誤情報か YouTubeで海外から大量スパチャ→キャンセルで赤字に? VTuber狙った犯罪との投稿が拡散

イチオシスト
YouTubeにおいて、海外から大量のスーパーチャットとメンバーシップギフトの取り消しが行われたとの情報がX上で拡散されています。取り消される際にはクリエイターがYouTubeの手数料分まで負担を強いられるといい、赤字になったとの報告も相次いで大きな騒動になっています。
この件を調査した結果、ユーチュラでは“誤情報”である可能性が高いと考えています。
大量のスパチャとメンギフがキャンセルに
11月7日、VTuberの「水瀬月乃」(登録者数8000人)がXを更新し、大量のスーパーチャット(投げ銭)とメンバーシップギフトが取り消しになったと報告しました。水瀬は「マイナス分は自身がYouTubeにお支払いする形になると思います」と述べ、続くポストでは、投げ銭をした本人と思しき人物から「半分決済されてませんでした。申し訳ありませんが今回はお気持ちだけとさせていただきます」というDMが届いたことを明らかにしました。
水瀬は、「今は『もしまた同じことが起きたら…』『これ以上マイナス分が増えてしまったらどうしよう…』と、配信をすることが『怖い』と感じてしまっています」と心境を綴っており、「11月の収益」がマイナス1万9318円と表記されているスクリーンショットも提示しました。
大量のスパチャとメンギフ取り消しで収益がマイナスになりました
マイナス分は私自身がYouTubeへお支払いする形になると思いますお誕生日を心からお祝いしてくださった方々の想いを考えると、本当に悲しいですし申し訳ない気持ちでいっぱいです…
— 水瀬月乃🌕🌌 Vtuber (@MinaseTsukino) November 7, 2025
どうしても支払えない!という金額まではいっていないので!
そこはどうか心配しないでください💦 https://t.co/6G5nxJcDF2 pic.twitter.com/U1MKdemPEv— 水瀬月乃🌕🌌 Vtuber (@MinaseTsukino) November 7, 2025
これを受けてかは不明ですが、VTuberのニュースを発信しているXアカウントが11月8日朝、
「スパチャキャンセルで配信者に借金!?」
5万円のスパチャがキャンセルになった場合
配信者には5万円の請求と3万5千円の報酬
30%のYoutube手数料は返ってこないという問題
1万5千円のマイナスとなり
VTuber界隈にそれを狙った犯罪者がいるとの事
YoutubeJapanの対応はまだなし
と投稿しました。このポストにはこのソースはなく、ChatGPTの回答と思われる解説文のスクリーンショットが添付されていました。(現在は削除)

