“短いけど入れたらアウト”な洋芝ラフにご用心! 全英余波で初優勝者の誕生にも期待【大西翔太のSHOWTIME】
国内女子ツアーは、今季3試合目の北海道決戦「ニトリレディス」が開幕した。コースが昨年までの小樽カントリー倶楽部から一新され、桂ゴルフ倶楽部で開催される。そこでの試合は、例年とは違う雰囲気の試合に? 今週も青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が展望を占う。
■グリーンの傾斜、洋芝ラフが厄介
これまでの開催コース・小樽といえば、形容詞に使われるのは“難関”や“難攻不落”という文字。ガマンを続け勝利をつかむ大会だった。しかし大西氏は「スコアが出そうですね」と今年の予想を立てている。桂といえば、2022年まで「ニッポンハムレディス」(現・ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ)で使用されていたコースだが、その時よりも「グリーンが軟らかく、スピードも強く出るわけではない」ということを確認した。
とはいえ、簡単に攻略できるかといえば、そういうわけにはいかない。そのグリーンは傾斜が強く、落としどころには注意が必要だ。開幕前日に行われたプロアマで、大西氏はコースの所属プロと一緒に回る機会を得たのだが、その時のアドバイスも「奥からのパターは難しい。上りにつけることが大事」というものだったという。「落としどころを管理できる選手が上位に来そうですね」。ここが第1のポイントになる。
さらなる警戒ポイントとして「ラフ」を挙げる。「長くはないんですけど、フェアウェイからじゃないとチャンスにつかない。洋芝でかみやすく、球が落ちやすくなります。ラフに入れたらダメですね」。北海道特有の芝が、長さだけでは測れない難度を生む。「選手たちもフェアウェイから打たないと、と言ってますね」。大西氏はこんな情報も追加する。
コース形状的に刻む必要があるホールも多いため、飛ばし屋だから有利とはならない。実際に桂開催のニッポンハムレディスを制したのはS・ランクン(タイ、2019年)、堀琴音(21年)、西村優菜(22年)というショットメーカーたち。先ほどの、ラフを警戒する必要があるという話や、グリーンの落としどころが重要という話を聞くと、これも納得できる。また初日、2日目と現地は強風、そして雨予報が出されており、その対応も勝負を大きく左右しそうだ。
■「アイアンの音がいい」期待の選手は?
そのコースを見て大西氏は「初優勝者が出そうですよね」ということを感じ取った。前述したランクン、そして堀はここで初めての勝利を手にしている。さらに今週はスコットランドでメジャー大会「AIG女子オープン」が行われ、そこに女王・山下美夢有や、現在メルセデス・ランキング1位の竹田麗央をはじめ、同ランクトップ10が全員不在。こうなると誰が勝っても不思議ではない状況が生まれる。
そのなかで注目したひとりが、ルーキーの菅楓華。デビュー戦の「Vポイント×ENEOSゴルフ」でいきなり7位に入った注目株だ。「しっかりと距離は出るし、練習場でパター、アプローチも見入ってしまいました。おもしろい存在です」。ここ2戦は予選落ちと“夏バテ気味”だが、北海道で再び真価を発揮することになるのか?
次に鶴岡果恋の名前を挙げる。今季すでにトップ10に5度入り、メルセデス・ランキングは36位。初シードへ順調に歩みを進めている。「いつ初優勝が来てもおかしくないですね。アイアンが、芯をとらえたいい音を出しています。優勝への“GOサイン”が出ていますね」と大西氏は太鼓判を押す。
さらに「NEC軽井沢72ゴルフ」で優勝争いを演じた政田夢乃も気になる存在。「初めて練習場で見させてもらったのですが、すごくいいボールを打ってますね。シンプルなスイングでクラブさばきがいい。アプローチ、パター練習も創意工夫していることを感じました」。軽井沢で味わった悔しさを、地元・北海道で晴らす展開も考えられる。
このほか、ここで初優勝を挙げた堀、昨年覇者で地元連覇を目指す菊地絵理香、そして木戸愛の状態のよさにも目を見張る。特に木戸は「(今年から指導を受ける)ジャンボさんのアドバイスが形になってきている。メンタル、技術面ともに高まっています」と、初優勝から12年を経てのツアー通算2勝目への期待が高まる存在だ。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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