映倫 次世代への映画推薦委員会推薦作品 —「ひとつの机、ふたつの制服」
 イチオシスト
            イチオシスト
        90年代末の台湾の空気をさわやかに伝える青春ドラマ
 「藍色夏恋」(02)や「あの頃、君を追いかけた」(11)など、瑞々しい青春映画を次々と生み出してきた台湾。90年代末を舞台にした「ひとつの机、ふたつの制服」も、そんな作品群に連なる一作だ。友情、恋、家族、受験といった普遍的なテーマを扱うこの作品がユニークなのは、同じ女子高の夜間部と全日制に通うふたりの生徒が、時間差で同じ机を使う「机友」として出会うこと。台湾の高校の夜間部も日本の定時制高校と同じく主に働く人たちのための学校だが、大学進学を目指す現役学生たちが集まっていた時期があったという。同様の学校に通っていたシュー・フイファンが自身の経験をもとに脚本を書いている。
「藍色夏恋」(02)や「あの頃、君を追いかけた」(11)など、瑞々しい青春映画を次々と生み出してきた台湾。90年代末を舞台にした「ひとつの机、ふたつの制服」も、そんな作品群に連なる一作だ。友情、恋、家族、受験といった普遍的なテーマを扱うこの作品がユニークなのは、同じ女子高の夜間部と全日制に通うふたりの生徒が、時間差で同じ机を使う「机友」として出会うこと。台湾の高校の夜間部も日本の定時制高校と同じく主に働く人たちのための学校だが、大学進学を目指す現役学生たちが集まっていた時期があったという。同様の学校に通っていたシュー・フイファンが自身の経験をもとに脚本を書いている。

レベルの低い他校に行くよりも名門校の夜間部のほうが大学進学に有利と母に説得され、渋々と高校生活を始める主人公の小愛(シャオアイ)。全日制の優等生である敏敏(ミンミン)と友人になり、楽しい時間を過ごしながらも、自身が「夜間部」であることの劣等感からなかなか抜け出せない。小愛の高校生活3年間を見つめるこの作品では、友人たちとさまざまな経験をしながら葛藤し、成長していく彼女の姿がこまやかに綴られていく。
映画や当時のカルチャーに関する小ネタがあちこちにちりばめられているのも見どころ。かなりの映画好きである小愛が大好きな俳優ニコール・キッドマンに宛てたファンレターが、本音を吐露するツールとして効果的に使われている。バイト先の卓球場で出会う男子高校生・路克(ルー・クー)は、「スター・ウォーズ」(77)のルーク・スカイウォーカーと絡めて自己紹介。さらに、当時流行していた日本発の『SLAM DUNK』(93〜96)やドラマ『ビーチボーイズ』(97)が小愛と敏敏を近づける作品として登場する。
文=佐藤結 制作=キネマ旬報社・山田(『キネマ旬報』2025年11月号より転載)

「ひとつの机、ふたつの制服」
【あらすじ】
1997年台北。気の進まないまま名門女子高の夜間部に通い出した小愛(シャオアイ)。同じ教室で同じ机を使う全日制の生徒・敏敏(ミンミン)と親しくなった小愛は、彼女の制服を借りて学校を抜け出すようになる。さらに同じ塾にも通いはじめた小愛は、自分が好感を持つ男子高校生・路克(ルー・クー)に敏敏も思いを寄せていると気付く。
【STAFF & CAST】
監督:ジュアン・ジンシェン(荘景燊)
出演:チェン・イェンフェイ(陳妍霏)、シャン・ジエルー(項婕如)、チウ・イータイ(邱以太)ほか
配給:ムヴィオラ、マクザム
台湾/2024年/109分/Gマーク
10月31日(金)より全国順次公開
Renaissance Films Limited ©2024 All Rights Reserved.

記事提供元:キネマ旬報WEB
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