憧れジャンボ尾崎の“庭”で 復活ロード歩む池田勇太が誓い「ここに来れば出来ると思う」
<ANAオープン 事前情報◇17日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>
2022年に顎偏位症(がくへんいしょう)の影響で14季続けた賞金シードを失った通算21勝の実力者・池田勇太が、思い入れの強い“輪厚”で復活を誓う。
かみ合わせのズレなどから体に痛みが出たのは22年。2度の手術を経て、この2年は治療を優先しながら戦ってきた。体のズレも矯正したことで「体もクラブも思うように動かせない」と、これまでのスイングとはまったく別の感覚になっていたという。
今は治療も最終段階に入っている。「ゴルフは少しずつ良くなってきたけど、それでもイマイチだった」と8月半ばまで9試合に出場して最高成績は「ミズノオープン」の46位タイ。予選落ちは7回を数えた。
転機となったのは「ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント」(8月21~24日)。2年ぶりのトップ10入りには1打及ばなかったが、12位タイに入った。
「久しぶりにいいゴルフができた」と手応えを得ると、歴代覇者として参戦した「Sansan KBCオーガスタ」では「初日に18ホール、一日の中できっちり組み立てるゴルフができた」と好感触は続いた。熱中症の影響で予選落ちに終わったが、ここ2年のゴルフとの違いを感じられた。
今週は2010年と17年に2度制している好相性大会。会場には第1回からの歴代覇者の写真が飾られ、「もう15年前か…」と当時24歳で制した自身のパネルを懐かしそうに眺める。
「やっぱり輪厚は自分の好きなコース、得意なコースだから、ここに来れば『やっぱり出来るんじゃないか』という気持ちもある。しっかり成績を出していきたい」と語気を強めた。
強い思い入れもある。幼少期から憧れるジャンボこと尾崎将司が大会最多の7勝を挙げて、“庭”とした大会。「ジャンボさんが一番勝っているし、いろんなシーンを見てきた。そういう意味でもこのコースで勝ちたいという憧れの場所でもあった」。テレビの前でジャンボのプレーを見てきた池田にとって、憧れの人と同じ舞台で勝つことを目標にしてきた。
また、大会を主催する全日本空輸(ANA)は、「学生の頃からずっとサポートしてくれた企業。プロになって契約をして、2度目の優勝となった17年はホスト優勝も果たせた。自分にとっては輪厚、ANAオープンという舞台は特別な思い入れのある大会。やっぱりここでもう一回、ね…」。
一度言いかけた言葉をしまい、もう一度口を開いた。「今は、3度目の優勝というより、自分自身の復活を遂げるための、チャンスを探っている状態だから。今もっているきっかけを出しながら、いいゴルフをどんどんしていきたい。おのずと成績に結びつくと思う」。
遠い目標よりも現実をしっかりと見つめている。「今の僕にとっては一つひとつのステップがすごく大事。それをどう積み重ねていくか。もちろんシードを取ることも大事だし、優勝できなくてもトップ10に自分の名前を連ねることもすごく大事だと思う。結果を経て、次の自分のステップアップにつながると思うから。貪欲にやっていきたい」
「ロピア フジサンケイクラシック」終了後に、非シード選手の出場優先順位を入れ替えるリランキングが行われ、池田は初期順位の44位から9位に浮上。後半戦の多くの試合に自力で出場できることになった。
永久シードの25勝まであと4勝に迫ってから、6年足踏みが続いている。今季の賞金ランキングは68位。まずはシード復活のために3年ぶりのトップ10入りから始めたい。一歩一歩の積み重ねによって、新生・池田勇太が産声を上げる。(文・小高拓)
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