エミーラで峠を攻め、エレトレで家族を運ぶ 77年目のロータスが提案する「究極の2台持ち」は、我々の理想郷となるか
イチオシスト
電動化の波が押し寄せる中、ロータスは代官山で「過去」と「未来」を同時に提示した。77周年を迎えた英国の名門が、日本のエンスージアストだけに贈る特別な招待状とは。
代官山T-SITE。ここは早朝のコーヒーと難解な建築書、そして「洗練されたライフスタイル」を愛する人々が集う場所だ。普段なら、控えめな色のSUVやセダンが静かに通り過ぎるだけのこの場所に、英国ヘセルからやってきた極めて刺激的な色彩が持ち込まれた。
2025年11月、ロータスはブランド創立77周年を記念し、ここ代官山でポップアップイベントを開催している。
我々トップギア読者にとって、ロータスとは単なるメーカーではない。「軽さは敵ではない」と唱えたコーリン チャップマンの亡霊が、今もエンジニアの肩越しに囁き続ける、一種の宗教的なエンジニアリング集団だ。しかし今、その祭壇には二つの異なる供物が捧げられている。最後の内燃機関モデル『エミーラ』と、ブランドの未来を担うハイパー電気SUV『エレトレ』だ。
なぜ今、代官山なのか。そして、なぜロータスは日本をこれほどまでに優遇するのか。その答えを探るべく、我々は現地へ向かった。
________________________________________
今回の「LOTUS POP-UP WEEKEND」の目玉は、なんといってもブランド誕生77周年を記念した特別なキャンペーンと、その象徴となる展示車両だ。
会場には、鮮烈なボディカラーを纏った「エミーラ V6 ファーストエディション(15,730,000円)」と、圧倒的な存在感を放つ「エレトレ R(23,243,000円)」が鎮座している。多くの来場者が足を止め、その曲線美に見入っていた。
特筆すべきは、エミーラに施された「77周年記念デカール」だ。これはロータスのデザイン部門トップ、ベン ペイン氏が自らイメージしたもので、本来スパルタンなスポーツカーであるエミーラに、記念モデルらしい華やかさと特別感を与えている。
ロータスのHead of Operationsである寺嶋正一氏へのインタビューによれば、このキャンペーンは極めて日本市場向けの側面が強いという。「77周年記念キャンペーンは、基本的に日本でしか実施されていません。長い歴史の中でロータスを愛してくれた日本のファンへの感謝の表れです」と寺嶋氏は語る。
現在実施中のキャンペーン(12月末まで)では、対象の在庫車両(V6および2.0L直4ターボ)を購入したオーナーに対し、希望すればこの記念ラッピングを施すことができる。さらに、12月14日に富士スピードウェイで開催される「LOTUS 77TH ANNIVERSARY TRACK DAY」への招待枠も用意されているという。
寺嶋氏が語る戦略は興味深い。それは単にクルマを売るのではなく、「オーナーシップ(所有体験)を売る」という姿勢への転換だ。
「コロナ禍で薄れてしまった、オーナー同士の結びつきや体験型イベントを強化したい。エミーラを『最高の趣味の車』として楽しみ、家族との移動にはエレトレを使う。そんなガレージライフを提案しています」
実際、既存のロータスオーナーたちは、電動化されたエレトレに対しても「これもロータスの新しいカタチだ」と寛容であり、むしろ新しいテクノロジーへの好奇心を持って受け入れているという。価格面においても、アストンマーティンやマクラーレンといった競合他社と比較し、昨今の為替事情を鑑みれば「相当に競争力がある(つまり、バーゲンだ)」と自信をのぞかせる。
________________________________________
さて、ここからはトップギア的な結論といこう。我々は今、自動車史における特異点に立っている。ステアリングを握り、自らの手足でギアを選び、エンジンの鼓動を感じる「エミーラ」のような車は、絶滅危惧種だ。一方で、快適かつ爆発的な加速を見せる「エレトレ」のようなEVも、否定しがたい魅力を持っている。
ロータスが提案する「エミーラとエレトレの2台持ち」というライフスタイルは、確かに富裕層向けの夢物語に聞こえるかもしれない。しかし、それは理にかなっている。平日は電気の静寂で家族を守り、週末はガソリンの爆発で自らの魂を解放する。これは、現代における最も贅沢で、最も賢い「自動車趣味の最終形」ではないだろうか。
特にエミーラに関しては、現行車両がある今が、自分好みの仕様(V6か直4か、あるいは色か)を選べる最後のチャンスかもしれない。寺嶋氏の言葉を借りれば、日本のロータスオーナーは「懐が広い趣味人」だ。その一員になりたい人々が、代官山の蔦屋書店でコーヒーを飲む前に、まずはロータスのブースでアンケートに答えていた。それも、相当数の人々が。彼らは、運が良ければ、12月の富士スピードウェイで、77年の歴史が奏でるエキゾーストノートの一部になれるかもしれないのだから。
エミーラで峠を攻め、エレトレで家族を運ぶ 77年目のロータスが提案する「究極の2台持ち」は、我々の理想郷となるか
400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069
このクルマが気になった方へ
中古車相場をチェックする
![]()
ガリバーの中古車探しのエージェント
![]()
今の愛車の買取価格を調べる
カーセンサーで最大30社から一括査定
![]()
大手を含む100社以上の車買取業者から、最大10社に無料一括査定依頼
![]()
新車にリースで乗る
年間保険料を見積もる
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
