パターを30g軽いモデルに替え大変化 平均飛距離310yの”逆輸入プロ”は上位が視野「ショットもパットも不安はない」
<ANAオープン 初日◇18日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>
米国・カリフォルニア州サンディエゴ出身で日本ツアー本格参戦2年目の24歳、山脇健斗。父・康一さんはテーラーメイドの社長を務めた人物で、5歳からの誕生日プレゼントは毎年テーラーメイドのパター・スパイダーシリーズだった。今週は“馴染み”のシリーズが支えになっている。
風が穏やかだった午前7時15分に出たインで4つ伸ばして、風が吹き始めた後半は「耐えるゴルフを頑張った」。この日は6バーディ・1ボギーの「67」で回り、首位と2打差の2位タイと好発進。「パットがめちゃくちゃよかったです」と2つのバーディは1メートル以内だったが、3~6メートルを4回沈めてスコアを伸ばした。
平均飛距離310ヤードの飛距離が魅力だが、今季の平均パット数は1.8372で113位とグリーン上で苦しんでいる。だが「フジサンケイ(ロピア フジサンケイクラシック)からパットがよくなって、2メートル以内は入っている。先週のACNツアーは毎日25パットでよかった」と好調は継続し、この日も25パットで平均パット数は1.5と堂々の1位タイだった。
きっかけはパターのチェンジだ。それまでは別メーカーのモノを使用していたが、2週前から世界ランク1位のスコッティ・シェフラー(米国)も使うテーラーメイドの「スパイダーツアーX クランクネック」に変更。20歳まで使用していた馴染みのスパイダーシリーズだ。
それまで使っていたパターは総重量が重く、「速いグリーンだと重くてどうしても飛んでしまってタッチが合っていなかった」。そこで新パターは総重量を30グラム軽くした。ただ急に軽くなったため投入初戦は「(感覚が)バグって思い切りショートとかオーバーとかあった」とも明かす。それでも「軽い割にはショートパットの安心感があったから、これだと思って使い続けている」と今週は安心感も増し、距離感も馴染んでいる。
好スコアの背景にはパットだけでなく、ショットの不安がなくなったこともあり。昨季の下部ツアー賞金ランキング12位(出場優先順位は19位)の資格で今季前半戦の出場権を獲得し、開幕戦「東建ホームメイトカップ」で15位タイに入った。しかし、「ショットがよくなくて」とその後は9試合中7試合で予選落ち。「9番アイアンでもグリーンに乗るか乗らないか心配するぐらい。ドライバーは打って祈っているぐらい」とショットがコントロールできていなかった。
「試合が続くといつも出てくる悪癖があって、(予選落ちが続いて)悪いゴルフをしていて、ストレスからいつものクセに気づかなくてどんどん悪くなった」。どうしても始動とともに下半身も大きく回り、全体的にインサイドに入ることで手元が深い位置まで入るのがその症状だが、8月にそのことに気づき向き合ってきた。「もっと早く気づかないといけなかった」と反省するが、今週には間に合い、ショットもパットも安心して打てて全体的に調子も上がってきたといえる。
2週前のリランキングにより、優先出場順位は39位に後退し、後半戦の出場機会は大幅に減る。「この試合は出られると思っていなかった。逆に出られてラッキーみたいな感じ」と感じる重圧はない。「ここで予選を通過して下の方ではあまり意味がない。攻めのゴルフではないけど、スマートだけど上位を狙う意識を持ってラウンドします。トップ10で来週につなげないといけないので」と上だけを見ていく。(文・小高拓)
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