今さら聞けない「チューナーレステレビ」で見られるもの、見られないものは何か?

2026年に開催が決定している第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。日本国内における独占放送権をNetflixが獲得したことが大きな話題になりました。
2023年大会では最高視聴率42.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録するなど、国内で熱狂を引き起こしましたが、26年大会は地上波中継なし。ほかにもスポーツ中継はDAZNやU-NEXTなど、オンライン動画配信サービスで行われることも多くなっています。
つまり、従来はテレビだけで見られていたスポーツ中継は、いまや「テレビでは見られないもの」になりつつあると言えるでしょう。
そこで注目を集めているのが、チューナーを内蔵していない「チューナーレステレビ」。高画質モデルも2万円〜4万円台で購入可能となり、従来のテレビに匹敵する性能を実現しています。たとえばテレビが壊れたタイミングなどでチューナーレステレビを検討している家庭も少なくないのではないでしょうか。
ではチューナーレステレビに買い替えた場合、引き続きテレビで見られるものと見られないものはそれぞれ何なのでしょうか? ご紹介します。
チューナーレステレビで視聴できるもの
先述した通り、チューナーレステレビの最大の特徴は「チューナーが内蔵されていないこと」。そのため、地上波の番組を視聴することはできません。
代わりにネット接続は可能で、多くのチューナーレステレビに内蔵されている「Google TV」「Android TV」を利用するか、Fire TV Stickに代表される周辺機器を用いることで、YouTubeや動画サブスクなどを視聴することが可能です。
そして最大のメリットのひとつと言えるのが「自宅にチューナーレステレビだけがある」場合はNHK受信料の支払いが不要になることです。
チューナーレステレビで視聴できる例を、より具体的にご紹介します。
YouTubeなど動画サイト
Google TVやAndroid TV、Fire TV Stickを利用することで動画サイトの視聴が可能です。

たとえばYouTubeは2024年5月時点で日本国内の月間視聴者が7,370万人を超えています。老若男女問わず「自分の好きな動画」や「自分の好きなチャンネル」を見つけやすい動画サイトが、YouTubeだと言えるでしょう。
チューナーレステレビでYouTubeを視聴することが習慣になると、「好きではないテレビ番組をダラダラと見る」習慣が自然と消えていくことに気付く方もきっと多いはずです。
なお、チューナーレステレビではYouTube以外にも「ニコニコ動画」「ABEMA」などの視聴ももちろん可能です。「Google TV」などからアプリをダウンロードすることも可能ですし、チューナーレステレビ上でブラウザを起動して視聴することもできます。
NetflixやAmazonプライムビデオなど動画サブスク
YouTubeやニコニコ動画のように無料でも視聴可能な動画サイトだけでなく、Netflixに代表される有料の動画サブスクリプションサービスを視聴することも可能です。

これらの動画サブスクは「映画」「ドラマ」が充実しているのはもちろん、近年はライブ中継も充実しています。
冒頭でも触れた通り、2026年開催のWBCはNetflixのみで中継される予定。国内外の大型スポーツイベントを見る際のプラットフォームとしても、動画サブスクは地上波に代わって定番サービスになっていくかもしれません。
TVer
チューナーレステレビでは、民放公式の配信サービス「TVer」も視聴可能。TVerは2025年1月の月間ユーザー数が4,120万ユニークブラウザを記録するなど、利用者数を伸ばし続けています。

Google TVやAndroid TV、Fire TV Stickを利用して「TVer」アプリを起動することで、民放のドラマやバラエティ番組、ニュース番組などを、放送後一定期間無料で視聴できます。
ドラマや人気バラエティ番組など、地上波放映後にすぐにTVerで配信されるパターンも多いため、「絶対にリアルタイムで見たい」というこだわりがない限り、TVerで十分な方も少なくないでしょう。
スマホやPCからのミラーリング
スマートフォンやパソコンの画面をテレビに映し出す「ミラーリング」機能を、チューナーレステレビで利用することもできます。Fire TV Stickなどを利用してミラーリングを行うことも、HDMIケーブルとAVアダプタを利用し、テレビと端末を直接つないでミラーリングすることもできます。
スマートフォンで撮影した写真や動画を大画面で楽しんだり、パソコンで作業中の画面を家族や友人と共有したりすることができます。
チューナーレステレビで視聴できないもの
一方でチューナーレステレビでは、地上波やBS/CSデジタル放送などは視聴できません。
地上波
チューナーレステレビは名前の通り、テレビチューナーを内蔵していないため、「地上波放送」を視聴できません。
ただし、前述の通り「TVer」の視聴は可能です。NHKではなく民放の番組を楽しんでいる方の場合、意外とチューナーレステレビでも不自由を感じることがないかもしれません。
BS/CSデジタル放送
地上波と同様に、BS/CSデジタル放送も内蔵チューナーがないため視聴することができません。もっとも、たとえばスカパー!は放送契約者向けに「スカパー!番組配信」を提供中。また配信サービスとして「SPOOX」も提供中です。
BS/CSデジタル放送でどのチャンネルを視聴するかにもよりますが、局や番組によっては「放送」ではなく「配信」で楽しめる環境がすでに整っている場合があります。
【注意】NHKはチューナーレステレビで視聴可能に
チューナーレステレビの最大のメリットのひとつは、「NHKを物理的に受信できない」ため、自宅に他にテレビや地上波を受信可能なカーナビなどがない場合、NHKとの受信料の契約義務がないという点でした。
しかし、NHKは2025年10月からネットサービス「NHK ONE」をスタート。

「NHK ONE」は利用開始手続きを行わない限りはNHKとの受信料契約義務はないものの、たとえばチューナーレステレビのブラウザでNHK ONEにアクセスして視聴できるように設定してしまうと、NHKを視聴できるようになる代わりに受信料契約義務が発生してしまいます。
NHKとの受信料契約を結びたくない場合、「NHK ONE」にはアクセスしないようにしましょう。
ストリーミングがテレビ視聴の主役に 米国ではすでに逆転
チューナーレステレビが家電量販店に並ぶのが「当たり前」になったように、テレビ視聴のスタイルは、確実に変化を遂げています。特に若い世代を中心に、従来の放送波による視聴からインターネットを介したストリーミング視聴へとシフトする傾向が強まっていると言えるでしょう。
たとえば米調査会社ニールセンによると、2025年5月のテレビ総視聴時間に占める動画配信の割合は44.8%に達し、CATVと地上波を合わせた従来型のテレビ視聴(44.2%)を調査開始以来初めて上回りました。さらに25年8月には47.3%になるなど、その数字はさらに伸び続けています。

これはアメリカの調査結果ですが、「若者のテレビ離れ」は日本でも顕著です。日本でもチューナーレステレビが普及し、なおかつNetflixなどの動画サブスクの加入者が増えていることを考えると、アメリカと同様にテレビ局の番組視聴時間とストリーミングサービスの利用時間が並ぶ日は近いのかもしれません。
※サムネイル画像(Image:serhatctk / Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
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