巨大ターミナルの段階的な運用など、私たちの空の旅を劇的に変える、成田空港「第2の開港」プロジェクトが進行しています。
この記事では、有識者や国県市町の委員で構成される『新しい成田空港』構想検討会や、国土交通省による中間とりまとめ資料を元に、2026年初頭時点の新しい成田空港の情報を徹底解説します。
3つのターミナルが集約!「ワンターミナル」へ!
現在、成田国際空港は、2本の滑走路(4,000m・2,500m)と、3つの旅客ターミナルがあり、年間発着容量約34万回、合計処理能力5,700万人(1日平均15.6万人)を有しています。現在は、B滑走路の2,500mから3,500mへの延長と、新しい3,500mのC滑走路の整備を行うなど、2028年度末目途で年間発着容量が約50万回になる増強が行われています。

現在の旅客ターミナルは、第1〜第3と3つの旅客ターミナルが分散していますが、これらを集約した大きな「集約型ワンターミナル」の整備を目指しています。

デザインは「ロングピア型」がベースに
新しいターミナルの形状は、様々な形の利点や欠点を検討した結果、コンコースを長く伸ばす「ロングピア型」が歩行のわかりやすさや航空機の走行性の面などで優位と評価されました。
今後は、「ロングピア型」をベースケースとして、空港内の さらに深く検討が進むことになります。

なぜワンターミナルなの?
検討の結果、以下のような利点から、ワンターミナルが選択されました。
・わかりやすさ :ワンターミナルにるすことで全ての手続きが1つの建物で完結するため、お客様にとってシンプルで迷わない構造になります。
・スムーズな乗り継ぎ : 現在は、ターミナル1からターミナル2や3など他のターミナルへ乗り換える場合には移動が大変ですが、国際線・国内線の乗り継ぎが同一建物内で完結し、ハブ空港としての機能が飛躍的に向上します。
・効率的な運営 : 空港スタッフやリソースを集約することで、高効率な運用が可能になります。
集約型ワンターミナルには、広い内部空間が広がる
新しいターミナルの建物の規模は、延べ面積約95万〜115万㎡、固定ゲート数は約100ゲートという世界最大級のスケールで、年間発着容量50万回化を見据え、年間旅客数7,500万人を扱えると想定しています。内部は、光や自然の空気を取り入れ、環境に配慮した開放的な内部空間が広がります。
利用者視点に立った、利便性・快適性、体験価値向上の追求が行われ、最先端技術の導入で効率的なスペース確保が図られるといいます。必要最新の「ファストトラベル」技術を導入し、自動チェックイン機や自動手荷物預け機、高度な保安検査を導入することで、待ち時間を最小限に抑えます。

「保安検査後」の体験が劇的に変わる
これまでの成田空港は、計画当時、団体旅行をはじめ遠方から早めに来港する旅客やお見送り客の利用などチェックイン前の「一般区域」が広い構造でしたが、新ターミナルでは、近年整備されている海外空港の傾向に合わせ「制限区域(保安検査後のエリア)」の大幅な拡大を目指す想定です。これにより、保安検査後のエリアが狭くて時間が潰せないといったことが悩みの解消が期待されます。

空港アクセスのボトルネック解消と「30分圏内」への挑戦
成田空港への交通アクセス手段の割合は、鉄道が56%、バスが24%となっており、鉄道及びバスという公共交通機関の利用が約80%を占めています。現在の成田空港への鉄道アクセスは、JR東日本と京成電鉄の2社が担っています。

国土交通省のアクセスの需要予測によると、京成スカイライナー及び成田エキスプレス(NEX)は、2030年代前半にはピーク時混雑率が100%を超え、京成スカイライナーは2040年代前半にピーク時混雑率が150%を超えるとされて、アクセス特急や京成本線も2030年代半ばには混雑率が150%を超えると予測されています。
しかし、現在の成田空港への鉄道アクセスには、いくつかのボトルネックが存在します。それが、成田空港外の一部区間(約9km)の単線での運用などです。この区間は、JRと京成が並走している区間で、元々は東京駅と成田空港駅を結ぶ「成田新幹線」の建設が進められました。1974年に着工しましたが、建設反対運動があり計画は中止されました。
1991年にこの区間を活用して、JRが単線で開業。2010年には、京成電鉄が北総鉄道北総線を東に延伸する形で成田スカイアクセス線を整備し、JR線路の隣の空きスペースに、京成の単線の線路が敷かれることになりました。JRと京成では線路の幅(軌間)が異なるため、同じ線路を共用しての複線化はできませんでした。

