4年前は獲得賞金“0円” 辛酸なめたビリケンさんが復活へ「3試合でシード決める」
<ANAオープン 事前情報◇16日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>
国内男子ツアーは「ロピア フジサンケイクラシック」終了後に、非シード選手による出場優先順位を入れ替えるリランキングが行われた。先週の「シンハンドンヘオープン」はアジアと韓国の3ツアーによる共同主管試合で出場人数が制限されていたため、実質、今週から適用となる。
リランキング1位になったのは「リシャール・ミルチャリティ」で3位に入るなど、今季の獲得賞金2000万円を超え、初シードを確定させている古川龍之介。初期の37位から大きくジャンプアップした。安森一貴も49位から2位、出利葉太一郎(いでりは・たいちろう)は73位から5位に大きく順位を上げた。ツアー通算21勝の池田勇太も44位から9位に上げて後半戦は自力で出場できる試合数も増やした。
なかでも注目は、関西では“ビリケンさん”の相性で親しまれているツアー2勝の藤本佳則だ。昨季のファイナルQTは46位で今季の主戦場は下部のACNツアーだったが、主催者推薦で出場した8月の「ISPS HANDA夏の決戦・誰が一番強いんだ」で16位タイに入った。レギュラーツアーでの予選通過は2019年の「ダンロップフェニックス」(13位タイ)以来、6年ぶりのこと。この試合で314万円あまりを稼いで、リランキング順位は24位に浮上し、今大会の出場権を得た。
6年ぶりの決勝ラウンド2日間は、「68」「67」の好スコアをマークした。「大きいですよね。何気ない順位かもしれないけど、僕に取ったら一番いい薬だったんじゃないですか」。
この5年間は苦しい期間だった。高校時代からナショナルチームで活躍し、東北福祉大時代は、2学年後輩の松山英樹が背中を追う存在だった。2011年の11月にプロ転向すると、ルーキーイヤーの12年は5戦目の「日本ゴルフツアー選手権」で初優勝を遂げるなど賞金ランキング5位に入った。15年には未勝利ながら賞金ランク4位に入り、19年までシード権を保持した実力者だ。
しかし、コロナ禍で統合された2020-21年シーズンは、21試合に出場して予選通過なし。獲得賞金0円の屈辱を味わった。
不振の原因はケガだった。20年秋頃に左手親指を痛めてクラブが振れなくなり、21年開幕前には左肩痛に悩まされた。「えげつないぐらい(左肩に)水が溜まっていた」。もともと左肩には不安を抱えていたが、肩が抜けそうになる今までにない痛みにより、スイングの感覚を失ってしまった。
阿河徹コーチと二人三脚でスイング調整を続けた。トレーニングも欠かさず、復活に向けての取り組みは怠らなかった。「昔は体が柔らかいとか弱い部分もあったけど、体を作って強くなっている。それに対してスイングを変えたり、(コーチとの)細かい調整がうまくいくようになったと思います」。
努力の成果もあり、昨年の後半から思い通りのショットを打てる回数が増えてきた。「試合で打てないと自信にならない。今年は試合でも普通に打てるようになっているので、そういう意味ではだいぶ前に進んでいると思います」。今季主戦場のACNツアーでは、トップ10入り2回を記録。それに加えて、8月の6年ぶり予選通過は大きな自信になっている。
リランキングで順位を上げたことにより、現時点では次戦の「パナソニックオープン」と予選会を通過した「日本オープン」の出場は確定している。復活ののろしを上げる35歳は「(後半戦に)何試合出られるか分からないけど、そこで頑張るしかない。(3試合で)シードを決めるという腹はありますよ」と力強く語る。2013年の「TOSHIN GOLFトーナメント」以来、優勝から遠ざかっているが、自信を取り戻している今、まずは6年ぶりのシード復活に照準を合わせる。(文・小高拓)
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