荒木優奈は変則プレーオフで涙の敗戦「あっさり終わりすぎた」 大会史上初のルーキーVならず
イチオシスト
<TOTOジャパンクラシック 最終日◇9日◇瀬田ゴルフコース北コース(滋賀県)◇6616ヤード・パー72>
いつもの笑顔で荒木優奈は初めてのプレーオフが始まるときを待っていた。パー5の18番を130ヤードのパー3に変更し、フェアウェイからティショットする変則方式。降りやまない雨の影響を極力減らし、雨のなか2時間も待ち続けたギャラリーのためにも、パー3とスタンドのある18番は切り離すことはできなかった。米ツアーの柔軟な発想。だが、特異な状況に飲み込まれたルーキーは、本来の力を発揮できなかった。
「悔しいというか、あっさり終わりすぎて何ともいえません。緊張しすぎて手の感覚がなかった。負けたことより、最後のパーパットを強く打てなかったのが悔しいです」
笑っていても、心臓はバクバクだった。首位タイから出た最終日は5番パー4をプレー中に、降雨によるコースコンディション不良で中断した。そのまま最終ラウンドの中止が決まり、3日目終了時点で首位に並んでいた畑岡奈紗とのプレーオフで通算2勝目を懸けて戦うことになった。中断からプレーオフまでに要した時間は3時間半以上。ツアー33試合目のルーキーは「時間の使い方が分からなかった」と心の体力も削られた。
ティショットは真っすぐピンに向かった。だが、グリーンをオーバーし、2打目はピンを2メートルほどオーバー。「ティショットはいい感じだった。どうしてあんなに飛んでしまったのかは分かりません」。最初に打ったパーパットは最後に左に切れた。畑岡が同じような距離のパーパットを決められての幕切れ。涙があふれた。
初めての米ツアーだった。勝てば、日本ツアーのルーキーでは大会史上初の快挙だった。伸ばせば手が届くところにあった日米共催大会V。自身4度目だった最終日最終組はノーゲームとなったが、「5ホール目までだったけど、最終組でプレーできて楽しかったし、米ツアーの雰囲気も感じることができた」と収穫も山ほどあった。
「3日目までは自分のなかでも一番と思えるプレーができた。きょうも2番でボギーがきたけど、4番でバーディが取れた。すごく良かったと思います」
この日の涙が成長の糧になる。プロ人生は始まったばかり。悔しさを晴らす機会は何度もある。(文・臼杵孝志)
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