発火の心配なし!? エレコムの“安全系”モバイルバッテリー2機種を実際に充電テストしてみた
今年の夏は記録的な猛暑で、リチウムイオンバッテリーによる発火事故のニュースも目立ちました。そのようななか、エレコムから「ナトリウムイオン」や「リン酸鉄」を採用し、安全性に優れたモバイルバッテリーが2機種発売されています。そこで今回は、筆者が「DE-C55L-9000BK」と「DE-C39-12000BK」を購入し、実際の使用感などを報告したいと思います。

「リン酸鉄」と「ナトリウムイオン」を使ったモバイルバッテリーはどうして安全?
PC周辺機器で知られる「エレコム」から、「リン酸鉄」と「ナトリウムイオン」を採用した2種類のモバイルバッテリーが発売されました。
これは、いずれも現在主流のリチウムイオンバッテリーより高温や衝撃に強いため発火しにくく、安全性を重視した設計になっているのが特徴です。
そもそも、リチウムイオンバッテリーは、設計上の電圧を超えると不安定になり酸素やガスを発生。これが電解液と反応して発火する危険性があります。
また、高温になると電池内部の化学反応が加速し、電解液が気化&膨張。限界を超えるとガス放出や破裂が起きて一気に発火することがあります。ほかにも、落下させるとセパレーター(絶縁膜)が破れてショートし、発火することもあるのです。
リチウムイオンバッテリーはかなり身近な存在となっていますが、実はかなりデリケートなものであり、高温になる車のなかに放置したり、落として衝撃を与えるのは本当に危険なんですね。

これに対し、一般的にリン酸鉄系素材は結晶の結び付きが非常に強いため、過充電や高温でも構造が壊れにくく酸素を放出しにくいのが特徴。また、結晶構造が安定しているので、急激な反応や膨張・収縮が起きにくく、熱暴走のリスクが少ないと言われています。
次に、ナトリウムイオンは反応性がやや低く、熱暴走反応が起きにくいのが特徴。また、過充電・過放電、短絡などが原因で発熱しても、発火しにくい電解液が使われているので、こちらも発火リスクが低いとされています。
エレコムから「リン酸鉄」と「ナトリウムイオン」を使ったモバイルバッテリーが登場!
まず紹介するのは、世界で初めてナトリウムイオン電池を搭載したエレコムの「DE-C55L-9000BK」。バッテリー容量は9,000mAhで、USB Type-CとUSB Type-Aを各1口搭載しており、直販価格は9,980円となっています。
もちろん、従来のUSBよりも高い電力を供給できる「USB PD」に対応しており、急速充電することが可能。
最大出力はUSB Type-Cで最大45W、USB Type-Aで最大18W、合計で最大20Wの給電に対応できます。また、本体への充電は最大30Wでフル充電までは約2時間と高速です。
ナトリウムイオン電池を採用しているため、50℃~-35℃という過酷な環境でも利用でき、5,000サイクルの長寿命で毎日使っても約13年使えるそうです。重量は約350gとやや重めですが、より安全性を優先したい人に向いていますね。
●エレコム「DE-C55L-9000BK」は→こちら
■エレコム「DE-C55L-9000BK」のスペック
【容量】9,000mAh
【充電時間】約2時間(最大30W)
【電池種類】充電式ナトリウムイオン電池
【出力ポート】USB Type-C/Type-A
【出力電圧】5V/9V/12V/15V/20V(Type-C)/12V(Type-A)
【出力電流】3A/3A/3A/3A/2.25A(Type-C)/1.5A(Type-A)
【サイズ】約87×31mm×106mm
【重量】約350g
【繰り返し使用回数】約5,000回
【付属品】USB Type-C/Type-Cケーブル
【使用温度範囲】-35℃~50℃(放電時)/0℃~40℃(充電時)
【価格】9,980円



次に紹介するのは、リン酸鉄バッテリー搭載の「DE-C39-12000BK」。バッテリー容量は1万2,000mAhと大きく、充放電サイクルは1,000回と長寿命。
もちろん、こちらもUSB PD対応で急速充電が可能で、USB Type-Cでは最大20W、USB Type-Aでは最大12W、合計では20W出力に対応します。
価格は1万3,585円と高めですが、Amazonでの実勢価格は4,655円とリーズナブルです。重量も約310gと比較的軽く、持ち運びに適していますね(2025年9月24日時点)。
●エレコム「DE-C39-12000BK」は→こちら
■エレコム「DE-C39-12000BK」のスペック
【容量】1万2,000mAh
【充電時間】約3時間(最大20W)
【電池種類】リン酸鉄ナトリウムイオン電池
【出力ポート】USB Type-C/Type-A
【出力電圧】5V/9V/12V(Type-C)/5V(Type-A)
【出力電流】2.4A/2.22A/1.67A(Type-C)/2.4A(Type-A)
【サイズ】約78×17mm×159mm
【重量】約310g
【繰り返し使用回数】約1,000回
【付属品】USB Type-C/Type-Cケーブル
【価格】1万3,585円



スマホやパソコンを充電したときの速度を計測してみた!
それではエレコムの2機種でスマホやパソコンを、どのくらいの速度で充電できるのか計測してみましょう。今回は「iPhone 16」と最大45Wでの充電に対応しているノートパソコン「dynaBook」をUSB Type-Cで充電してみます。
まずは、ナトリウムイオン電池の「DE-C55L-9000BK」から。最初にiPhoneで充電してみたところ、15.0V/1.39A=20.83Wでした。iPhoneは最大でも23W程度ですのでかなり高速で充電できていますね。

続いてはdynabookです。こちらは19.7V/2.10A=41.38Wで充電できました。こちらも、最大45Wまでの機種なので、かなり高速で充電できていると言えます。
しかも、40W給電中でも本体はあまり熱くならず、温度を計測してみても41.3℃だったので、手で触ってもほんのり温かい程度・これなら発火の心配などは不要でしょうね。


次はリン酸鉄を利用した「DE-C39-12000BK」で給電してみましょう。まず、iPhone 16では11.9V/1.64A=19.59Wでした。こちらもほぼ20Wですから、なかなか優秀ですね。

一方、45Wのdynabookではスペック通りで11.9V/1.59A=18.90Wしか出ませんでした。ナトリウムイオン電池の「DE-C55L-9000BK」のほうは41Wと高速だったので、ノートパソコンなどを中心に使うのには向いていないでしょう。
ただし、20Wでの充電中でも本体の温度は34.4℃と常温のままで、ほとんど発熱していませんでした。これなら、猛暑日でも安心して利用できます。


まとめ
いかがでしょうか? 今回はエレコムの“安全系”モバイルバッテリー2機種を紹介しました。
世界初となるナトリウムイオンバッテリーを使用した「DE-C55L-9000BK」は、やや重くて携帯性は低めですが、充電速度はかなり速くて優秀。本体温度も41.3℃程度でした。
一方、リン酸鉄を利用した「DE-C39-12000BK」は、バッテリー容量が1万2,000mAhと多くて軽いのがウリ。ただし、充電速度はスペック上最大20Wまでなので、ノートパソコンなどの充電はDE-C55L-9000BKほど速くはありません。
もし、品質に不安のある格安製品のモバイルバッテリーをビクビクしながら使っているなら、エレコムの安全系モバイルバッテリーに買い替えてみるのもいいでしょう。
記事提供元:スマホライフPLUS
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