娘と父のポーランド珍道中に、痛ましい記憶を浮上させる「旅の終わりのたからもの」
『GIRLS/ガールズ』のレナ・ダナムと「ホビット」シリーズのスティーヴン・フライの共演により、ホロコーストを生き延びた父とニューヨークで成功するもどこか満たされない娘とのちぐはぐなポーランド旅行を描いた「旅の終わりのたからもの」が、2026年1月16日(金)よりkino cinéma新宿ほか全国で公開される。ポスタービジュアル、予告編、場面写真が到着した。
1991年、民主国家としての土台を築いていたポーランドのワルシャワへ、ルーシー(レナ・ダナム)と父のエデク(スティーヴン・フライ)がやってくる。ニューヨーク生まれのルーシーがポーランドを訪れるのは初めてで、エデクにとっては約50年ぶりに戻った祖国となる。自身のルーツを探りたいルーシーだが、父に次々と計画を潰されて怒りが沸騰。アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所を訪れ、父の口から痛ましい記憶を聞いても、心の溝は埋まらない。ついに一人で帰国すると決めたルーシーを、父は思いがけない場所へ連れていくが……。
https://www.youtube.com/watch?v=YHr9mvOJv7k
オーストラリアの作家リリー・ブレットの実体験に基づく小説『Too Many Men』を、ドイツの俊英ユリア・フォン・ハインツ監督が映画化した本作。第74回ベルリン国際映画祭ベルリン・スペシャル・ガラやトライベッカ映画祭2024インターナショナル・ナラティブ・コンペティションに出品された。
ルーシー役だけでなくプロデューサーも務めたレナ・ダナムはユダヤ人の血を引いており、「私にとってとても大きな贈り物でした」と述べている。エデク役のスティーヴン・フライは、母方の家族がアウシュヴィッツへ送られた過去を持ち、「脚本を読んだ瞬間に心を動かされた。娘と父の関係を描く中に、ユーモアと痛みの両方が息づいている」と共鳴を明かしている。新たな角度でホロコーストに光を当てたロードムービーに注目したい。
「旅の終わりのたからもの」
監督:ユリア・フォン・ハインツ
原作:「Too Many Men」リリー・ブレット著
出演:レナ・ダナム、スティーヴン・フライ
2024/独、仏/英語、ポーランド語/112分/カラー/5.1ch/スコープ
字幕翻訳:渡邉貴子 原題:TREASURE
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
© 2024 SEVEN ELEPHANTS, KINGS&QUEENS FILMPRODUKTION, HAÏKU FILMS
公式サイト:treasure-movie.jp
記事提供元:キネマ旬報WEB
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。