予約殺到の噂の新型を公道試乗! ホンダCB1000Fがバイクファンを熱狂させる理由
イチオシスト

ホンダCBシリーズの頂点を極めるのが新型CB1000F。その真価を青木氏が公道で検証。操縦性、走りの本質にガッチリ迫った
ホンダ渾身のニューモデル、CB1000Fがついに登場した! 発売前からファンの熱視線を集めていたこの一台は、大型バイク市場の覇権を狙う激熱モデル。伝統と革新を融合させたホンダの最新作、その真価はいかに!? モーターサイクルジャーナリスト・青木タカオ氏が、あらゆるシーンでの試乗と開発陣への徹底取材でその全貌を解き明かす!
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【ホンダの新型が王者カワサキに挑む!】青木 11月14日、ホンダが激熱マシンを発売しました!
――どんなバイク?
青木 ホンダ・ネイキッド(カウルを装備していないモデル)の〝顔〟であるCBシリーズに、待望の新旗艦CB1000Fが登場しました。発売前からネットも販売店もお祭り騒ぎ。SNSなどには、「ついにキター!」「140万円切った価格は神すぎる」と歓喜の声が飛び交っています。

伝説のCB750Fをオマージュ。タンクからリアへ伸びる美しいラインに、直列4気筒エンジンの迫力が融合されている
――熱狂のワケは?
青木 CB1000Fのルーツは、1979年に登場し、80年代に大ヒットしたCB750F/900Fです。つまり、〝CB-F〟の名を世界に刻んだ名車の血統が復活したわけです。
特に、シルバーのロングタンクに青と黒のストライプは、当時の北米レースを席巻し、後の世界王者フレディ・スペンサーが操った〝あの色〟。ベテランライダーは歓喜の雄たけび、若いライダーは「新しい!」と食いつく。このデザインは完全に反則!

視認性抜群の5インチカラー液晶メーターを搭載。スマホとの連携も可能で、チョー便利

クルマなどの製造で余った樹脂を再利用し、リアフェンダーとシート底板に活用している
――気になる素性は?
青木 欧州で人気のCB1000ホーネットをベースに、レトロな丸目ヘッドライトと跳ね上げダックテールを融合。伝統と最新が巧みに共存する姿に生まれ変わりました。企画・生産はホンダ熊本製作所。CBシリーズの〝顔〟にふさわしい威風堂々の存在感に仕上がっています。
――なぜホンダはこのタイミングで新型を投入したの?
青木 長らく〝ホンダの横綱〟として君臨、白バイにも採用されてきたCB1300スーパーフォアが、来年導入される排ガス規制をクリアできず今年で生産終了。33年の歴史に幕を下ろしました。その後継として求められたのがCB1000F。後年振り返れば、CB史の大転換点と呼ばれるはず。
――ライバルは?
青木 はっきりしています。狙うはカワサキZ900RSただ一台! 何しろZ900RSは、大型二輪(401cc以上)クラスで6年連続トップを誇る怪物マシン。その牙城を崩すため、ホンダが送り込んだ刺客こそがCB1000Fです。
そもそも「CB対Z」は、日本バイク史に刻まれた名勝負数え唄の黄金カード。そのゴングが鳴り響いたわけです!
【〝心臓部〟には、スーパースポーツ】――そんなCB1000Fの売れ行きは?
青木 年間5000台の計画に対し、発売前から1600台超の予約が入るなど、売れるにおいプンプンです。
――価格はどんな感じ?
青木 スタンダードが139万7000円。カウル・クイックシフター・グリップヒーター付きのSEが159万5000円。発売は来年1月16日の予定ですが、すでにファンの間で話題沸騰となっています。
――販売店の声は?
青木 私の耳には、「140万円切りは強すぎる」「問い合わせが止まらない」「注文殺到」という声が届いています。まさにうれしい悲鳴といった感じですね。
――今回、公道テストもじっくりと行ないました。
青木 晴れ、雨、街中、峠、すべて走りましたね。操作性は自在で、エンジンは走っても飽きない深い味わい。サスペンションはしなやかで、濡れた路面でも裏切らない。特筆すべきはレインモード。滑っても瞬時にグリップが戻る〝魔法〟のような制御が光り、ツーリング派には頼もしい存在です。
――エンジンは?
青木 心臓部はホンダ自慢のスーパースポーツCBR1000RRの直列4気筒。高回転パワーを誇るユニットを、日本の道に合わせ低中回転域のトルクを強化しています。

ジャーナリスト向け試乗会で粘着取材を敢行した青木氏(写真左のバイク前席)。質問攻めにした開発責任者・原本貴之氏(同後席)をリアシートに乗せてパチリ
――それによる効果は?
青木 開発責任者の原本貴之氏に聞くと、独自の燃焼タイミングで鼓動感を演出。低回転ではドロドロと粘り、回せば官能的な直4サウンドが響く。さらに往年のキャブ車の味わいも再現。当時を知るライダーは感涙必至です。
――ほかにもこだわりが?
青木 着座位置を後方に下げ、駆動輪の蹴りをより感じられる設計に仕上げています。スペックだけでなく、ビッグバイクらしい〝気持ち良さ〟を追求したと開発陣は語っていましたね。
――最後に総評を!
青木 完成度は群を抜いています。ホンダCB史に、新たな章が刻まれました。
撮影/淵本智信
記事提供元:週プレNEWS
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