YouTubeでは、ライブ配信やプレミア公開の動画に対して「スーパーチャット(投げ銭)」を送ることができますが、YouTube側が額面の3割を手数料として徴収するため、クリエイター本人に届くのは7割となります。なお、スマホアプリ経由でスパチャを送った場合は、App StoreやGoogle Playの手数料がかかるため、クリエイター本人の取り分はさらに減ります(参考:YouTubeヘルプ)。上述のポストは、スパチャがキャンセルされた場合、YouTubeの手数料までクリエイターの負担とさせられ、赤字になってしまうという内容でした。
次ページ:被害を訴えるクリエイターが続出
被害を訴えるクリエイターが続出
このポストは表示回数1200万回を超えるなど大反響となり、複数のクリエイターから同様の被害に遭ったとするポストが寄せられることに。内容はいずれも同じで、海外のアカウントから突然大量のメンバーシップギフトが送られたというもので、中には500件もギフトが送られたという報告もありました。
メンバーシップギフト(メンギフ)とは、クリエイターや視聴者が他の視聴者のためにチャンネルメンバーシップ(会員機能)の特典を1カ月間購入できる機能です(参考:YouTubeヘルプ)。
変だと思ったんだよ。。。
二日前に同じ被害にあいました。
謎の海外アカウントからいきなり
500件のギフト。
防ぎようがない、、、
手数料いくらなんだこれ、、、🥲
専業Vtuberにとっては死活問題になりかねないんです!!😭😭😭
おかげで今月大赤字確定🥲たすけてええええええええええええ!!… https://t.co/fkWrsicuh4 pic.twitter.com/EomII4GQBx
— MUZU【Vtuber】 (@muzuchannel) November 8, 2025
本日これの被害にあいました
謎の外人アカウントから突然大量のメンギフ
別の人は500件、100件送られてきてる
まじでこれ対策不可能ですどうしようも出来ないの悲しすぎるし
ただ配信しているだけなのに
請求が配信者側に来るの意味わからなすぎる。。。… https://t.co/U2HFM7otZg pic.twitter.com/AcwNpvtqE8— りざ. (@RizqLt) November 8, 2025
実際に配信中に大量のメンギフが送られる様子を投稿したクリエイターもいました。
複数のクリエイターがメンギフを送ったアカウント名を明示しており、いずれも名前が一致していることから、どうやら今回の大量送付はたった1つのアカウントから送られていたようです。
メンギフを送った本人が反論 「本当に悲しい」
このアカウントの本人は、8日夜に自身のチャンネルの投稿欄を更新。自身の行為が嫌がらせや詐欺だとされている件について反論しました。
(以下、ユーチュラにて翻訳)
メンバーシップは原則として返金不可です。返金が行われるのは、「ギフトメンバーシップを付与できる相手が見つからなかった場合」に限られ、その場合もYouTube側が自動的に処理するもので、誰かが介入して操作できるものではありません。配信終了後もYouTubeは最大12時間にわたって受け取り手を探し、それでも見つからなかった場合に返金が行われます。
ギフトメンバーシップを受け取る条件は、「配信者のチャンネルを登録していること」と「ギフトメンバーシップの受け取りを許可していること」です。私は、いつ寄付(ギフト)を止めるべきかを判断する手段がありません。なぜなら、この情報は配信者側から確認できない仕様だからです。
「配信者の収益が差し引かれて損をする」というのは事実ではありません。11月に付与されたメンバーシップは12月に精算される仕組みであり、付与先がいなかった分については「最初から存在しなかったお金」のような扱いになります。
一部の視聴者や配信者の方々が、メンバーシップの仕組みについて正しい情報を持っていないこと(悪意がないことを願いたいですが)によって、私に対するデマや中傷が広がり、あらゆる不正行為をしたかのように扱われている現状を非常に残念に思います。
さらに続くポストでは、
このスキャンダルを引き起こした2人は、YouTubeサポートが私に何の罪もないことを確認した後、すでに投稿を削除しました。私が見返りを求めずに支援してきた人々が、何の質問もせず、調査もせずに私への憎悪の波に乗っかっているのを見るのは、本当に悲しいです。
と心境を綴りました。
メンギフは生配信やプレミア公開中に送られるものですが、この人物によると、受け取る視聴者が12時間以内に現れずに余ってしまった場合は、払い戻しされるとのこと。実際にユーチュラにてメンギフの購入画面を確認したところ、そのような説明が表示されました。
なお、スーパーチャットやメンギフは、不正利用や、未成年が親の同意なく利用した場合など一部の例外を除いてキャンセルができないとされています。(参考:YouTubeヘルプ)

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実際に検証したクリエイターも
では、クリエイター側がキャンセル分の手数料を負担させられるという話はどうでしょうか。これについては、「佐藤☆クリスタリム」(登録者数2700人)がXで検証結果を報告しています。
佐藤は騒動前の9月30日、自身のチャンネルのメンギフを50件ずつ2回配ったそうです。
支払金額は、メンバーシップ金額90円✕50件✕2回=9000円でした。
2回のうち片方は受け取りがなく全額キャンセル。もう片方は1件受け取りがあったため、全額(4500円)の支払いとなりました。
そして実際のメンバーシップの収益としては、9月分には5727円、10月分にはマイナス2863円が計上されていたそうです。9月は額面9000円の63.63%で、10月にマイナス計上されたのは4500円の63.63%となります。
10月分だけを見ると、クリエイター側がマイナス分を負担しているように見えますが、9月分にその分がキャンセル分がプラスで計上されているため、クリエイターの負担は差し引きゼロということになります。
昨日、今回の騒動。
一度ポストした内容より
後々調べてみた結果。確かに、
実質的には±0になっている様子でした。実際、今回の場合
元金額の約63.6%が収益となっており9月分
贈られたメンバーシップ¥5727
10月分
贈られたメンバーシップ-¥2863になってましたので
¥2863×2回≒¥5727は…— 佐藤☆クリスタリウム 💎🐈公式アーティストCh. (@CRYSTARIUM_1706) November 8, 2025
誤情報の可能性
YouTubeの管理画面上では、誰がスパチャやメンギフをおこなったかは表示されません。キャンセルについても同様であるため、クリエイターは寝耳に水でマイナス計上をされるということになります。実際にはキャンセル分の収益が後で引かれているだけですが、借金のように感じてしまうのも仕方ない仕様だと思われます。
また、ユーチュラで確認した限りでは、YouTubeの管理画面上で計上されるのはユーザーが支払った金額ではなく、YouTubeの手数料を差し引いた後の金額となっています。今回の騒動で、手数料まで負担を強いられたと具体的な根拠を示した情報はなく、状況的に誤情報だと考えるべきかと思われます。
記事提供元:YouTubeニュース | ユーチュラ
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