子どもたちに“自分”について語り続ける一歩さんの記録「じぶん、まる! いっぽのはなし」
小さな頃からセクシュアリティに悩んできた田中一歩(いっぽ)さん。学校や民間団体に出向き、子どもたちと性の多様性から自分を考える講座〈『じぶんをいきるためのるーる。』を子どもたちに届けよう!〉を行ってきた。その回数は7年間で1000を超え、さらなる広がりを見せている。そんな活動と生き方に共鳴した映画作家の崟利子が、1台のカメラを一歩さんの前に据え、その言葉と表情を捉えていく──。映画「じぶん、まる! いっぽのはなし」が、11月8日(土)よりポレポレ東中野ほか全国で順次公開。ポスタービジュアルが到着した。
崟利子監督は、山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された「オードI」(1998)や「西天下茶屋・おおいし荘」(1999)、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞に輝いた「Blessed ─祝福─」(2001)などで知られる。インディペンデントの立場で撮り続け、今回の「じぶん、まる! いっぽのはなし」が初の劇場公開作となる。
撮影は「セノーテ」「Underground アンダーグラウンド」で知られる映画作家の小田香が務め、音楽は京都を拠点とするデュオ・ふちがみとふなとが担当。こぼれ落ちる言葉と風に揺れるカーテン、そして窓から射し込む光。変わりゆく時の中に、一つの人生が浮かび上がる。
なお本作公開に合わせ、崟利子監督の過去作も上映される。併せて注目を。

崟利子監督コメント
田中一歩さんとは、近くに住む隣人として知り合ってから、もう20年来の友人です。
自らのセクシュアリティに関して悩み、葛藤していた若いいっぽさんが、性の多様性をこどもたちに伝える活動をパートナーと始めてから、どんどん力強く優しいおとなに成長していく様は、私を魅了しました。
その活動やいっぽさん自身を映画にして伝えたいと思ってはみたものの、親しい友人をどのように撮ればいいのか模索しているうちに数年が経ちました。
以前から、私は一人の人物がずっと話続ける、という映画を作りたいと思っていました。
いまだから撮れる、いま作らなくてはという時期に、まずいっぽさんに話してもらうことから映画はスタートしました。
私はほとんど一人で作品を作る個人映画作家ですが、今回は撮影を小田香さん、録音をウエヤマトモコさんにお願いし、制作スタッフに3人が加わりました。
友人として聴いていた声、姿は、他の人の技術や感性が関わることによって景色が広がり、新しい発見ができたことを、私自身も一歩さんも感じています。
いっぽさんの言葉が、観客のひとりひとりのこころに届きますように。
「じぶん、まる! いっぽのはなし」
監督・編集:崟利子
出演:田中一歩
撮影:小田香
録音・整音:ウエヤマトモコ
音楽:ふちがみとふなと
制作:加藤初代、若井真木子
製作:HERE&THERE
配給:アカリノ映画舎
2023年/日本/60分/カラー
©HERE&THERE
公式サイト:https://opoponax.jp/
記事提供元:キネマ旬報WEB
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