移籍や独立の制限で公取委がライバー事務所4社を注意 321.incは契約条項の撤廃を報告

イチオシスト
ライブ配信アプリ「Pococha」で活動するライバーが所属する事務所4社が、公正取引委員会から契約内容について注意を受けた件で、そのうちの一社である321.incが公式Xアカウントで声明を発表しました。注意を受けた事実と今後の対応方針を説明し、所属ライバーや関係者に対して謝罪しています。
ライバー事務所に公取委が注意
今回の発端は、公正取引委員会が12月9日付で公表した「ライバー事務所を運営する事業者に対する注意」です。ライブ配信プラットフォーム「Pococha」のライバーをマネジメントするAEGIS GROUP、Colors、321、WASABIの4社について、マネジメント契約終了後も一定期間、ライブ配信活動そのものや他事務所への移籍、自ら同種事業を営むことなどを禁じる条項を設けていたことが問題視されました。
公取委は、営業秘密の保護など合理的な必要性や手段の相当性が認められないにもかかわらず、退所後の活動を制限することはライバーの移籍や独立を牽制し、他のライバー事務所や新規参入事業者の取引機会を減少させるおそれがあると指摘しています。このため、独占禁止法に定める「拘束条件付取引」や「競争者に対する取引妨害」につながる恐れがある行為として4社に注意を行い、各社はいずれも指摘された行為を見直す意向を示したとされていました。
321.incが声明を発表
こうした中で、対象事務所の一つである321.incは、公式Xアカウントにて「公正取引委員会からの指摘に関するご報告」と題した投稿を行いました。
同社は、ライバーや関係者、ファンに対し「多大なるご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます」と謝罪。公取委の注意については、「人材育成や引き抜き防止の観点から、退所後一定期間の他事務所への移籍等を制限する条項を契約に設けておりました」と認めました。
一方で、実務上の運用としては、退所後にフリーライバーとして活動することは以前から制限しておらず、金銭的な請求も一切おこなっていないと強調。また、他事務所への移籍の場合も、ライバー本人の意思を尊重した柔軟な対応を取っていたと説明しました。
しかし、契約条項そのものがライバーの心理的な負担になっていたことを認め、早急な改善が必要であると判断したとのこと。問題の契約条項を削除したことを報告するとともに、過去・現在の所属ライバーについても、この条項が適用されない旨を通知したと伝えました。
同社は、「契約内容の透明化を一層進めるとともに、コンプライアンス遵守の徹底を図り、ライバーの皆様がより安心して活動できる環境づくりに邁進してまいります」と綴っています。
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【公正取引委員会からの指摘に関するご報告】
本日、公正取引委員会より受けた注意および当社の今後の対応についてご報告いたします。
所属ライバーの皆様、関係者の皆様に多大なるご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。… pic.twitter.com/iLeqPcL6kI
— 321.inc (@321_liver) December 9, 2025

記事提供元:YouTubeニュース | ユーチュラ
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