今後は、新幹線・リニア駅や羽田空港といった地方への送客拠点や、成田空港利用旅客の多くが第一訪問先としている「東京都心」へのアクセスを強化し、速達性・利便性を向上するために、以下のような事項を検討しながら新しい空港路線・駅の整備を行う方針です。
・単線区間の解消:空港から土屋までの約9kmの区間は現在、JRと京成が1線ずつ使用する単線となっており、列車の増発に限界があります。構想では、この区間の複線化を含めた検討が進められます。
・混雑緩和と輸送力増強: 2030年代半ばには、鉄道利用者が現在の約1.6倍(約4,770万人/年)に増加すると予測されています。対策を講じない場合には、2030年代前半にはスカイライナーや成田エクスプレスの混雑率が100%を超え、乗車できないケースが出てくる恐れがあるため、増発や車両の長編成化が検討されています。
・新駅の整備:現在の構想になるような集約ワンターミナルの整備をする場合には、旅客ターミナルに直結した利便性の高い「新駅」の設置が計画されています。
これらを推進することで、乗車時間や乗り継ぎ回数を少なくして利便性の向上を狙います。
空港内道路のアクセシビリティ強化
また、道路でのアクセスに関しては、現在は旅客や貨物、従業員動線が混在して分岐が多くて判りにくい道路を再整備することで、ゲートからターミナルへのアクセスなどを改善する方針です。

新貨物地区の整備も!空港内の新交通システムも選定中
国際線の貨物に関しては、成田空港の現状の貨物取扱能力が年間で約240万トンなのに対し、発着回数が50万回に達した際には貨物量は300万トンが見込まれるとしています。そのため、新たな貨物施設整備などが必要とされており、現在は空港内で分散している貨物地区などを、新旅客ターミナルの北側の地域に集約する構想となっています。
また、新貨物地区と旅客ターミナルを結ぶ貨物・従業員などの新しい交通システムとして、空港周辺とターミナルを結ぶアクセスなど、複数の輸送ニーズに応じた新たなモビリティの検討が進められているようで、自走式ロープウェイのZipparやモノレール、次世代型路面電車(LRT)などが候補とされてていると報道されています。
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新ターミナルは、2030年代前半のステップ1オープンを目指す
計画されている新ターミナルは、現在の第2ターミナルの南側付近に建設されます 。空港の運用を続けながら段階的に整備を進めるという計画になっています。
・2028年度末時点
B滑走路の延伸(2500m→3500m)とC滑走路(3500m)の新設が完了し、年間発着容量が50万回に拡大。
東西誘導路を南側へ盛替え、T2(ターミナル2)南側エリアで新ターミナルの東側半分及び新駅等整備着手。(下図の中央がターミナル2)
・ステップ1(2030年代前半頃)
新ターミナルの半分と「新駅」が供用開始。新ターミナルとT2・T3(図の中央左の建物)を暫定的なコンコースで接続して、一部を一体的運用。現在の第1ターミナル駅は閉鎖されます (下図の下部建物が第1ターミナル)。

・ステップ2と3(最終段階)
増床をしながら、新ターミナルに全ての機能を段階的に移していきます。経営状況などに応じてT1跡地へのコンコース増築を行っていきます。

新ターミナルの運用に関してしては、このように、既存ターミナル運用を継続しながら、段階的に集約を進めるという手順が示されており、源氏の想定では下記のようなスケジュールがイメージされています。

一つの大きな建物に全ての機能が集まることで、迷うことなくスムーズに旅立てるようになる新しい成田空港。
単なる巨大化ではなく、最新技術と日本らしいおもてなしが融合した、世界に誇れる玄関口への進化に期待が高まります。2030年代、私たちが目にする成田の景色は、今とは全く別のものになっていのでしょうか。
(画像:成田国際空港株式会社、「新しい成田空港構想検討会」資料、国土交通省)
鎌田啓吾
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)
記事提供元:旅とおでかけ 鉄道チャンネル
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